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【歌詞考察】Cinderella / TOMOO


歌詞

シンデレラじゃないから ガラスの靴は落としていけないよ
でも12時の坂道人混みを縫って駅まで下ってく
終電なんてほんとはどうでもいいから
運命線の最後にキスしたかったな道玄坂下りきるまで振り向くなよ
君の目は揺らいでなかった
シンデレラじゃないなら君だって王子なんかじゃなかったね
最寄り駅に着いたら 霧雨がタクシーの列冷やしてる
玄関先に着くまで堪えたメロディ
明かりを消した部屋中満ちてく
桃源郷はなくても笑えてた喜劇

あの夏の二人はいない あの夏の二人はいない
Baby くだらないプライドを壊して
Baby つまらないこのルールを壊して変われないままの私を許してさ
君はもう誰かに出会って
新しいコートが似合ってるよ
見たかったのは1つだけ
君の胸に隠れたダイヤ
Baby くだらないプライドを壊して
Baby つまらない境界線を壊して変われないままの私を許してさ
鮮やかに季節飛び越えて一人君は生まれ変わった
見たかったのは1つだけ
君の胸に隠れたダイヤ

「Cinderella」

この曲では電車にまつわるワードがたびたび登場する。
(終電、駅、運命線?ダイヤ??)

電車の路線は交わり、離れ、それぞれの時空をもつ。

それは2人の運命で、
手相も同じ。

一度は交わった線はもう2度と交わることはない。
同じ時間も共有できない。

ダイヤは乱れて、

あとは独りで道を歩むだけ。


考察



TOMOOはMVのBehind The Scene でこの曲に込めた思いをこう語っている。

「人と相容れなかった、その人と一緒に生きていくこと、あるいはその人の価値観、その人のコミュニティ、その人を取り巻くいろんなものに飛び込んでいくこと、染まることをあきらめたから関係が終わったという…
ただ泣きなれる情感とはちょっと違くて、
《…中略…》
もっと根源的な開放を望むようなパッションというか、

人間というかむき出しな感じというか。」


“君”と一緒にいるために変われなかった シンデレラ(私)

12時を超えることを選ばなかった、私を拒否した君を許さずに
変われない自分を許して

という傲慢さ。

「Cinderella」という題名はその皮肉か
主人公でいれば、自分の愚かさに気付かずに済むから。


彼女は彼に自分の身を人のためにささげることができる王子という理想を押し付けていたのかもしれない。

「幸福の王子」という童話を知っているだろうか?

美しい幸福な王子の銅像は、体が宝石や金箔でおおわれている。
ある時から、彼は自分の身を犠牲にして、燕に頼んで宝石を人のために届けてもらうようになる。
人のため、人のためと、宝石や金箔を届けるものだから、王子の身はどんどん削れていく。
サファイヤでできた両目が無くなってしまった王子は満足げに言う。
「いいんだ。それであの子たちが幸せになれるなら。」

この物語の終末、王子の銅像は壊れて、溶解されてしまう。
たった一つ、鉛の心臓を残して。

「幸福の王子」


「Cinderella」 の歌詞「君の胸に隠れたダイヤ」とは
彼の心臓のことを指し、
彼の心臓をダイヤと表す。

あの幸福の王子でも、心臓は鉛でできているのに

彼にダイヤの心を求めて、

その彼を王子なんかじゃないという。


プライドを壊すべきは''私''で、
ルールを壊すべきものも''私''


2人が許し許される関係でいれる
彼女にとっての理想の世界線を
ハッピーエンドにしようとしている。

なんて幼稚で、なんて自分勝手な考え方だろう。

でも

そうやって2人の関係に物語をつけないと

あまりに悲しいから

Cinderella になる夢をみる。


素敵な表現たち



「最寄り駅に着いたら 霧雨がタクシーの列冷やしてる」

▶︎最寄り駅の現実感をおおう霧雨の描写


「玄関先に着くまで堪えたメロディ

明かりを消した部屋中満ちてく」

▶︎メロディは嗚咽する様子を表現しているのかも


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