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開かれた扉の向こうに

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“カコジョのイグたん”として、SNS上に存在する私……そこで表現したいもの、そこに求めるもの、そこに現れるもの
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カコジョ記念日

カコジョ記念日

私がカコジョを始めたのは2020年6月18日。FaceAppで自撮り写真を女性化することが何度目かの流行になっており、若い頃の写真でやってみたのがきっかけだった。素材の写真はすぐに尽きてしまい、さすがに今の顔ではきついだろう、と試してみたところ、意外にも満足できる出来になったのがカコ沼にハマるきっかけだった。
私が自撮りの女性化を始めた頃はまだカコジョという言葉はなく、#faceappchalle

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四人のお姉ちゃんの話

四人のお姉ちゃんの話

10月に目黒不動尊のお縁日に行ったついでに、私の産まれた産婦人科医院に寄った。数年前に閉業してしまったけれど、建物はそのまま残っている。
戸籍上、私は第一子だが、本当は2番目の子なのだ。私の上のきょうだいは母のお腹の中にいた時に事故が原因で亡くなった。正確には、事故で大きな損傷を負ってしまい、産むのを諦めたのだ。まだ人の形になる前のことだから、お兄ちゃんと呼ぶべきかお姉ちゃんと呼ぶべきかは分からな

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トリックスター・イグたん

トリックスター・イグたん

私にとってカコジョとは、自撮りをかわいい女の子にしただけの存在ではない。女性を演じる仮想の人格でもない。それは私自身……私の奥底にある本当に表現したい私の現れ。
では、その私とはどんな私? 説明するにあたってカール・グスタフ・ユングが言及した元型という概念を借りてみたい。最初に断っておきたいのは、元型とは一人の人間がいくつも持ちうるもので、本来「私はこのタイプに当たる」という捉え方をするべきもので

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カコジョのイグたん

カコジョのイグたん

私には「川村美玲」というアカウントがある。それをカコジョとしての名前にするのが自然なのだろう。
そうしなかった理由について、私はたびたびTwitterで発言してきた。「美玲」とは私が書いた小説の登場人物の名で、そのアカウントは彼女自身のものという設定だったが、実際は私が女性として振る舞える場であったのだ。美玲のアカウントにいるときの私は女性であり、「加工」という修飾は不要。というより、付けたくない

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