【ショートショート】完全アウェイゲーム
意識が朦朧とする。
ぼやけながらも、かろうじて耳に届くけたたましい歓声は倒れる寸前の僕を前に最高潮に達しているようだ。
汗も出ない程に身体から水分が干上がり、口の中は粘ついている。
強烈なライトに照らされて目の前の相手もよく見えない。
しかし、相手は恐らくピンピンしているだろう。
周りの歓声に後押しされるかのように、むしろ力を増しているのではないかと錯覚するほどだ。
「不利すぎるだろ...」
立っているのがやっとだった脚は痙攣を始めた。
手の感覚はとうにない。
も