【短編小説】リング・オブ・メモリー
「やっと皆を苦しみから開放させてやれる...」
パソコンのディスプレイの明かりに照らされたその男の表情は、言葉とは裏腹に喜びや達成感といったものを感じさせない無機質なものだった。
湿った空気がまとわりつくような蒸し暑い夜。
目の前にある32インチのテレビではニュースが流れている。
それをラジオのように聴きながら、学校から課された宿題を片付ける。
「無意味な時間だ...価値ある勉強のためにこの時間を使いたい。」
そう呟きながら、PCに映し出された回答を紙に書き写していく