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「メタバース音頭」歌って踊って感じよう!メタバース空間でつながる心と身体 - #クリプトアイドルメタバース

 蘭茶みすみは、2022年に入ってからソーシャルVR空間「VRChat」で、私が所属するクリプトアイドルメタバース「メタバース音頭」を歌って踊っている。「メタバース音頭」は、初のオリジナル曲であり、みんなで踊って歌うことを目指したため、歌ったり踊ったりしやすい。1月1日の「年越しメタバース2021-2022」イベントのほかにも、深夜のポピー横丁や終了間際のコネクトステーションなどのパブリック空間で歌い、踊ったことで、「メタバース空間で、みんなで踊って歌ってつながる楽しみ」を覚えてきた。

 「メタバース音頭」は、クリプトアイドル「メタバース」(あしやまひろこ、ドコカノうさぎ、蘭茶みすみ)のデビュー曲だ。サウンドクリエイターAtreeさん作曲、あしやまひろこちゃん作詞、振り付け。メタバース空間における「平和と相互理解、創作活動の活性化」を目指して、音源をほとんどフリー素材として公開している。

 VRでアクセスするメタバース空間は、実際にその場にいるかのような没入感と、体を動かすとアバターも同時に動く身体感覚、空間を共有して他者と交流できる点において、「実質的に現実である」特徴がある。自分の身体や存在、世界に対する表現の自由もあり、「なりたい存在」、「自分がいちばん楽な存在」「親しみやすい存在」でいることができる。だから反応してくれる人もいるし、一緒に手を叩いてくれる人もいる。踊って歌う私自身も愛おしい。私の場合、現実で一人で部屋の中で踊るよりも異次元に楽しい。

 最初に踊ったのは、メタバースライターのアシュトンさんと、ぬこぽつさん主催「年越しメタバース2021-2022」という企画だ。クリプトアイドル「メタバース」3人で、フィナーレに参加者や「カソウ」舞踏団kouaさん、議員系VTuberおぎの稔さんらゲストと一緒に「メタバース音頭」を披露して輪になって踊った。最初は盆踊りのように輪になって進むように踊る予定だったものの、実際に踊るとみんなで中央を向いてキャンプファイヤーのように踊る方が、みんなの顔も見えて楽しいことが判明した。メタバース音頭は3点トラッキングでも楽しめる。個性が肉体からあふれ出たみんなと一緒に生き生きと踊っている。これはメタバース特有のアナログな楽しさなのかもしれない。

 次の日には明け方の「ポピー横丁」で、蘭茶みすみが一人で歌って踊った。ポピー横丁は日本語圏ユーザーが深夜に集まって飲んだり騒いだりしてよく過ごしているワールドだ。歌や演奏、DJを披露しているユーザーもいて、常にアジアの祭りのような雰囲気だ。

 私としては初めての生歌披露でもあり、知らない人たちの前で「うまく歌えるか?」「踊りを失敗したらどうしようか?」という不安もあったものの、「そんなことより楽しんじゃおう!」という気持ちが勝って、体が動いた。

 全ては杞憂に終わった。私のまわりには10人ほどが集まり、スタンプを飛ばし、拍手をし、自分の持っている楽器を鳴らし、歌い、踊り、ネットワークを介してラグが発生しようが無関係にどんちゃん騒ぎ。こんなに満たされた瞬間があるだろうか?こんなに人とのつながりを感じた瞬間があっただろうか?そんなことはどうでもいい。体の奥深くから全世界を尊重するような感情が湧いてきて、自分の手足や呼吸を突き動かしている。さすがに女声を出す都合上長時間はできないため、2周したところでやめたものの、今まで感じたことのないような満足感だ。

 次は、あしやまひろこちゃんと「コネクトステーション」で踊った。コネクトステーションは1月4日に終了したワールドで、VRChat内の情報が集まる集会場のような場所だ。私もVRChatを始めたころは毎日のようにお世話になったため、「ありがとーーーー!!」という気持ちが抑えられなくなり、感謝を込めて踊った。

 今度は20人、いや、さらに多くのユーザーが集まってきた。こちらを見ながら手を振ったり写真を撮ったり、スタンプを飛ばしたりしている。ひろこちゃんのレクチャーもあったものの、そのうち20人が自然発生的に踊り始めた。どこからともなく「メタメタメタメタバース♪」というメタバース音頭の特徴的な一節も、ラグを介して聞こえてくる。それとは無関係に麻雀を楽しむ一団もいる。遅れてようが歌詞が違おうが、踊りが厳密じゃなかろうが、別に興味があろうがなかろうが、そんなことより、そんなことも含めて?楽しい。何よりもいま、この瞬間が、この空間が楽しい。これがメタバース、これがメタバースだ。

 考えるな。感じろ。この楽しさを!つながりを!楽しい!ただ楽しい!

 音楽と身体表現って偉大だ。数日間メタバース音頭を歌って踊ってるだけで、いろいろな人から声をかけられて、全然知らない人と仲良くなって、全然知らない世界を知ることができるようになった。一級の自閉症スペクトル障害で喋れない自分が、ワールドの隅で誰にも声を掛けられず縮こまっていた自分が、踊りと歌を通じてコミュニケーションができるようになった。本当に嬉しい。これがメタバースだ。

 メタバースの本格的な普及により、空間と存在の自由を手に入れた人類は、遂に一緒に歌って踊って楽しいという感覚を共有できるようになった。インターネットは人々を分断し、蛸壺化を進めたというが、従来のインターネットとメタバースの大きな違いは、「本当に集まれる」点だ。別に分断しててもいいじゃないか。人間一人一人が基本なんだから。でも、ふらっと出ていったときに、こうしてみんなで心を一つにできるツールがあれば本当に楽しい。原始人に戻ろう。思い思いの姿形で、輪になって踊ろう。踊らなくても全然構わない。この社会そのものが、この「まつりごと」の根本に立ち返ることができれば絶対にもっと楽しく人間は生きていけるだろう。メタバースに幸あれ。願わくば、この楽しさが全宇宙を包み込みますように。

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