見出し画像

メタバースとMMОゲームの違いは権利の帰属かもしれない。ユーザーかプラットフォーマーか? - ソーシャルVR

 ソーシャルVRをはじめとする、最近「メタバース」と言われる「VRChat」や「cluster」などの3D仮想空間を共有するサービスと、3D仮想空間を活用し多人数が遊べる、「FF14」や「Minecraft」のようなMMOゲームやオープンワールドゲームの違いは、権利の帰属先かもしれない。

 ソーシャルVRもMMOゲームも、インターネット上に構築された3D仮想空間という意味では、広義のメタバースとされる場合がある。しかしソーシャルVRは、現実空間や他のソーシャルVRサービスと連続した経済・社会活動や存在表現が可能だ。MMOゲームは閉じた世界での演劇のようなもので、あくまで創作上の現象だ。ソーシャルVRが実質的に現実とされるのは、現実と行為の連続性があるからだと考えられる。

メタバースには現実空間やプラットフォーム間で概念の共有がある


 メタバースは表現物の権利をユーザーが有しているため、現実空間や仮想空間プラットフォーム間で概念の共有がある。ソーシャルVRでのアバターやワールドなどの制作物の権利の多くはユーザーに帰属しているため、クリエイターがアバターの写真や映像を自分のコンテンツとして商品化することができる。私も含め、少なくないソーシャルVRユーザーが、VRChatやVirtualCastで撮影した映像を自身のコンテンツにできているのはそのためだ。

 MMOゲーム内で作られた概念の共有は、プラットフォーム内部で完結している。アイテムやアバターなどの権利は、プラットフォーマー側に帰属しているため、ゲーム内で経済が存在していても、ゲーム外の経済には加わることができない。

 メタバースとMMOゲームは、SNSとソーシャルゲームの違いに近いかもしれない。ユーザーがnoteやTwitterに投稿したコンテンツは、そのユーザーのものだ。書籍化もできるし、他のプラットフォームで発表することもできる。一方、ソーシャルゲームのスクリーンショットやセリフなどは、自分のコンテンツだとして売ることはできない。ソーシャルVRでの表現もユーザーに帰属するため、プラットフォームを越えて存在やコミュニティ、表現、経済活動の同一性を維持することができるのだ。

 メタバースが空間と存在の新しいインフラとして、現実の延長線上として成り立つのは、現実空間と同じように、人間が権利を持っているからかもしれない。実質的な現実、バーチャルリアリティーだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?