見出し画像

【15分で読める】 リバプール大学 MScスポーツビジネス&マネジメント | 2年間のイギリス留学まとめ



「示しがつくまでオンサイドで挑戦しろ」

本noteでは、大学4回生 からリバプール大学大学院 - MSc Sports Business and Managementを卒業するまでの過程をわかりやすくまとめました。

- 留学に興味があるけどイメージがわかない
- 海外スポーツビジネス大学院を覗いてみたい
- どのような考え方で過ごしていたのか気になる

このような疑問を解消するための具体的なポイントを取り上げています。


また自分自身、海外スポーツ大学院への進学を決めた際に、日本語での情報が限られていたため非常に不安な想いをしたので、当時の心境を思い出しながら過去の自分に向けて書くつもりで、甘辛く本音ベースでまとめました。


それではよろしくお願いします!







なぜスポーツビジネス大学院留学をしようと思い至ったのかについては、こちらの記事からご覧いただけます:





留学準備


春先の鴨川



大学院留学に向けて準備をはじめたのは大学4回生の初春でした。

まずは、留学エージェントをリストアップし、それぞれ無料相談会のアポイントを予約したのですが、これらの相談会で判明した最初の壁は、そもそもイギリスの大学院に直接応募できる要件を僕が満たしていない、ということでした。


いきなりの赤信号に戸惑いながらも、実はこういう学生が多いため、そんな人たちに向けてイギリスの大学院が外部機関と協力して提供している大学院準備コース(以下:プレマスター)という専門学校みたいなカリキュラムを60%以上の成績をとって卒業することで、提携先の大学院に入学できるという道を教えていただきました。

がしかし、肝心のポイントは、このプレマスターへの入学条件や卒業難易度でした。


イギリス大学院留学は簡単には事が進まないだろうと予想はしていたものの、案の定、僕はそのプレマスターに応募できる要件すら満たしていませんでした。主な理由は以下の二つでした:


  1. 大学の「GPA」が足りていなかった。

  2. 「IETLS」のスコアを持っていなかった。


GPAについては、4.0を最高スコアとした場合、日本の大学が用いるGPA算出方法*で、3.3がプレマスターから入学オファーをもらうために望ましいとのことでした。これに対して、大学3回生を終了した時点で、僕のGPAは2.7しかありませんでした。



*日本の大学のGPA算出方法は、イギリスの大学で使われているそれよりもスコアが低く算出される傾向にあります。
主な理由としては、日本では履修した科目を途中でドロップアウトした場合、その科目は赤点として記録されるため、GPAにネガティブな影響を与えますが(要はマイナス点となる)、一方でイギリスの場合は、このような科目は「無効」という扱いとなり、GPAに影響を与えないからです。
(これは4-5年前の実体験であり、情報の鮮度が落ちているため、正確な情報は留学エージェントに直接お問い合わせください)


またIETLSについては、うろ覚えですが Overall 「6.0」のスコアが必要とのことでした。が、そもそもプレマスターは大学院に向けた準備期間として英語を勉強するための場所でもあることから、このOverall 「6.0」という設定は決して高いものではありません。そのため現状レベルを把握する目的で初めて受験したIELTSでは Overall 「5.5」を取ることができました。

(IELTSでは0.5点刻みでスコアが付けられ、0.5上げるために必要な時間の目安としては、毎日5-6時間した場合、約1ヶ月かかると言われているそうです)


つまり僕の場合、IELTSのスコアについては何とかなりそうだったので、大学のGPAを上げることが最大の課題となりました。

誰かが付けたスタバの Soy Milk





「仮」入学オファー



夏休みをIELTSの特訓に捧げた結果、無事にOverall「6.0」を獲得でき、10月上旬にリバプール大学のプレマスターへ出願を完了させました。「GPAはどうした?」と疑問に思われるかと思いますが、まだGPAの要件がクリアしていなくても、基本的にはIELTSのスコアがあれば出願できます。なぜなら、この時点では大学のセメスターが全て終了しておらず「大学通算のGPA」が手に入らないことから、代わりとして、卒業見込み証明書を用意すればよいからです。

(追加で大学教授からの推薦状や、入学志望理由書、高校時代の成績表を英文で用意する必要なども場合によってはあります)



なぜリバプール大学かと聞かれれば、一言でいうと欧州サッカー界への就職のためです。またここでは詳細を割愛しますが、大学選びの基準として業界人と繋がりやすかどうかをポイントにしました。

これとは別で、先に触れた通り Overall 0.5 を上げるためには、毎日5-6時間勉強をすると1ヶ月かかると留学エージェントの方から言われたのですが、自分の経験上、仮に毎日それだけトレーニングしたとしても、たった1ヶ月ではListeningとReadingのスコアはほとんど伸びないと思っています。一方で、WritingとSpeakingにおいては、IELTSで求められる独特な「回答の型」に沿ったをテンプレートを30日かけて何通りも用意・反復練習すれば、5.5 から 6.0 への「0.5アップ」、下手したら 6.5 への「1.0アップ」は現実的に狙えると感じました。



出願からたった10日ほどで、プレマスターから「仮」入学オファーが下りたと留学エージェントから報告を受けました。これは大学の最終GPAが要件を満たした場合に、「本」入学オファーに切り替わるものです。


住む国を変えて、未来を変えたかった。





渡英


前述の通り、「仮」入学オファーを「本」入学オファーに更新させるべく、大学4回生の1年間はGPAを荒稼ぎする必要があったため、すでに卒業単位をほとんど取り終えていたのですが、試験で高得点が狙いやすい初級レベルの科目を時間割りに詰め込めるだけ履修しました。


そうして朝から晩まで1-2回生と授業を受けるという4回生らしくない忙殺されたキャンパスライフを送っていたわけですが、その中でこちらが年上だからという理由で相手に気を遣わせてしまったり、自己紹介をした後に「あ、4回生だったんですね、すみません!」といった様子で、急に態度がコロッと変わってしまう後輩を見ていると、こちらも「何かごめん!」と日本の縦割り社会から離れたいという気持ちが、状況が状況なだけに一層強まっていきました。


そんなこんなで、当時の自分を取り巻いていた環境に耐えしのいだ結果、最終的にはギリギリでGPAをクリアして大学を卒業できました。


余談ですが、大学に入学した時に親から「同級生と遊ぶのも大事にしてほしいけど、大人との繋がりを広げるような大学生活を送ってほしい。大人は学生には持っていない知恵を与えてくれるから。」とアドバイスをもらっていたため、1回生のころからなるべく大学教授とは仲良くしていた(させてもらっていた)わけですが、ここだけの話、この関係性によってGPAを助けてもらいました。笑



卒業後は、地元のスーパーに入っている水産業者でアルバイトをしながらギャップイヤーを過ごし、9月の新学期に合わせて日本を出発しました。


イギリスのサッカースタジアム
学生寮からの眺め
初めて対面したリバプール大学





プレマスター入学



あらためてプレマスターとは、イギリスの高等教育に飛び込むにあたって、多くの留学生が総合的な観点で準備不足であることから、大学院で専攻する分野に関連した知識の獲得やアカデミックな世界への順応、そして英語力を培うために設けられたコースです。


校舎はリバプール大学の敷地内にあり、生徒はリバプール大学に通う学生と同様、大学の図書館やジムへアクセスできる権利が与えられます。





各クラス約20人で構成されており、大学で専攻する学問が近しいもの同士がクラスメイトになります。例えば、僕のようにスポーツビジネスを専攻する場合は Pre-Master's course in Business, Economics and Finance というプレマスターコースに所属し、経営学やマーケティング、経済学などを大学院で学ぶ予定の人たちとクラスメイトになりました。またプレマスターにおける生徒の国籍比率は、中国と中東が圧倒的なツートップです。

Liverpool FC サポーターの教師
クラスメイト (プレマスター卒業後に集結)



余談ですが、クラスメイトの中には30歳後半のアメリカ人がいて、彼のように英語ネイティブかつ社会人経験があったとしても、大学院で専攻する内容と関連したバックグラウンド(職歴や学位)を持っていない場合は、プレマスターへの入学を求められることもあります。


注意点:

先ほど 60% 以上の成績でプレマスターを修了することが大学院進学の条件と書きましたが、これに加えて、IELTS 形式で行われる英語試験にも合格することが求められます。

そこでは IELTS Overall「6.5」に該当するスコアを2-3回の限られた受験チャンスのなかで取得しなければならず、この英語試験がプレマスターの学生にとって最大の不安要素となっていたように見受けられたため、入学前に IELTS Overall「6.5」を取得するつもりで英語の事前準備をしておくことを強くお勧めします。


大学院進学のための要件




プレマスターで取り組んだレポート (一例) 



モジュール名: 【Strategic Management】
タイトル: 【アメリカの大手スポーツリテーラー「Sports Authority」と「Dick’s Sporting Goods」の比較分析】
授業で学習したシナリオ分析やらファイブフォース分析やらを用いて考察しました。


モジュール名: 【Organizational Management】
タイトル: 【アイルランドのファッションブランド「Primark」の分析t】
現代のグローバル・ファッション業界における立ち位置を、SWOT分析を使って考察しました。


モジュール名: 【Research Project】
タイトル: 【ヨーロッパサッカークラブがアジア市場に効果的にアプローチする手段の調査】
文献レビューを踏まえて問題定義をし、それに対する分析と結論を論文形式でまとめました。



レポート課題では、どのような構成で書けば良いのか、また各セクションにおいて何について何文字程度で議論すれば良いのかなど、教師から事前にガイダンスが与えられます。これに併せて、上記のスポーツリテーラーの分析レポートでは、最大文字数が 2200 words と指定されたので、その場合は最低 1760 words (8割)は書く必要があるなどの細かなルールも伝えられます。

もしレポートの内容に自信がない場合や、アイディアに行き詰まっている場合は、レポート最終提出日の数日前に、事前フィードバックをもらうための(仮)提出日を設けてくれる教師もいるので、このような機会は積極的に活用すべきです。


採点方法については、100%を最高スコアとして、ほとんどの学生が 50-65% のレンジにおさまるイメージで、70%超えを狙うのは容易なことではありません。また各レポートに要する期間は約3週間といったところでした。

 




リバプール大学大学院


授業の様子
授業内アクティビティ
グループプレゼンの表彰
赤点をとったスポーツ経済学



 



最初の授業ではまず、大学  (undergraduate) と大学院 (postgraduate) の違いについて、教授から説明を受けたのを覚えています。要約すると、前者では受動的に知識を与えてもらい、試験でこれらの知識の理解度を示すことが求められるのに対し、後者ではそれらの知識をベースに自ら問題提起し、それに対してアカデミックな水準で筋の通った見解を示すことが求められるとのことでした。


そのため大学院の授業形式は教授が一方的に話すような大講義というよりも、生徒の意見を積極的に取り入れながら回すインタラクティブな形 (グループワークやディスカッションの割合が多い) で進められます。

端くれ者だった僕は、そもそも何ついてディスカッションすれば良いのかすら理解できていないことが多々あり、周りのクラスメイトにいつもヘルプを求めていました。

「こんなレベルで入学して良かったのだろうか」

「場違いなところにきてしまった」

「キツイけど、好きなことを通して学ぶ充実感がある」

こんな風に思いながら、心地よい疲労感で眠る夜と、日差しと一緒に緊張が降る朝を繰り返した日々をここで書きながら思い出します。


ポスター発表会
大学からの帰り道



さて、ここで読者が気になっているであろう、僕の英語力(入学時点でIELTS Overall 6.5)がクラスメイトと比較してどのくらいだったのか少し触れたいと思います。

結論から言うと、クラスメイトが約80人いて、下から15〜25番目くらいの立ち位置だったと自己分析しており(下から15位タイが10人いるイメージ)、例えるなら、高校生サッカーの試合に、人数合わせのためにポツンと独り混ざった中学生が「なるべく少ないミスで味方にパスを繋ぐことだけに専念する」みたいな消極的な思考回路に陥っている状態でした。これでは全く自分をアピールできません。

またクラス全体のネイティブ比率は下記のようなイメージで、インド人を含めると約半数がネイティブという環境でした:

アングロサクソン「10%」
インド「40%」
中国「40%」
その他「10%」


これはあくまで僕の肌感覚ですが、それなりに歯応えのあるトピックについて、オープン・クエッションを議論するうえでは、最低でもIELTS Overall 「7.5」を目指せる英語力がないと、議論に参加できる準備ができていない状態だと思いました。が、

だからと言って「にわとりとたまご」じゃないですけど、こちらとしては高度な英語力を身に付けるためにこのような環境に飛び込んでいるわけなので、そんなに気にする必要はないと個人的には思います。

 

スポーツビジネスコースの仲間たち
教授の働きかけによって Prenton Park で試合をさせてもらいました!
週末の大学サッカーリーグ
平日のPowerleague (5-7人制サッカー)
イギリスでは土でプレーをすることはありません
よくサッカー後に訪れていた Tokyo (in Liverpool)
学生には嬉しいボリュームあるお得なメニュー


 


年間スケジュールと就活



大学院修士課程の期間について、日本やアメリカでは2年間が一般的ですが、イギリスの場合は1年間であることが多いです。

9月に新学期がスタートし、僕が所属していたコースでは翌年の6月末まで授業が行われました。そのあと 7-9月は最終課題 (論文または文献レビュー) に取り掛かるのですが、これは世界中どこから作業しても構わないため、6月末の授業が終わるとすぐ母国に帰国する生徒も多くいます。

そうして最終課題を9月中旬にオンラインで提出すると、卒業可能かどうかの審査が10月に行われ、無事に卒業許可が下りた場合は12月上旬の卒業式に出席するという流れとなります。

注意点:

7月以降の最終課題に取り掛かる前に、2つ以上の科目で赤点をとった場合、最終課題と並行して追加のレポート課題をやらなければいけません。こうなると時間的に相当キツいと思うので、これから進学を考えられている方は、各課題に手を抜かずに取り組んでください!(1科目のみ赤点の場合は、特にペナルティは科されないので大丈夫です)

また新卒として日本で就職を考えている場合は、3月に就活情報が解禁し、3月末から4月上旬にかけてロンドン・キャリアフォーラム(以下:ロンキャリ)が開催されるため、9月に大学院に入学してわずか半年後には、授業と並行して本格的に就職活動をしなければいけません。僕がロンキャリを通してアプライした日系企業の選考プロセスはこんな感じでした:

3月 - ロンキャリ登録(プロフィール作成)
4月 - 書類選考とSPI
5-6月 - オンライン面接 3回 (英語面接含む)
7月 - 内定通知
9月 - 内定承諾の最終締め切り

もしイギリス現地で就職を目指す場合は、最終課題を提出してから卒業式の間(9月から12月)に就活に専念するイメージですが、この短期間でフルタイムの仕事を見つけられる人は少数派なため、卒業後もGraduate Visa (期間2年間) を使って就活を続ける可能性は高いものだと予めイメージしておくと、卒業後の収入源や住居などの準備を進める上で役立つかと思います。



課外授業で訪れた Etihad Stadium と、
The Grand National (Aintree)





大学院で取り組んだレポート (一例) 



モジュール:【THE GLOBAL CONTEXT OF SPORTS BUSINESS】
タイトル:【Evaluating future opportunities in Asia from the view of sports CSR-related sponsorship】
CSRの視点でスポンサーシップの可能性について文献レビューをまとめました。
 

モジュール:【Sports Business in Practice】
タイトル:【Alternative ticket pricing system in the J.League】
Jリーグのファンの高齢化とチケット販売システムに着目し、価格変動システムの導入とその効果について提案をしました。
 

モジュール:【SPORTS OPERATIONS AND EVENTS】
タイトル:【Critical Review of Anfield Stadium】  
アンフィールドスタジアムのオペレーションについて、特に安全面確保の観点で調査結果をまとめました。


モジュール:【SPORTS MARKETING AND SPONSORSHIP】
タイトル:【Value creation between the Japanese largest publisher and Reputable French football club】
非スポーツ組織とスポーツ組織の間で具体的なパートナーシップを提案し、それによって生み出される価値について分析しました。


モジュール:【Strategic business research for sports】
タイトル:【Contemporary issues of fast-growing esports ecosystem and the fans’ development】
eスポーツの経済システムとファンの発達について文献レビューをまとめました。

各レポートはオンラインで提出します
(文章の引用率が自動的にチェックされ、割合が高いと自作として認められません)



各レポートの文量は約 2500 words の指定がされることが多く、プレマスターと同様に約3週間ほど完成のために費やしていました。


またイギリスの大学院は課題が多くて大変だと一般的には言われていますが、 実際は想像していたよりも遥かに自由時間がありました(もちろん学部によりけりですが)。具体的には、2ヶ月おきに忙しい時期がくるイメージで、期末レポートの内容が発表されてから締切期日までの約2ヶ月は大学の図書館が生息地になる一方で、この期間を耐え凌げば、その後2ヶ月はサッカーに明け暮れるといったように、時期によって忙しさの波が激しい生活サイクルでした。

深夜の図書館
頑張ってる友達に東京バナナを差し入れ
(タイ人から大人気です!)




放課後の様子


プレマスターも大学院も1日の授業はせいぜい4時間ほどです。圧倒的に自由時間の方が時間が長くなりますし、この時間をいかして学業で高みを目指す人はどこまでも忙しくできる一方で、僕はどちらかというと、人との出会いや付き合いのために時間を使ってきました。

プレマスターで仲良くなったタイ人と一緒に住むことになった当時のアパート
(よく一緒にサッカーをしていた韓国・タイ・日本・イギリスの友達とご飯)
タイ人にはよくご飯を作ってもらったり、ゲームを教えてもらったり、
彼らの試験が終わればこちらの状況などお構いなしに睡眠の邪魔をされた。笑
うちに居候をしていた友達
インド人が作ってくれたご飯
Ko!
イギリス人の友達は真面目なトーンでこの組み合わせが美味しいと言う
リバプールはビートルズが誕生した街
アルバートドックにある美味しいパン屋さん
イギリスの車窓から
フットボールの聖地ウェンブリースタジアム
プロの下部組織を視察
チャンピオンズリーグ決勝当日のリバプール市内





卒業式







気になる質問(加筆)



Q. 自分の体験や肌感覚と、クラスメイトを交友関係を見ていて、プレマスターと大学院で一生ものの付き合いに発展するような出会いはあるのか?人種的なバックグラウンドは異なれど、志が近いもの同士が集結していることによる強い繋がりみたいなものはあったか?

A. 自分の体験からも、周りを見ていても、そのような出会いはあると言えます。イギリスの大学院というのは、そこでどういう生活を送りたいのかデザインできる時間的な余裕がありますし、つまりその人のキャラクターや将来に対する意気込みのような一面が見えやすいという部分があります。そういう意味では、自分と似たような気概を持つ学生を見つけやすかったですし、そもそも出会いが海外大学院ということで、最初から一定のリスペクトが成り立っていたので、より深い友情に発展しやすい環境ではありました。


Q. 他のクラスメイトの志望理由はどんな感じか?ざっくり「自分がスポーツをやっていてそこに関わる仕事がしたくて」みたいなものが多いのか、「スポーツビジネスがその国や人にとってブルーオーシャンだから」みたいな感じなのか、それとも他の理由が人それぞれにあるのか?

A. クラスメイトの志望理由については、「スポーツビジネスがその国や人にとってブルーオーシャンだから」というものはあまり聞かず、むしろ自国ではスポーツ産業が未発達なため、好きなサッカーに関わる仕事をするために産業が潤っているイギリスにきた、みたいなニュアンスの人(特にインド人)が多かったように思います。また、年齢やライフステージによって志望理由に一定の傾向があったように感じていて、20代の人たちはざっくり「自分が好きなスポーツを学位として形に残したい」とか、「欧州サッカーで働きたい」みたいなフワッとした志望理由が多かった一方で、30歳以降の人たちは目的意識が明確にあって、それを解決するために大学院を使い果たしていた印象を受けました。例えば、元々スポーツとは全く関係のない業界で働いていて、スポーツ業界にキャリアチェンジするためにという理由や、既に在籍しているスポーツ組織の中で出世コースに乗るためにという人もいました。しかし、いずれの場合においても在学中に当初の卒業後のプランを変更するということがよく起こるので、結局のところ志望理由はあってないようなものでした。


Q. プレマスターや大学院で学んだフレームワーク(シナリオ分析やらなんとか)は、今サッカークラブで仕事をしていて(あるいはしている人を見て)、1-必要であり実務で役立つ; 2-あまり使用しないけどこれらに触れたことがあるのは有用; 3-ほぼほぼ使わない、でいうところのどれか?

A. これに関しては、「2-あまり使用しないけどこれらに触れたことがあるのは有用」です。乱暴な言い方をすれば、フレームワークなんてどうでもよくて、それよりむしろ、これらのフレームワークを正しく実世界にアプライするうえで必要な「情報の集め方」「構造化して分析すること」とはどういうことか教授からフィードバックをもらった経験がいまでも役に立っていると感じます。



Q. アカデミックな水準でデータを処理する経験をして、普段の生活で触れる情報(YouTubeで動画をみる; ネットで記事を読む; Xをみる,etc)に対しての扱い方は変わったか、それとも実世界とアカデミックは別物であり、大きな変化はないか?

A. 大きな変化はありました。普段の生活の中では、例えば、本の著者やインフルエンサー、オピニオンリーダーによる主張を無視できる比率が格段に増しました。理由としては、「彼らの主張の裏にある情報源がわからないから不安」「論文によって効果が裏付けさられていても、大学院で論文の脆さについても知れたから不安」というように、全てのデータを疑う癖がついたからです。またアカデミックなデータ/記事にアクセスする際には、「本資料ではこのように結論付けましたが、データの母数が不十分と言えます」みたいな当該レポートの欠点が報告されているセクションがだいたいあるので、そういう弱さ・脆さに気を配りながらデータを扱えるようになりました。僕みたいに他人の言うことを信じ込みやすい人間にとっては、アカデミックなデータを扱う経験は有意義なものになるはずです。笑



Q. プレマスターと大学院でドロップアウトする人の割合はどのくらいか?(ドロップアウトしていた人の理由や共通点は見てとれたか)

A. 知り合いにドロップアウトした人がいるので気まづいのですが、、割合は1割くらいだと思います。仮に英語力や元々のIQが劣っていたとしても、ちゃんと留学生活を通して学業にコミットすれば教授やクラスメイトがサポートしてくれます(この点で日本人と韓国人はアジアの中でも特に真面目な性格をしている傾向にあります)。逆に言えば、ドロップアウトした人からはこのコミットメントを感じませんでした。


Q. 準備期間も含めて、大学院生活を終えた今振り返って、こうしておけば良かった・今戻れるならすること・変えるかもしれないこと・変えないことはあるか?

A. もっと留学前からリバプール大学のOBを訪問して、スポーツビジネスコースの授業内容や生徒の卒業後の進路状況などについて事前リサーチできたと思います。「最後に - 大声では言えない話」でも触れていますが、大学院の「闇」を留学前に知っておくべきでした。変えない点では、留学期間中に積極的に人と交流したことで、大学院卒業後の「使えるネットワーク」を形成できたと振り返るので、こういう姿勢・過ごし方は変えないです。





最後に - 大声では言えない話


以下では、あまり大声では言えない、留学の「闇」についてまとめました。他のクラスメイトが卒業後どのような進路を歩んでいるのか、留学にかかる費用はいくらなのか、その他にも一歩踏み込んだトピックを取り上げています。

僕の独断と偏見をもとに殴り書きした内容ですので、誤った情報も混ざっている可能性がありますが、この点について予めご了承いただいた上でご覧ください。
 

ここから先は

3,859字 / 1画像

¥ 398

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?