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浜松 2

【療養日記2023 12月9日(土)】

 3年半ぶりの一泊二日旅行。滞在したのは三ヶ日にある浜名湖沿いの「アクアペション・クッチェッタ」。前日の疲れもあって夜は眠れるかなと思っていたがベッドと枕が変わっただけでなかなか眠れなかった。

 宿のベッドが悪いのではなく、療養生活で身体に負担の少ない硬めのマットレスを使わないと寝られないクセがついてしまい普通のマットレスではもはや眠れなくなってしまった。沈むマットレスは腰に多少なりとも負担となる。今は寝返りを打つのでさえひと苦労する身体だ。部屋のベッドのマットレスも実は療養用のものをレンタルしている。

 そんなわけでなかなか寝られなかったが、考え方を変えればそれでも眠れたくらい疲れてもいたわけだ。

 朝6時に目を覚ます。日頃の生活ならば平日休日問わず寝坊だ。起きてまず外を見ると息を呑むような風景が広がっていた。

夜明け前の浜名湖

 こんなものが目の前に広がっていたら途端に目も覚める。

 スマホでタイムラプス撮影をはじめ、陽が昇るのを待つ。やがて陽が昇ってくると空は真っ赤に染まり湖の眺めはさらに幻想的に。

 明るくなってわんこと朝の散歩に出る。今日は雲ひとつない快晴からスタート。小一時間ほど浜名湖沿いの遊歩道を散歩したあと、朝食をとる。朝食も朝っぱらから贅沢だといった内容だった。

 朝食の後もチェックアウトの10時ギリギリまで部屋で寛ぐ。今回は本当にこのクッチェッタ滞在を楽しむのが目的だったといえる。そのくらいに昨日の午後からずっと贅沢な時間を過ごした。

クッチェッタの部屋のテラスで

 チェックアウトをすると道路向かいのラリーズカンパニーに移動し、お茶を飲んで他のわんこ連れのお客さんとあれこれとお話をして過ごす。行く場所も絞ってできるだけ滞在を楽しむようにしていた。お昼ご飯もラリーズカンパニーで食べる。そのくらいスローペースだった。

 昼食を終えて1時前くらいにようやく出発。今日の目的地は浜松の観光地などではなく、妻が小学生時代に暮らしていた町。富塚とすぐ横にある佐鳴湖だ。めぼしい場所へ行くよりもこういう思いでの場所を訪ねた方がきっと思い出に残ると思った。

 といっても今回は妻の思い出の場所ばかりで、自分には馴染みはもちろんないが、それはそれで妻が楽しんでくれたらい良いと思った。

 最初は妻が小学生の頃に住んでいた家のすぐ横にある小さな公園に向かう。ところが公園で清掃をしていたのですぐに引き上げてまずは佐鳴湖公園へ移動。


佐鳴湖公園

 

佐鳴湖公園

 今年は秋が遅い上にあっという間に終わってしまい、公園はまだまだ十分に秋の風情に包まれていた。この日は12月とは思えない陽気で最高気温も20度近くまで上がったらしく、日中も重いコートは必要なかった。

 佐鳴台公園で写真を撮りながらのんびりと散歩をすると先ほどの小さな公園に戻り、そこでしばらく休んで写真を撮った。僕にとっては見知らぬ公園でも妻にとっては幼少の思い出もたくさんある公園で、スマホを片手にあちこち写真を撮っていた。


浜松市富塚町、弥生公園にて

 妻が十分に思い出を楽しんでいる間、僕は疲れも溜まっているので座って休んでいた。たった1泊2日の小旅行なのに身体が疲れ果ててしまい、この3年の療養生活とその元となった病気は本当に残酷なまでに人を無力にさせてくれたなと思う。

 次に向かったのが昨日も行った舘山寺の「らーめんカフェワコー」だった。お店に行く前にまずは舘山寺にお参りに行く。


舘山寺 曹洞宗だが開基は弘法大師

 お参りを終えて少し暗くなり始めた頃にお店に到着。昨日は慌ただしくて食事をしたらすぐに帰ってしまったが、このお店はわんこOKという珍しい店でそれもあって店主とのつきあいも長く、昔は年始の挨拶にも行くくらいだった、その時の初詣はもちろん舘山寺だ。店主だけでなく店主のお母さんがいつも喜んで迎えてくれて今日はお母さんともゆっくり話をすることができた。

 食事をするのもそうなのだが、今回はとにかく疲れ切った身体を休ませることも目的の一つだった。妻は早く帰りたそうにしていたが、できるだけ閉店時間ギリギリまで滞在して身体を休めていた。

 もちろん食事も存分に楽しめた。普段から餃子を食べない自分もこの店の餃子は食べていた。そしてここでは替え玉を注文してわんこにも「面食い大会」を楽しんでもらう。わんこにとってはこれが最大の楽しみでもある。

 こうして閉店時間オーバーの夜7時半くらいに出発。浜松での予定は全て終えてあとはゆっくりと帰る。とにかく途中眠たくなるので何度か休憩もはさみ、家に着いたのは11じ前くらいのことだった。

 今回この1泊2日の旅行をして改めて気がついたが、もう長距離、長期間の旅行はできないなと感じた。車は幸い疲れにくい車で、そのあたりがとても助かる。しかしその反面またヘトヘトに疲れてもいいのでどこかに行きたいという欲が久しぶりに出てきた。

 しかしこの旅行で妻はどうやら風邪を引いてしまったらしく、日曜日は殆ど寝て過ごしていた。僕は僕でやはり疲れ切っていて日中も寝ていたし、わんこは当然つられて寝ている。

 最後に今回の旅行、とにかく贅沢な時間が過ごせて楽しかった。お金をかけて贅沢をするのではなく、本当に好きで落ち着ける場所での時間を大事にしてスケジュールに縛られなかったのが一番の原因だったと思う■

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