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北海道の東、浦幌という町で5ヶ月暮らしてみて

こんにちは!歩いて日本一周中の平井佑樹です。

2021年5月12日に東京駅を出発して始まった日本一周は、同年10月25日北海道伊達市到着をもって冬眠の期間に入りました。東京駅を出発し、埼玉・茨城・千葉・栃木・福島・宮城・岩手・青森と北上して北海道まで、約2000キロを5ヶ月かけて歩きました。

そして2021年11月1日から2022年3月31日までの冬の期間は、資金集めのため、北海道の道東にある浦幌という町のゲストハウス「ハハハホステル」を拠点にして暮らしていました。

あまりSNSも更新していなかったので、ぼくが浦幌で何を見て、どう感じて、どのように暮らしていたのか。22年間生きてきた横浜での暮らしとは全く違うものだったので、浦幌での経験を5ヶ月間の振り返りとして残していきたいと思います!

浦幌ってどんな町?

浦幌という町は北海道の東側、道東と呼ばれる地域にあります。帯広と釧路のちょうど真ん中に位置している第一次産業が豊かな町で、太平洋沿いから山林まで南北に広く、豊かな自然に囲まれています。

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北海道の外周は3000キロ
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浦幌を数字で表すと・・・

・札幌から車で4時間
・人口4500人
・食料自給率2900%
・電車は2時間に1本
・面積729㎢(人口568万人の国シンガポールが728㎢でちょうど入る。)

ぼくが浦幌町/ハハハホステルに辿り着いたわけ

実は、浦幌には縁もゆかりもなかったんです。浦幌町に来ることが決まった10月の中旬、その少し前に存在を知りました。

当初は冬期間の間に酪農のお仕事をしたかったのですが、さすが北の大地、運転免許がないと話にならないようで断られまくり!やばい!どうしよう!冬の滞在先が決まらない。。。そんな時に相談した方が、ハハハホステルというゲストハウスのオーナー小松さんを紹介してくださいました。早速連絡をしてZOOMで面談、1週間足らずで冬の間の滞在先が浦幌町に決定しました。

浦幌町での5ヶ月は、ハハハホステルで住み込みのヘルパー(清掃とか薪割りとか)をすることで宿代を浮かしつつ、林業と新聞配達のお仕事を掛け持ちして旅の資金を貯めていました。それ以外にも、農業、木炭、神社のお手伝い、雪かきなどのアルバイトもしていました。

長期で酪農のお仕事に携わることにはならなかったものの、結果として1番いい選択にすることができたなと自負しております。

11月から冬ごもりのくせに10月7日の時点で決まっていない。。。

浦幌でできたこと

やりたいことは口に出す。誘っていただけたら行く。定期的に人に会う。慣れていく浦幌での生活の中で、意識していたことでした。そして、たくさんの方の優しさのおかげで素晴らしい経験をすることができました。

ほんの少しですが、ぼくが経験できたこと、感じたことを紹介できたらと思います。

・第一次産業に関わることができた。

浦幌町木下林業さんにてアルバイト


林業・農業・酪農・肉牛・漁業・木炭。第一次産業と言われて想像がつくであろうお仕事全てに、この5ヶ月間で携わることができました。

林業では、私たちの生活に寄り添うたくさんのものが森にあった木から生み出され、さまざまな過程を経て暮らしに届いていることを知りました。

広尾町菊地ファームさんにて10日間の酪農実習

酪農では、ぼくの目の前で赤ちゃんが生まれました。生まれてすぐに自分の足で立とうとする生命の力に感動しました。初乳を与え、名前もつけさせていただきました。名前は「ユウキ」ちゃん。 元気だといいなぁ。

https://kikuchifarm.jp/


マスクをしていても炭で鼻まで真っ黒

浦幌町の浦幌木炭では、100年続いてきた伝統的な製法を学び、それを継承した方の想いを聞きました。


植林する前の土地をきれいにする「地ごしらえ」

他にも、野菜の箱詰め、肉牛の餌やり、昆布の仕分け、などなどなど。やりたいと考えていた第一次産業の全てを経験することができました。

北海道でさまざまな第一次産業の一端を見て、知って、体験して、僕たちの命に直結しているお仕事の重要さを改めて強く感じました。第一次産業は義務教育だな。とそう思うようになりました。

・狩猟に同行した。

鹿の足跡


僕たちは食事をして命をいただくことで、生きることができている。たくさんの命の上に立っている。だけど、どうにもその事実から離れている気がしていました。だから、生きるために殺す。そんなシンプルなことに向き合ってみたくて、狩猟に同行させていただきました。

バーーン!目の前を飛ぶように駆けていった鹿は遠くで倒れた。走り寄って触れてみると、まだ暖かくて、獣のにおいがした。ああ、ここに命があったんだ。

解体現場に運び、鹿はみるみるうちに美味しそうなお肉に変わっていく。後脚を一本いただいて持ち帰り、その日に食べた。そのお肉は死後硬直で硬かった。

生きるために殺す。あの時、生命の循環に少しだけ触れることができた気がしました。

・地元以外を知ることができた。

浦幌の小学生たちと毎週空手教室に通っていました。


浦幌にあるのは中学校まで。高校から下宿に入り一人暮らしする子がいる。都会にあるような娯楽もチェーン店ももちろんない。

17万人が暮らすぼくの地元。ぼくは隣人の顔を知らない。思い出せる顔は、学校の友人くらい。対して、浦幌の人口は4500人もいない。でも、たくさんの人が支え合って暮らしていて、ぼくは何十人もの人の顔を思い浮かべ、その人たちとの時間を思い出して笑顔になることができる。

その土地で生きることでしかわからない、自分の当たり前とまた違う当たり前の世界に触れることで、世界を見る幅がまた少し広がりました。

・自分なりの豊かさを見つけた。

お気に入りの夕焼けスポット


ぼくにとって豊かさは、時間の過ごし方にあると考えています。物質的に豊かであることではなく、自分にとって心が豊かであれる瞬間の多さ。例えば、他愛のない話をしながらパチパチ薪ストーブが燃えている時とか、ハンモックに揺られて空を眺めている時とか、人を想いながら何かをしているとき。自然の中にいるとき。思わず平和だな〜と呟いてしまう。

都会では、豊かさは何かしないと得られなかった。でも浦幌には、豊かさが常にあたりまえにそばにありました。

・たくさんの繋がりができた。

合同お別れ会


また会いたい人たちがたくさんできました。浦幌の生産者さんや、地域おこし協力隊として街を盛り上げる方々、町の失われかけた事業を継承し新しい一歩を踏み出す方々に出会いました。

そしてハハハホステルに集まる、各々の町を盛り上げていこうとする素敵な想いを持った同年代。若者のサポートをしつつ、自分たちが楽しく暮らしていくために惜しまずアクションを起こし続ける先輩方。

かっけ〜〜!と思いつつ、自分はそこに足を突っ込んでないなと時折感じるさみしさも。日本を巡りながら、これから先色々な関わり方を模索してけたらなと思っています。

忘れられない思い出

いきなり外から来たよそものが、こんなに暖かく迎えてもらえて、一緒にたくさんの時間を共有できるとは思いませんでした。

新聞配達のお母さんは、毎朝朝ごはんを作ってくれました。

神社の皆さんとは、一緒に空手をして、バーベキューをして、鍋を囲みました。

牧場のお母さんとお父さんのお家に何度も行って、たくさんお話しをしました。

ワカサギ釣りやスノーモービル、冬ならではの遊びをしました。

深夜の3時までスナックで歌を歌いました。

「この町でなんでも叶えてやる」そんな逞しい一言をいただきました。

浦幌に、ハハハホステルに、来てみてください。


自分たちの町を好きだと胸を張れる、かっこいい大人がたくさんいます。森林から、教育から、飲食から、未来を繋げていこうとアクションが起こり続けています。

支え合って生きていく、そんな文化があります。浦幌に冬の装備を何も持たず訪れたぼくですが、気づいたらパンツ以外いただいた服で毎日を過ごしていました笑

浦幌に来てくれたんだから、楽しんでいってほしい。そんな想いを伝えてくれました。

道東が、浦幌が気になるならまずは、ハハハホステルへ。

オーナーの小松さん。本当に28歳なんですか!?と聞きたくなるくらい、頼りになります。こんなことしたいです〜と口に出した全てが叶うようにサポートしてくださいました。

ハハハホステルには、大学生・休学生・全国のゲストハウスをめぐっている人・尾道の服職人・フリーランス。多種多様で、いろんな想いを持った方々が訪ねてきました。そして各々の日々を過ごして、何かを見つけて帰っていく。

広がる世界や選択肢は必ずあると思います。

#道東の未来

同じく道東でぼくがお世話になったドット道東という方々がいます。とっても簡単に言うと、「自分たちが生きているこの道東で、楽しく暮らしていけるようにやれることやろーぜ!」っていろんなことをしてる団体なのですが、最近、2冊目の本が出来ました。

それが「道東の1000人の理想」を集めた本です。

詳しくは上記を読んでほしいのですが、ぼくの理想もあります。そこには「北海道の大自然の中で暮らしたい、働いてみたい」書きました。

あれ?なんか叶ってるな?

短い間でしたが理想を叶えてみて、また新しい理想が出てきました。

そんなぼくの道東の未来は「道東に拠点を作る」

今はずっとひとつの場所にいることは考えていません。日本を歩き、世界中を周り、自分の好奇心をを満たしたい。

でも、将来、道東に拠点が欲しい。動物がいて、畑があって、自然がある。音楽とか、本をのんびり楽しめる。そんな場所。

自分と大切な人たちが心豊かに時間を過ごせる場所を作れたらなと思っています。まだまだまだまだ、先の話ですが、ぼくはずっとこの道東の厳しく美しい自然と、温もりあふれる家族のような方たちと関わっていたい。

そう思っています。

さいごに

浦幌で暮らしなよ!

寂しくなるね

いつ帰ってくるの?

そんな嬉しい言葉をかけてもらいました。

家族のような存在が浦幌にできました。

たくさんしていただいたこと全てに恩返しなんてできないけど、ぼくはこれからの人生で、北海道にある浦幌という町で過ごした素敵な5ヶ月間を伝え続けていきます。

浦幌という町の名前を聞いたとき、想える方々がたくさんいることがぼくの財産です。

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2022.5.4~5.18

日本一周を再開して、また1ヶ月。歩いて浦幌に戻って来ました。

たくさんの方が笑顔で「おかえり」と。とっても嬉しかったな。

次に浦幌に帰ってくるのは、いつになるかわからないのだけど、これから先、関わり続けたい町に、想い続けたい人たちに出会えました。

ぼくが自分の人生を歩いていく中で、浦幌で出会ったたくさんの方々の温かい笑顔が、苦しいときに踏ん張れる力になっていくんだとそう思います。

出会って下さった全ての方に、心からの感謝を。




日本一周中に美味しいご飯を食べるお金に充てさせていただきます。