【ショートショート】紫陽花

からだに紫陽花が咲く

ぶつかられて

そのときは気づかなかったけれど

なんだか当たると痛くて

気が抜けた時

服を脱いだ時

他の人に指摘されて

気づいたり

その時には分からない

あとから段々と気づく

紫陽花のように色が変化する

ひとつのあざの中で
濃淡がある
ひとつだけでなくて寄り集まって
ひとつのあざになってる

紫陽花を見て
泣いてもいいんだなと安心する
梅雨のように止めどなく
涙をふらすことができる

痛かったんだ
傷つけられたんだって

こころを殴打されたとき
からだに紫陽花が咲いたら
楽なのに

紫陽花が代わりに、叫べば
とめどめない雨をふらして
わたしたちに傘を持たせて

通りすがりの人と
ぶつからないように促してくれるかもしれない