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一周忌

2017年に出会い、2018年5月にTNRしたすずめちゃんです。
捕獲したときは私の腕に数個の穴をあけるほど大暴れをした子でした。

避妊手術を受ける前の検査では、猫エイズも白血病も陰性で、体重は4.2キロありました。推定年齢は1~2歳。
人に馴れていないためリリースしてご飯のお世話を約4年半続けました。

2022年の夏ごろから食欲が落ちているのが気になっていましたが、近寄ると逃げてしまうので見守るしかできません。数日姿を現さないと心配でたまらなかったのですが、私に何ができるのだろうと悩みながら食べやすいものを少しでも食べてもらうために工夫しました。

2022年の夏は我が家の猫たちが代わる代わる体調を崩し、オス猫は原因不明の発作を起こして脳腫瘍の疑いがあると言われたり(結果はてんかんでした)、とにかく私もいっぱいいっぱいでギリギリの精神状態でした。

すずめはそんな私の様子を察知したのか、しばらく姿を見せなくなり、私は心のどこかで覚悟をしていました。
ところが、脳の精密検査の日に病院から戻ると玄関ドアの前にすずめがいたのです。
まるで精密検査の結果が出る日を待っていたかのようでした。

わたしは何か食べさせようとしたのですが、すずめはちゅーるを少し舐めただけでゆっくりと姿を消していきました。

それから2週間ほど、一度も姿を見せなかったのです。
ほんとうにもう会えないのかも知れないと心の中で認めたくない事実を受け入れようとしていたときです。

敷地内に置いてある猫ハウスの中にすずめが丸くなっていたのを発見しました。

一瞬迷いました。
ここで捕獲に失敗したら、もう二度と会えないような気がして。
ですが、すずめの体は明らかにやせ細っていて、衰弱しているのがわかりました。

決心して捕獲すると、悲しいくらいにあっけなく捕獲できたのです。
まるで子猫のような軽さでした。

すぐに病院に連れていき、詳しく検査をしてもらうと、避妊手術したときには陰性だった猫エイズに感染していました。
そして腎臓は1つはほとんど機能していませんでした。
さらに詳しくエコーで検査をすると、腸のあたりにかなり大きな腫瘤があるようでした。

それが悪性のものなのか検査するかどうか迷いましたが、体重は2キロを切っていて、体力もないため、とにかく苦痛を取り除き、少しでも食べて体力を戻すことを優先する治療をお願いしました。

3日の入院をしている間に、医師とも相談して、腫瘍が悪性だった場合に手術や抗がん剤治療をしても助かる望みは限りなく低いと言われたため、自宅で緩和ケアをすることに決めました。

ステロイド剤とひどい下痢をしているので下痢止めの薬を処方され、自宅に連れて帰りました。

それから3週間、私はすずめに付きっ切りで看病しました。

衰弱しきっているのに、まだ外の世界に戻りたがり鳴くすずめをそっと撫でてやると、小さくゴロゴロと喉を鳴らしてくれました。

はじめて聞くすずめのゴロゴロ。
思わずスマホで録音しちゃいました。

あんなに狂暴で、触ろうとして何度か傷を作ったのが嘘のようにおとなしく触らせてくれる。
お薬だって口に入れて飲ませても嚙もうともしない。
ほんとにあの気の強いすずめなの?と思うほどおとなしくなってしまったのです。
それほど衰弱していたのでしょう。


出会って5年、はじめてすずめを抱っこしました。
つくしやふくと比べると、綿菓子のように軽い。子猫みたいに小さくなったすずめ。


すずめ



最期まで強く生き抜いたすずめ。
2022年11月7日に空へ旅立ちました。

あれから一年経ったなんて信じられません。

戻ってくるなら急がないと、お母さんも歳とってしまうからね!と念押ししたのに戻ってくる様子は今のところありません。

次は必ずお家の子になって生まれてくるんだよ!とも言い聞かせたので、それならそれでもいいのです。
すずめが幸せでいてくれるなら、それが一番大切なことだから。

すずめ、最後におかあさんと過ごす時間をくれてありがとう。
ずっとずっと忘れないよ。

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