落語を覗いてみよう

はじめに

皆さんはおうち時間をどのように過ごしていますか?

時間を持て余しちゃってる人向けに,いろんなことが各所で提案されていますね.
この流れに便乗させてもらって,僕からもひとつ提案させてください.
自粛生活のお供に落語はいかがでしょうか?

この記事では僕のお気に入りの中で,落語初心者が聞きやすいと思う話を超ラフに紹介します.
Youtubeとかにもあがっているので,これを機に「なんだ落語って思ったより分かりやすくて面白いじゃん」「家事の最中に流し聞きでもしよ~」なんて思ってもらえると嬉しいです.

滑稽話

分かりやすくて聞きやすい.人ってこういう愚かなところあるよね~っていう話たち.

みどりの窓口

立川志の輔さんの新作落語.主人公はみどりの窓口の駅員さん.人のいい駅員さんが次々とやってくる厄介なお客に翻弄されるおはなし.身近な題材で時代も言葉も現代なので,落語聴いたことない人にとっては一番入っていきやすいんじゃないかと思います!

時そば

NHKの教育番組『にほんごであそぼ』で「じゅげむ」なんかとともにアニメ化もされてる有名なおはなし.ある男がそばを食べていた.この男が口の達者なくせ者で,お会計の際に一文ずつ店主に手渡す.「1,2,3,4,5,6,7,8,いま何時だい?」「9(ここのつ)です」「10,11,12…」と途中で時間を聞くことで支払いを一文ちょろまかす.で,店主は結局気づかないんですけど,近くでこのやり取りを聞いていた別の男は気がついた.よし,俺も真似してやろう!と次の日意気揚々とそば屋に行くのですがなかなかうまくいかなくて…というおはなし.短くて笑いどころも多く聴きやすい.口の達者な最初の男とそれを真似する男の対比が楽しい作品.これを聴くとそばを食べたくなる.

裁判もの

ドラマの『HERO』や『リーガルハイ』とか好きな人におすすめ.大岡様という奉行人(裁判長的な人)が一筋縄ではいかないトラブルをどのように決着させるのか考えながら聴くのが楽しい.

三方一両損

ある日財布を拾った金太郎は,落とし主の吉五郎のところに届けに行く.ところが吉五郎は財布は受け取るが中身の金はいらねえから持ってけと突っ返す.金太郎もそんなものはいらねえと断る.持ってけいらねえの応酬から取っ組み合いの喧嘩に発展し、しまいには奉行大岡様に訴え出ることになって…というおはなし.これぞ江戸っ子という金太郎と吉五郎のやり取りは実に爽やか.小気味のいい啖呵が聞ける.

大工調べ

家賃を滞納していた大工の与太郎は家賃のカタに職人の命ともいえる道具箱を大家さんにとられてしまう.それを聞いた棟梁は「道具箱がないと仕事が出来ない,仕事が出来なきゃ家賃も払えない」と与太郎を連れて大家さんに直談判しに行くのですが,ちょっとしたことで口論に発展してしまい…というおはなし.こちらも棟梁の啖呵が聞いていて気持ちのいい一本.ちなみに立川談志さんの大工調べはサゲ(オチ)がかなり違っているので,聴き比べもぜひ.

恋バナ

いつの時代も色恋沙汰というのは人の興味をそそるもの.ボンボンの若旦那の純愛から遊郭(現代でいうキャバクラや風俗みたいなもの)でのただれた恋までいろいろ取り揃えてあります.

崇徳院
(すとくいん)

大家の若旦那がある女の子に一目惚れし,その娘に会いたいあまり寝込んでしまう.相手は出かけたときにたまたま一度会っただけで名前も住所も分からない.手掛かりはその時に書いて渡された崇徳院の和歌の上の句だけ.捜索を任された熊さんはその一目惚れの相手を見つけ出し,無事若旦那を救うことができるのか…というおはなし.

三枚起請
(さんまいきしょう)

半公は遊郭の花魁(おいらん,いわばナンバー1キャバ嬢)の喜瀬川に「必ずあなたと添い遂げます」という起請文(誓約書もどき)をもらって浮かれていたところ政五郎に見つかってしまう.事情を話すとなんと政五郎も喜瀬川から同じ内容の起請文を受け取っていた.さらに,そこにやってきた新之助も同様の起請文を持っていた.騙されていたことに気づいた三人は,喜瀬川をとっちめに行こうという話になって…というおはなし.

痛快な話

井戸の茶碗

強情な浪人と清廉な武士の間で右往左往する正直者のくず屋(いまで言う廃品回収業者)のおはなし.登場人物が全員とにかくいい人で爽やかな心持ちになる.オチも前振りが利いていて最高.

唐茄子屋政談

道楽が過ぎて実家を勘当されてしまった若旦那.最初は強がっていたものの徐々に行く当てもなくなっていき,終いにはホームレス同然に.とうとう自殺しようとしていたところを偶然叔父に助けられ,住み込みで唐茄子屋として働くことになるのですが…というおはなし.ボンクラだった若旦那がナスを売り歩く中での出会いによって一人の人間へと成長していく様が実に染みる人情噺.

佐々木政談

下町で子供たちがお奉行ごっこをしていた.奉行の佐々木役をやっていた四郎吉は近所でも口が立つことで有名な男の子.ごっこ遊びとはいえその差配は子どもながら実に見事なものだった.それをたまたまお忍びで市中を見回っていた本物の佐々木様が目撃し,感心して四郎吉を奉行所に招く.四郎吉の賢さを試すため,佐々木様が次々と無理難題を吹っかけるのですが…というおはなし.四郎吉の豊かで柔軟な回答には思わずうなってしまいます!

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