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フレームからはじめよ

「ゴールから逆算して考えましょう」
なんてことを、いわゆるできる人は言ったりする。
なるほど、一理ある。
仕事にしろ勉強にしろ、多くの場合期限や納期というものがある。
それに間に合わせるようにスケジュールを組み、進めていく。
もっと日常的なことで言えば、待ち合わせも同じ。
11時に駅前集合だから、10時には最寄り駅についてないといけない、ということは9時には家をでないといけない、ということは7時には起きないといけない、と考える。
これを「9時に起きると仮定して試算してみよう、11時には間に合わなそうだ、では8時に起きると仮定してみよう…」なんて考える人はあまりいないと思う。
つまり、手当り次第とりあえずやってみるのではなく、物事の大枠・限界・期限(=フレーム)をまず最初に決めたうえで、そこに至るまでのピースを埋めていくのが合理的な考え方のひとつ、ということだ。
この考え方をここでは『フレーム思考』と呼ぶ。

フレーム思考を人生に適用するとどうなるだろうか。
人生におけるフレームとはなんだろうか。
それはもちろん死だ。
人は死ぬと能動的に動くことができなくなるので、やりたいことを達成する最終期限は命尽きる時となる。
死について考えることはタブー視されがちであるが、これは後ろ向きな話ではなく、むしろ逆だ。
残された時間に向き合い、自分のやりたいこと、その中で現実的に実現可能なことを見つける、そしてできないことへの折り合いをつける。
そういった心の整理は豊かなライフプラン構築の第一歩と私は考える。

言い換えると、最期について自分の嗜好を主治医と十分な話し合いをした患者は、そうしなかった患者よりも平穏に死を迎え、状況をコントロールでき、遺族にも苦痛を起こさない可能性がはるかに高いのだ。

アトゥール・ガワンデ『死すべき定め』

人生には不確定要素が多い。
死ぬタイミングなんて言っても、不慮の事故あるいは病気など予想外はいくらでも起きうる。
ただ一旦の基準として、ひとまず統計を当てにしてみるのはいかがだろうか。
例えば、配偶関係をもとに分類した男女別死亡年齢の統計がある(下記表参照)。
こちらは中央値なので50%、すなわち2人に1人は記載の年齢までに亡くなるという見方になる。

厚生労働省 令和3年(2021年)人口動態調査より作成

これで時間的なフレームは決まった。
残された時間は限られている。
あなたのやりたいことに対して、残り時間は長いだろうか、短いだろうか。
長いのであれば、他の時間を何に使うか考える必要があるだろう。
短いのであれば、優先度をつけて取捨選択をしなければならないだろう。
いずれにしてもフレームを定めることで、決めるべきことが見えてくる。
まずはフレームからはじめよ。

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