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「無料・フリー」の可能性を見出す本

はじめに

Kindle Unlimitedの対象内だったので読破。

どんな本

フリーとは「自由」「無料」。フリーの定義、人類がフリーを獲得するまで歩んできた歴史、人類は本能的にフリーを受け入れたか、現状フリーを利用したビジネスを体系的にまとめている。

要点1「フリーとデジタルの親和性」

デジタルデータは「限界費用が限りなく0に近い」
限界費用とは「生産量を増加させたときに追加でかかる費用」である。
元々複製が容易なデジタルデータでは、不正コピーを阻止する事は困難である。いっそ無料でデータを提供して、別の源から収益を稼ぐビジネスモデルに転換すべき。

デジタルデータは「潤沢性に優れている」
物質の枯渇(希少性)の問題に悩む事がない。潤沢性豊かな製品は、ベルトラン曰く「価格を下げて市場シェアを狙うと、需要は増加する」。潤沢性が豊かであり、コスト面の観点から見ても、失敗に対して寛容である。そのため、イノベーションを生みやすい土壌となる。

要点2「フリーは入口になりやすく、数も集めやすい」

「誰も拒まない入口」
「僅かな金額を払う」と「無料版で試す」では心理的障壁がまるで違う。
たとえ無料版でサービスが悪くても、損をした気分にならない
「固定料金だけ支払いあとは使い放題プラン」も心理的にはフリー製品を使っている感覚に近い(Amazon prime、Spotify premiumなど)。

「コミュニティの形成しやすさ」
入手の容易さ流動性に長けている。
規模が大きいコミュニティを形成しやすい。
情報を無料公開する事で、多くの人間がサービスに対してコミットできる。
質の良い何かを生み出すイノベーション注目性の向上に繋がる(Linux(OSS)、Wikipediaなど)。
また多くの人間が触れることにより、模倣欲求に触れ、さらなるサービス拡大に繋がる可能性がある(Tiktok、Instagramなど)。

要点3「フリーを利用したビジネスモデル」

「あるサービスは無料だが、付随する別のサービスは有料」
無料サービスを大々的に広告し、いざ無料サービスを使用するとなると、有料サービスの必要性を感じさせるビジネス。

例えば:スマホ代は無料だが、通信量プランは有料など

「ある顧客グループが別の顧客グループの費用を補う」
ターゲット層には無料公開して、他の顧客層から収益を得るビジネス。
無料顧客層にとってはサービス自体が無料であるかのように見せる。

例えば:ブログ閲覧自体は有料であるが、ブログ主は広告料から収益を得るアフィリエイトブログなど

「一部の有料顧客が多数の無料顧客を支える(フリーミアム)」
基本は無料公開だが、プレミアムオプションを設定して、気に入った人だけ有料登録してもらうビジネス。無料対象は限界費用が小さく、有料対象は限界費用が大きい+体験型コンテンツになりがち。

例えば、楽曲の無料視聴と観戦ライブの有料チケットなど。

まとめ

限界コストが0に近く、潤沢性豊かなデジタル資源。
無料で提供しても痛くも痒くもなく、注目と評価を増幅する効果から、収益は最大化される可能性が高い(ビジネスモデル次第であるが)。そしてこのフリー化の流れは止まらないので、いっそ乗ってしまう方が賢い。

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