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あなたは恋とかしたのだろうか?


わたしが11歳だった2月14日に友人が亡くなった。



人が死ぬ、ということはなんとなく理解していたつもりだけど、動かなくなった人を間近に見たのは初めてだった。


現実ではない気がして、不思議な世界に包まれていた。


悲しいとか、辛いとか、寂しいとか、現実的な気持ちはナゼか全くなく、でも昨日まで自分が居た世界とは違う空間に連れて行かれた感覚はあった。


そしてその空間はとても温かかった。クラス中が静まり返る中で、空気は温かかった。彼女の死を全員で受け止めたあの瞬間の空気は例えようがない。


あれから大人になるまで毎年2月14日には、当時のクラスの先生を先頭に、クラスのみんなでお線香をあげにいった。彼女が当時の絆をつなぎ続けてくれたかのような、そんなつながりを感じながらみんなが徐々に大人に近づいていった。


20歳になったのをきっかけに、全員でお線香をあげにいくことは止めにした。親御さんの気持ちを考えるといつまでも自分たちの成長を見せることが良かったかどうかわからないし、誰の判断でそうなったか忘れたけれど、先生は今でも毎年お線香をあげにいっているそうだ。



あれから四半世紀以上の月日が流れたが、バレンタインの日は決まってあなたを思い出す。少しの時間目を閉じて、横になってあなたに想いを馳せる。


小学5年生、あなたは恋とかしたのだろうか?


あなた分までこれからもわたしはしっかり生きてみせる。

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