見出し画像

日本語の思考回路のままで実践的な英語をマスターできるようになり、しかも継続するGPTs英語学習法


生成AIの普及で新局面に入った一つが英語学習ではないでしょうか。円安もとどまるところを知らず、日本の将来に漠然と不安が募る今、英語学習熱はこれまでになく高まっていく気がします。一方で英語学習の方法は選択肢が豊富で、何をやっていいか分からない方も多いでしょう。私の部署でも部員の多くが英語を勉強したいと希望しています。そこで、仕事が忙しくても続けやすく、それでいて効率の良い英語学習用のGPTsを作りましたので、ご紹介します。自分的にはこのやり方が英語学習の決定版じゃないかと思ってます。今のところ「これなら続きそう」と部員にも好評です。

毎日英語を使う環境にない人のために

自分自身、これまで英語の学習本は3桁は読んだと思います。有料無料問わずさまざまなアプリも試しました。こつこつと、しかし定見もなくとにかくなんでもかんでもだったので、効率は悪かったです。それでも40歳を過ぎて英検1級に合格できました。長年の試行錯誤の末、たどり着いた究極の英語学習法は、月並みながら「毎日英語を使うこと」です。しかし、多くの人が「毎日英語を使うこと」ができない環境にいるから苦労するわけです。そこでお薦めするのが「英語で日記を書くこと」です。

しかし、「英語で日記を書くこと」も、これまでさんざん言われてきた学習方法のひとつです。英語で日記を書くことのメリットは、なんといっても、自分の頭で考えたことをそのまま英語にする習慣が作れるということです。自分の日本語の思考回路のままで英語の思考回路を作れることはこれ以上ない効率のよい学習方法です。いくら教科書に載っている英語の例文を覚えても、自分の日本語の思考回路にない場合は、まず自分の思考回路を教科書に合わせ、その上でその例文に対応する英文を覚えることになります。日本の義務教育からの英語学習はほとんど全てこのやり方でしょう。こうした問題点を解消する学習法が、昔ながらの「英語で日記を書くこと」でした。

一方で、「英語で日記を書くこと」は実際にはハードルの高い学習法でもありました。英語で日記を書いても、誰かが添削してくれなければ意味がないからです。自己流で書いてみても、正しいかどうか分からない。そんな不安を抱えたままでは、長続きしないのは目に見えています。英会話学校の先生に添削を頼む? いや、それができれば、そもそも英語で日記を書く必要がないかもしれません。私も含め多くの人々は、英会話学校に行くお金や時間がないから、英語で日記を書いてみようと思っているのですから。

英文日記の添削をGPTsに任せる

ここで本題ですが、それを解決してくれるのがChatGPTなどの高精度の対話型AIの登場です。英語で日記を書いて、それをAIに添削してもらえばいいわけです。しかもそれにぴったりなのがGPTsです。ChatGPTの有料版で誰でも使えます。簡単に言えば、事前にいろいろ指示を伝えておけば、いつでもすぐに呼び出して使えるカスタム版のChatGPTです。私の場合は、次のような機能を持たせた英語学習用のGPTsを作成し、部員とシェアしました。

まず、プロンプトに日記を書きます。試しに、たわいもない架空の記者の日記を書いてみましょう。

今日は朝からとにかく忙しい一日だった。中央警察署で当直時間中に大きな交通事故が発生したからだ。その事故の取材に丸一日追われることになった。午後イチで高校野球のチーム紹介の取材が1本入っていたが、先方に電話して翌日にしてもらった。明日は平和な1日になってほしい。

とある日の架空の記者の日記

これだけをプロンプトに入れて、そのまま送信ボタンを押します。すると、次のような出力を返してくれます。

**日記**
今日は朝からとにかく忙しい一日だった。中央警察署で当直時間中に大きな交通事故が発生したからだ。その事故の取材に丸一日追われることになった。午後イチで高校野球のチーム紹介の取材が1本入っていたが、先方に電話して翌日にしてもらった。明日は平和な1日になってほしい。

**翻訳**
Today was incredibly busy from the morning. A major traffic accident occurred during the night shift at the Central Police Station, which led me to spend the entire day covering it. I was supposed to cover a high school baseball team introduction in the early afternoon, but I called to reschedule it for tomorrow. I hope for a peaceful day tomorrow.

**翻訳のポイント**
1. 「とにかく忙しい一日だった」を "incredibly busy from the morning" と訳し、強調を表すために "incredibly" を使用しました。
2. 「大きな交通事故が発生した」は "A major traffic accident occurred" と直訳し、英語でも自然に聞こえるようにしました。
3. 「その事故の取材に丸一日追われることになった」は "led me to spend the entire day covering it" と表現し、事故報道に追われた状況を示しています。
4. 「高校野球のチーム紹介の取材」を "a high school baseball team introduction" と訳し、具体的なイベントを明確にしました。
5. 「翌日にしてもらった」は "called to reschedule it for tomorrow" と表現し、行動と結果の自然なつながりを示しています。

**慣用句・熟語の対応表**
| 日本語 | 英語 |
|--------------------|-----------------------|
| とにかく忙しい | incredibly busy |
| 大きな交通事故が発生した | a major traffic accident occurred |
| 取材に追われる | spend the day covering |
| 高校野球のチーム紹介 | high school baseball team introduction |
| 翌日にしてもらう | reschedule for tomorrow|

**文法的なワンポイントアドバイス**
「翌日にしてもらう」という表現は、英語で「reschedule for tomorrow」と自然に言い換えることができます。この表現は、特定の予定を別の日に移す際に便利で、英語での予定変更に関する会話やメールで頻繁に使用されます。

英語で日記をつけるGPTsの出力例

実際のスクリーンショットが次の図です(実際には一続きで表示されています)。

入力例
出力例
出力例

日本語の思考回路のままに翻訳

日記だけ入力すれば、①日本語の日記②英語に翻訳した日記③翻訳のポイント④慣用句・熟語の対応表⑤文法的なワンポイントアドバイス、を1~2秒で出力してくれます。英文や翻訳のポイントを見てもらえば分かるように、自分の置かれた状況やライフスタイルにふさわしい英語の単語や慣用句、言い回しが学べるようになっています。GPTsを作るときに、なるべく日本語の思考回路を大切にして英語に翻訳するよう指示してありますので、日本人にも親しみやすい分かりやすくシンプルな英文になっていることが分かると思います。

この出力結果は、別のドキュメントにコピペしてまとめておくと、簡単に読み返せて便利です。読み返すのが大事で、復習すると、英文がすっと頭に入って定着する手ごたえを感じます。復習といっても簡単で、もう一度自分でその日の日記を思い浮かべればいいだけです。すんなり英文が出てくるのが体感できると思います。

ちなみに、①日本語の日記、の部分は一見、出力には不要な気もしますが、これを出力するようにすることで別のドキュメントやカレンダーなどにコピペするときに日本語の日記部分も一緒にコピペできるので便利です。

おわりに

こんな感じで毎日日記を付けていけば、「自分の思考回路で考えた、自分が本当に言いたいこと」をどんどん英語に直せるようになるのではないでしょうか。そして、こうしたGPTsを作るのはとても簡単です。イメージ通りの出力になるよう日本語でどんどんGPTを作り込んでいけばいいだけです。ぜひ皆さんも自分に合った英語日記用のGPTsを作ってみてはいかがでしょうか。

※私が開発した上記GPTsを公開した場合、悪意を持った人間のプロンプトインジェクションによって皆さんにご迷惑をかけてしまうセキュリティ上の懸念が払しょくできないため、それ自体のシェアは見送りたいと思います。本当に簡単に作れるのでぜひ挑戦してみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?