グランパスが目指すビッグクラブってナニ?

はじめに

「グランパスはビッグクラブ」
選手、解説者あるいがファンがそう語る姿を見たことがないでしょうか?  僕はあります。一方で、
「グランパスを世界に通じるクラブに」
と小西社長もインタビュー等で語っていますよね。世界に通じるとは、少なくとも国内ではトップクラス、ACLであっても強豪かつ規模の大きいクラブ、つまりビッグクラブと自他ともに認められるような状態だと思われます。『ビッグクラブ』………欧州サッカーでは良く聞く言葉ですが、Jリーグではあまり聞かれません。やや乱暴に断じてしまうと、Jリーグには真のビッグクラブと誰もが認めるクラブが無く、そのため用いられず、聞く機会が無いのだと思われます。と言うことは、Jリーグを中心に見るファンにとって、ひょっとしてビッグクラブとはどういうクラブなのか、意外と知られていないんじゃないか? そう疑問に思ったので、この記事は『考えてみればビッグクラブってどういうクラブか知らない』というような方およびグランパスファンに向けて書いたものです。

ビッグクラブとはどういうクラブか?

出オチのようで申し訳ないのですが、明確な定義はありません。ですが、特に欧州でビッグクラブとサッカーファンの間で広く認知されているクラブの共通項を見れば、次のような事項を満たすクラブがビッグクラブと言えるでしょう。
・長い歴史、伝統がある。
・タイトル獲得回数の多さ。
・収益の規模の大きさ。
・選手の移籍市場での発言力。
・人気の高さ。
・知名度の高さ。
それでは、Jリーグにおいて、それらの事項を満たすクラブはあるでしょうか?

各項目についてJクラブはどうか?

数字に表れ難い発言力、人気、知名度を除いて、全部追いかけるとキリがないので、『プロ化(Jリーグ創設)以降』、『上位5クラブ』という条件で見てみるとどうでしょうか。
①歴史、伝統
 1位タイが9クラブあります。J創設からのクラブ、オリジナル10のクラブですね。オリジナル10のクラブは歴史、伝統があると言っても良いでしょう。つまり鹿島、千葉、浦和、ヴェルディ、マリノス、清水、グランパス、ガンバ、広島の9チームが該当します。
②タイトル獲得回数の多さ
 タイトル獲得回数の多さは『クラブが長年安定して強い』ことを表します。国内3大タイトル(J1、ルヴァンカップ、天皇杯)について言えば、鹿島(19回)、ガンバ(8回)、ヴェルディ(7回)、マリノス(6回)、磐田(6回)、浦和(6回)の順番です。5位タイの6回以上をビッグクラブ基準とするならば、グランパスはここで弾かれます。
③収益の規模の大きさ
 2018年の収益はまだリリースされていないので、2017年の上位5クラブだと、浦和(79億円)、神戸(52億円)、鹿島(52億円)、川崎(51億円)、ガンバ(49億円)となります。

Jのビッグクラブと言えるクラブは?

歴史・伝統、タイトル獲得回数、収益の上位5クラブという条件で絞り込んでみれば、鹿島さんと浦和さんが”相対的”にJのビッグクラブということになります。しかし、収益はそれでも100億円に届きません。日本全国での高い人気・知名度(他競技ながら、かつての読売ジャイアンツのように)を持つクラブもありません。誰もが認める絶対的なビッグクラブはJリーグには未だ存在しません。

グランパスが目指すビッグクラブ

小西社長や大森さんはACLのタイトルを獲りたいとよく口にされています。ACLのタイトルを獲れば、少なくともアジア圏内では強豪と認知されるでしょうし、ACLに出ている=ACL圏内順位だったということで、国内でも強豪と認知されるでしょう。しかし、その強さが一過性の瞬間的なものでは、タイトル獲得回数は伸びていきません。継続的に強くある必要があります。そのためにはクラブとしてのスタイルの確立が欠かせません。何故なら、クラブとしてのスタイルを欠いた状態では、『その時点での監督の手腕と好みにほぼ全てが左右される』危険があるからです。その時点の監督の好みの選手を集め、監督の好みの戦い方をし、監督が代われば完全リセット。ぶっちゃけ言ってしまうと、降格するまでのグランパスがそうでしたよね。瞬間的に強い時期もあったものの、クラブの歴史全体としては残念ながら強豪とは言えない通算成績です。一方、収益もまだまだ伸ばしていかなければなりません。入場料やグッズ、スポンサー集め等々頑張っていただいて、Jリーグ1位、もっと言えば100億円の壁を突破することを目指して欲しいですね。
まとめると、グランパスはビッグクラブになるために歴史・伝統以外の全てを伸ばしていかなければならず、その足掛かりとして『スタイルの確立』『収益の拡大』『まずはホームタウンでの人気・知名度の向上』を最優先課題として取り組んでいると思われます。一朝一夕でできることではありません。願わくは「日本に名古屋グランパスというビッグクラブがある」と世界で言われる未来が実現しますように。

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