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正当な理由での契約解除ってナニ? #grampus #soccer

本記事は、今回の騒動について、他サポやネットニュースとかにオモチャにされる前にいちグランパスファンとしてなるべく正確に考えてみようというものです。

正当な理由によりジョー選手との契約を解除したことをお知らせします。なお、この件につきましては現在FIFA Dispute Resolution Chamber(FIFA紛争解決室)に委ねています。

皆さんもうご存じのとおり、名古屋グランパスよりジョーとの契約解除&この件についてクラブとジョーとで係争中と発表されました。
ネット上では、
『正当な理由で解除したのに紛争解決室に委ねるって何やねん?』
的な意見が散見されます。考えてみましょう。

1.「移籍」じゃないの?

昨今、移籍する場合は移籍元クラブおよび移籍先クラブ双方が「○○選手の移籍について」て発表しますよね。今回、コリンチャンスはジョーの移籍について発表しましたが、グランパスの発表としては「契約解除」です。
そこから推測されるのは
・グランパスとコリンチャンスが移籍についてクラブ間で合意していない
・グランパスとしてはジョーの移籍ではなく契約解除と認識している
ということです。

2.契約解除ってどういう場合に起きるの?

まず、見るべきはJリーグの選手契約書です。

クラブからの契約解除については第9条に記載されています。

第9条 〔クラブによる契約解除〕
① 次の各号のいずれかに該当する事由が選手において発生した場合、クラブは、選手に対し書面で通知することにより、本契約を直ちに解除
することができる。
(1) 本契約の定めに違反した場合において、クラブが改善の勧告をしたにもかかわらず、これを拒絶または無視したとき
(2) 疾病または傷害によりサッカー選手としての運動能力を永久的に喪失したとき
(3) 刑罰法規に抵触する行為を行ったとき
(4) 自らの責に帰すべき事由により、本契約の目的に支障をきたす6ヶ月以上の試合出場停止処分を受けたとき
(5) クラブの秩序風紀を著しく乱したとき
② 前項に基づき本契約を解除したクラブは、選手に対し、解除通知の発信した日の属する月までの基本報酬を支払うものとする。

(2)、(3)、(4)は関係ないでしょう。(5)についても、そもそも今年ジョーはほぼ日本にいなかったので(それもどうなんだという気はしますが………(;´∀`)………)、クラブの秩序風紀を乱す機会も無いでしょうから関係ないでしょう。
つまり、クラブとしては(1)の理由でジョーとの契約を解除し、②に基づいて給料を払った、と主張していると思われます。

3.本契約の定めに違反?

契約に定められていることとして、選手の履行義務および禁止事項は第2条、第3条に記載されています。

まずは第2条の履行義務から。

第2条 〔履行義務〕
選手は、次の各事項を履行する義務を負う。
(1) クラブの指定するすべての試合への出場
(2) クラブの指定するトレーニング、合宿および研修への参加
(3) クラブの指定するミーティング、試合の準備に必要な行事への参加
(4) クラブにより支給されたユニフォーム一式およびトレーニングウェアの使用
(5) クラブの指定する医学的検診、注射、予防処置および治療処置への参加
(6) クラブの指定する広報活動、ファンサービス活動および社会貢献活動への参加
(7) 協会から、各カテゴリーの日本代表選手に選出された場合のトレーニング、合宿および試合への参加
(8) 協会、リーグ等の指定するドーピングテストの受検
(9) 合宿、遠征等に際してのクラブの指定する交通機関、宿泊施設の利用
(10) 居住場所に関する事前のクラブの同意の取得
(11) 副業に関する事前のクラブの同意の取得
(12) その他クラブが必要と認めた事項

ざっくり纏めると、試合に出ろ、練習に出ろ、ドーピングテスト受けろ、その他クラブやサッカー協会の活動に参加しろ、勝手に副業するな、そんな感じですよね。
ここで違反行為があったと仮定すると、ジョーが今年の試合や練習に参加しなかった理由………つまり『ジョーのケガ』が『虚偽』だった場合が考えられます。しかし、帰国前にグランパスのクラブドクターの診断があったでしょうから、その可能性は低いと思われます。

では、第3条はどうでしょうか。

第3条 〔禁止事項〕
選手は、次の各事項を行ってはならない。
(1) クラブ、協会およびリーグ等の内部事情の部外者への開示
(2) 試合、トレーニングに関する事項(試合の戦略・戦術・選手の起用・トレーニングの内容等)の部外者への開示
(3) 協会のドーピング防止規程に抵触する行為
(4) クラブ、協会およびリーグ等の承認が得られない広告宣伝・広報活動への参加または関与
(5) 本契約履行の妨げとなる第三者との契約の締結
(6) クラブの事前の同意を得ない、第三者の主催するサッカーまたはその他のスポーツの試合等への参加
(7) 試合の結果に影響を与える不正行為への関与
(8) その他クラブにとって不利益となる行為

ぶっちゃけ、大変怪しいと思われるのが、(5)。
グランパスとしては、ジョーの移籍(契約解除)についてコリンチャンスと合意する前に、ジョーがコリンチャンスと契約しちゃったと認識・主張しているんじゃないでしょうか。

4.違約金は?

契約書上には記載はありませんが、一般的に、クラブ・選手間で『契約を解除するための金額(=違約金)』を設定しています。事前に決めた金額払えば契約解除できるってことですね。
※選手の移籍の際に一般に移籍金と呼ばれるやつ
事実としてジョーはコリンチャンスへ移籍しました。違約金を事前の取り決めどおりにジョー(とコリンチャンス)側がグランパスに支払えば、揉める要素はありません。
とすると、違約金を払ってないか、あるいは違約金の減額等にグランパスが合意していないと推測されます。

5.紛争の内容とは?

推測の上の推測になっちゃうので、大いに的外れの可能性もあるんですが、上記を纏めると次のようなことではないでしょうか。
・グランパスとしては、違約金・移籍について何らかの合意が無いままジョーがコリンチャンスと契約したため、その事実を『正当な理由』としてジョーとの契約を解除し、違約金の支払いを求めている。
・一方、ジョー(とコリンチャンス)側は違約金無し、あるいは減額についてグランパスと合意したとして違約金を支払う必要が無いと主張している。
(流石に無いとは思いますが、グランパスが不当な理由でジョーとの契約を解除したとして、ジョー側が逆にグランパスへ違約金と残りの年俸の支払いを求めている可能性も………)

どこまで報道されるか不明ですが、本件については今後も注視したいと思います。

最後に言わせてください

立つ鳥には、跡を濁さないで欲しかったよ。

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