『Hej! Laere vol.17』:新年度社内スタディーツアーレポート 〜 徳島県上勝町・町全体をあげたゼロ・ウェイストの取り組み(2022年4月配信)
ゼロ・ウェイストの先進地域、徳島県上勝町の訪問
新年度がスタートした先週、弊社レアでは社内スタディーツアーを実施しました。弊社は共創型アクションデザインファームとして企業活動を展開しており、共創型実践者(自分の想いから他者を巻き込み、社会的豊かさに向けて着実にアクションをとる人物)の方々との協働を大切にしています。特にリモート勤務が増えたこの数年は、質の高いインスピレーションにつながる対面での対話機会や先進事例調査などにも注力しています。今回のスタディーツアーでは、地域で活躍する共創型実践者との方々との対話を通し、共創型アクションデザインファームとして今後の活動方針や新たなプログラムの展開につなげることを目的としていました。
さて、レア社内スタディーツアーで訪れた徳島県上勝町は、人口1,500人弱、高齢化率も50%の四国で最も小さな町です。ゴミ収集車がない上勝町では、かつて地面に穴を掘り、家庭廃棄物を野焼きで処理していましたが、現在は45分別、80%以上を再生しています。この住民主体の取り組みは、様々なメディアでも取り上げられ、『ゼロウェスト宣言都市』として国内外に認知されています。
またお料理の“つま”となる葉っぱを農家が育て、注文に応じて摘み採り、JAが全国に出荷する“彩ビジネス(通称:葉っぱビジネス)”は、全国シェア60%に上ります。高齢者が中心となりタブレットでのやり取りや秒差を競う落札方法など、ゲーム感覚の工夫があり、そのユニークな活動でも上勝町の特別な存在感を示しています。
この数年“サステナビリティ”や“地域創生”と叫ばれていますが、『言うは易し、行うは難し』です。今回レアチーム4名で上勝町を実際に訪問し、関係者の方々に直接お会いしたり、関係施設に泊まったり、ゴミ分別体験を通して多くの学びとインスピレーションを受け取りました。
この地域の可能性や課題を継続して考察することが、それ以外の地域創生を構想する上でも重要だと思います。『ゼロウェスト』と『フルバリュー』を表裏一体に捉え直すと、結局、足元にある可能性に目を向けて考えることが大切だと気付かされます。どんな形でも地域に還元する方法をこれからもレアチームで考え実践していきたいと改めて思いました。
Voice from Finland
地球にやさしい、サステナブルなアート
Moi(こんにちは)!フィンランドのアアルト大学に留学している吉田真理子です。
Voice from Finlandでは「共創」「ウェルビーイング」をテーマにフィンランドでの学びや体験をお届けしています。
ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが広めている日本語の「もったいない(MOTTAINAI)」。中学校の歴史の資料集に載っていたのを強く覚えています。まだ、フィンランドでは知っている人は少ないですが、フィンランドでも環境保全の動きは教育方針にも組み込まれています。(個人的には日本人のハンカチを持つ習慣が広がればいいなと思ったりします。感染対策的にも、エコ的にもハンカチは良いと思うのですが)
それはさておき、SDGsなどを通じて各国が持続可能な世界を目指して、環境に良い商品、サービスの需要ここ数年高まってきました。商品、サービスはもちろん、最近はアートの世界でもアート作品自体がサステイナブルか、環境に配慮した取り組みのアートなど注目されています。
その中で私が出会ったサステイナブルの先、「バイオディグレーダブル」なアート作品を作るJulia Lohmann(ジュリア・ロフマン)を紹介したいと思います。バイオディグレーダブル (Biodegradable)とは生分解性と訳され、毒を持たず土にかえることをいいます。アアルト大学内にDepartment of Seaweedというプロジェクトを作ったのは、海藻愛に満ちたジュリア。ジュリアはダボス会議にも招かれたドイツ出身のアーティストです。現在はアーティスト活動を続けながらアアルト大学のデザイン学部で教鞭もとっています。
GlassHouse Helsinkiというギャラリーで彼女の話を聞く機会がありました。私は海藻を素材にアート作品を作るという発想にまず驚かされました。
彼女の作品を見ていると、日本の漁港に干してある海藻たちを思い出し、出汁が出そうだと思ってしまいました。また彼女のこちらの作品はジブリ作品「風の谷のナウシカ」に出てくる王蟲(おうむ)に似ているねとよく言われるそうです。日本とのつながりを感じていたら、彼女は日本のアーティストレジデンスに滞在していたとき、海藻の可能性に目覚めたそうです。海藻は食べるだけではなく、海藻がプラスティックなどに変わる環境に優しい素材になりうると。ダボス会議の会場では、海藻で鞄を作るワークショップなどを行い、会議などで環境保全を訴えるだけではなく、実際に自分で行動することが大切と訴えています。
彼女の作品では変化を楽しめます。海藻なので、日のあたり方や時間が経つにつれて、色が変わっていきます。また部屋の湿度によって縮んだりするので定期的なメンテナンスが必要です。作家のジュリアはこの作品をギャラリーにプレゼンする際、理解してもらえなくて苦労したそう。それはギャラリーもしくはコレクターがずっとアート作品を保持できるよう、アート作品は永久保存できるものであるという前提があるからです。その前提を覆すアート作品を作る彼女に強く共感しました。アートを所有するという概念が変わりつつあるのかもしれません。変化をしていく作品、手入れが必要なアート作品、のちに愛着が湧くこともあります。彼女の作品から、MOTTAINAIを超えた、変化を前提とした新しい環境へのアプローチ、そして新しいアートの形を感じました。
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