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拝啓 Jリーグ様 〜Jリーグ見ない系女子が考えていること〜

※ これは2016/03/30にDEAR MAGAZINEに掲載された記事を
メディア移行に伴い、編集長の許可を得て転載したものです。
今とは表現や考え方も変わった部分がありますがそのまま掲載します。

マリノスサポーターのささゆかです。

女性目線での記事を!とよく依頼されるのですが毎度期待に応えられている気がしません。そして周りのお友達はゴリゴリのオタク、もしくは読モをやるようなキラキラ女子のどちらかという極端な交友関係。しかしその間をとれば平均であろう、という安易な考えの元、サッカー観戦に食指が動かない友人と、サッカーを好きになる前の自分が考えていたことを軸に「Jリーグ女性観戦が進まない理由」を挙げてみました。

応援すべきクラブが分からない

 代表戦ならば自分の生まれ育った国のチーム側に立って観戦すればいいけれど、Jリーグとなるとどちらの味方についていいか分からない。地元のチームがいいのか?それとも有名な選手がいるチームなら長く応援できるだろうか?最初から自分が特別な気持ちを入れて”のめりこめる”チームがないと、まず見ない。サッカーが好きならどちらの味方にも付かず試合そのものを見に行くことも出来るのですが…。音楽フェスに行くならお目当てのアーティストが1組はいるところにしたい、に似ているかもしれません。

地元のチームがどれくらいの強さなのかもよく分からない。

 サポートするチームがない人は、強いチームを応援したいと思うもの。愛着がなければ「負け試合=チケット代の無駄」と思ってしまうのです。実はJリーグの醍醐味ってチームの強さだけではないと分かれば話は早いのですが、そこにたどり着くまでに時間がかかってしまいます。色んな試合を見に行って好みのチームを探し出すポテンシャルのある女性は、そもそも潜在的にサッカーが好きなのでしょうし、もう少しクラブの情報やサッカー観戦の面白さがどこにあるか、日常生活を過ごしている中で提供できるような場面を増やしてもいいのかもしれません。

そもそもサッカー用語が難しい

「ダイアゴナルな動きに中盤が釣られ中央にスペースが生まれたがアンカーがディレイで対応し前線のプレスバックでボールを奪った」…この文字に目が滑る。感覚的に言うと、ベンチャー企業社長のインタビューを読んでいるような感覚と一緒。アジェンダ?ノマド?ええい、もうジャーサラダとスムージー食ってろ!無駄にかっこよく書きやがって!とアレルギー反応。

 自分の場合ですが、学校教育の中でもサッカーをしっかりやった記憶がないのです。2組に分かれてサッカーの試合をしたこともあるけれど、男子中心でゲームを組み立てられて「お前はそこに立ってるだけでいいから!」と言われていた。(ただの戦力外通告だったのかとも思いますが、周りの女子もそうでした)
 体育で戦術と用語を覚える間もなく迎えたW杯。ここで女子は「え?サッカーってゴールに入れたら点数になるんじゃないの?!オフサイドって何?」という状況に陥ってしまう。そこでトドメをさすように「オフサイドも分からない女はニワカwwW杯だけ騒ぐなww」とネットで煽られサッカーを見る気も失うのです。嫌な思いをしてまでサッカーを見ないよね

 もっと昔からサッカーのことを覚えていられたら良かったと思うし、現地で見ていても何がどうなったのか分からない時があるので今からでもゆっくり周りに教えてくれる人やシステムがあったらいいなぁと思う。

イケメンか…??

「サッカー界の新生イケメン!」とナレーションが聞こえ、テレビ画面に目を向けるも映っていたのは自分の琴線に響かない選手。「えっ…イケメン…?この人をイケメンと呼ぶってどれだけJリーグにはイケメンがいないんだよ…」となる女性が日々量産されています。

 例えるなら「かわいい女の子連れて行くね☆」と言われて行った合コンに幹事以上の可愛い子がいなかった時と同じくらいのがっかりレベル。普段テレビで男性アイドルや俳優を見慣れた人にとっては「無理やりイケメンに仕立ててブーム作ろうとするな!!ひっかからないぞ!」とかえって身構えさせてしまう結果に。

 ただ、このデリケートな女心にも運命の彼を受け入れる為のスペースはあります。イケメンとは顔の造形が整っていることではなく、心に刺さるかどうかで良いのです。むしろ顔の整ったイケメンは「遊んでそう…」と敬遠する女性の多いこと。それよりは「選手のエピソード」を聞いた方がグっと心をつかまれる。エピソードでその選手に興味を持つと、今度は「◯◯選手を応援したい!」とプレーにも注目します。技術に関してはもちろんプロ、もう虜です。

 決してJリーグの選手にイケメンがいない、ということではありません。女性向けのアプローチが違うということを主張したいのです。女性誌のインタビューで気取った顔で選手が載っていても何だか身近に感じられない。私はガンバ大阪の宇佐美選手ってツンとしたタイプなのかな…と思っていたのですが、番組でユーモアを交えながらお話しているのを見て好きになりました。タ◯ホイヤーの広告とかキメキメだったからクールなのかと思ってたよ…トーク上手いな…!バラエティ色が強くなりすぎると緊張感も薄くなるので程々に身近に感じられたら良いですね。

お金を払って見に行く価値があるのか

 ニュースのスポーツコーナーでサッカーが紹介されるのは日本人海外組か外国リーグのスーパープレー。Jリーグの番組を地上波でやっていてもわざわざチャンネルを合わせて見る女子が周りにはいない。挙句、コメンテーターの意見もネットの反応も「やっぱり海外のサッカーはすごい!日本はいつまでもレベルが低くてダメだ。Jリーグも観客が少ない!」の論調ばかり。

 これらをそのまま受け取ると「海外のサッカーは面白そうだけど、Jリーグはお金を払う価値がない。低レベルな上に見に行った試合がつまらなかったらせっかくの休日がもったいない。観客も少ないってことは周りの人は誰も見ていないんだ。みんなと話せるような話題性のあるものを見たい」と思うのです。

グッズが微妙

 小学校の頃、同級生の男の子がチームロゴの大きく入ったペンケースを持っているのを見たのが、同年代女性にとってJリーグのグッズを見た最後の記憶。好きになったらああいうペンケースとかミサンガつけてないといけないんでしょ…という先入観を持っている。知識がJリーグカレーの頃のまま。悩める女子よ、安心して欲しい。スタジアムに行ってもアルシンドみたいにはならない。私も観戦に行くまでサポーターはみんなほっぺたにカラフルな線を描いてチアホーンを持っているものだと思っていた。

 応援チームによってはグッズがチームカラーそのままの原色でOLさんの普段使いの小物には向かない、という点もあるでしょう。各クラブの新商品会議で「女性向けの商品」という単語を聞いた途端に「ヨッシャ任しとき!チームマスコットの絵柄付けておけばいいんだな!ハローキティともコラボしたろ!」みたいな会話があるんじゃないかと思うほどズレている。

 もちろん、マスコットやサンリオコラボは人気商品です。それらの商品が減ったら大暴れする可能性がある人を何人も知っているし、私もスタジアムで泣きわめきプラカードで必死の抗議運動をするでしょう。そこは残しておいてください。でも既存商品に少し加えて欲しいラインナップがあるのです。

 女は20歳を過ぎたあたりから「その年でキャラクターグッズを持つなよ…」の声を浴びせられながら生きています。クラブマスコット好きで通っている私はそんなことをもう言われなくなりましたし、もし何か言われたとしてもマスコット愛を切々と語ることも出来るでしょうが、その前の段階の女性であれば「グッズが子供っぽい」「スタジアム以外のどこで使うの」で終わってしまう可能性大。

 スタジアムに来る女性は観戦だからカジュアル系服装が多いけれど、丸の内・新宿あたりを見てみれば違う系統の女性が多いんじゃないかな…。ディズニーも子供向けのグッズから「大人可愛い」グッズにも視野を広げてから売上が回復しました。

 その点川崎フロンターレのコラボはお見事。マグノリアベーカリーにSABONだと…!?o◯mallやゆるふわ系キュレーションサイトが特集で取り上げるのも時間の問題です。ジェフ千葉zozotownコラボもオシャレでした。可愛いグッズが増えれば既サポ女性にとっても嬉しいですね。30前後の私たち、お金使いますよ…!もちろん全世代・系統に対応した沢山の可愛いグッズやコラボが増えれば最高です。

リア充コワイ…

 代表戦の渋谷の交差点のイメージが強いのか、私がサッカーにハマり出すとオタク仲間が驚きました。「大丈夫?なじめてる?」と。”サッカーはリア充が見るもの”というイメージが強すぎるのも問題です。カラフルなユニフォームを着ているけど、Jリーグのサポーターはおとなしい人もいれば女性も沢山います。サッカーのかっこいいイメージはそのままに、もう少しサポーターの現状を知ってもらう機会があってもいいのかもしれません。

世は娯楽に満ちすぎている

 休日の予定はライブに舞台に…これ以上お金を使う趣味を増やしたくもないし、あえてJリーグを見るきっかけもない。私もサッカーを見に行く前は、土日の予定が全て埋まっていて、平日の試合があったお蔭でやっと初観戦出来たということがありました。何か自分の興味のある分野とJリーグがコラボすれば行く、という人もいるようです。FC岐阜、水戸ホーリーホック、東京ヴェルディ、サガン鳥栖などのアニメコラボや、横浜F・マリノスの東宝、タワレコとのコラボなど他業界とのコラボレーションも効果的といえそうですね。

「私はこんなことを思っていない!」という女性の方もいらっしゃるでしょう。大歓迎です。むしろその声をtwitterにでもどこにでも書いてください。

 Jリーグも各クラブの担当者も今、女性目線の声を渇望しているのが、末端サポーターの私にもよく分かりますし、皆さんの声を取り入れるためにネット上の意見を隅々まで探して拾っていると思うのです。「フォロワー数の少ない私がつぶやいても意味がない」と思わずに積極的に意見すれば、さらにJリーグが活性化しますよ!ですよね?Jリーグ!

ここまで読んでくださって本当にありがとう! サポートも大変励みになりますのでよろしくお願いします。