なぜplay roomを作ったのか。俳優として思ったこと
play room第二期の締め切りまであと1週間となりました。
昨年夏頃に、長めのWSをやりたいと世莉さんに持ちかけた時には、本当に第二期を開催することになるとは思っていませんでした。
もちろん出来たらいいな、とは思うことはありましたが、そもそもこの収入形態でやっていけるのか?という思いもありましたし、運営そのものも「とりあえずやってみるか」の精神でここまでやってきました。
講師の黒澤世莉さん、参加者の皆さん、支援者の皆さん、支えてくれたたくさんの人たちのおかげでここまで運営してくることが出来ましたし、今後もこのWSを走らせていきたいと思える素敵な出来事がたくさんありました。
今回は、改めてなんで自分がこの「play room」という場を、俳優として作ろうと思ったかを、書いていこうと思います。
どういうことに悩んで、どう考えて行動したか、をざっくりと書きます。
野村亮太という俳優を知ってもらえたら嬉しいのと、play roomに興味を持ってもらえると嬉しいです。
フリーでいるということ
小劇場で活動している俳優をものすごくざっくり二分すると
・フリー
・所属(劇団/事務所)
に分かれると思います。
僕は、上記だとフリーになります。
ユニットとして、「やまだのむら」「room42」という二つの団体を主宰していますが、どちらも劇団ではないです。
いや、劇団とユニットの違いはなんだという話にはなりますが、あまりそこはちゃんと考えてないです。
劇団ではないので、ユニットでいいや、ぐらいの感覚です。
フリーでいる利点としては、
・年間のスケジュールが自由に組める
・ギャラの取り分は基本的に自分が100%
・気楽
他にも色々ありますが、この3つが自分は大きいと思っています。
劇団に所属する利点としては、
・集団としての強さを獲得できる
・(団体によるが)年間に2~3本の出演が確定している
・出会いの機会の多さ
・上下関係や、横の関係などから獲得できる経験値
があると思います。
僕は、大阪で活動している時は劇団に所属していましたが、今でも基準になるのはその時得た経験だったりすることが多いです。
それは、単純にどういうセクションの人間がどういう動きをすることで、公演が成り立っているのか、というすごく基本的なこともです。
フリーでずっと活動していた人が、自分のプロデュースで公演をやろうとした時に、公演の成り立ち全体をあまり把握せずにやってしまって、思ったよりやべえ、みたいなことが発生することが、ままあるので、個人的には劇団に所属するのはおすすめです。
事務所に所属する利点としては、
・舞台以外の案件へのチャンスが広がる
・舞台含め、単純にチャンスの数が多い
・会社に(ある程度)守られる
という点が大きいかなと思います。
個々人、活動のやり方などがあるので、何が一番いいという話ではないです。
上記も、あくまで僕個人の認識をざっくり説明しただけです。
この中で、僕は現在フリーで活動しています。
理由としては、フットワークが軽くなるからです。
自分の性格は、一つのことをじっくりというよりは、どんどん新しいことに取り組みたいと思う性格です。
その上で、スケジュールの上での身軽さは必要なのと、新しいことを始める時に、わざわざ誰かに許可をもらわなくていい、という点が大きいです。
4年ほど前に上京してきて、とにかく新しい繋がり、たくさんの人と一緒に仕事をする、ということを大事にしていたので、その流れでこれまでフリーで活動してきました。
ただ、ここまで活動してきて、考えも変わってきたので、今年あたりにどこかに所属したいな、とも考えています。
なぜplay roomを立ち上げたのか
前置きが長くなりましたが、play roomを立ち上げる前に、このフリーでいるということで、個人的に問題点がでてきました。
・演技の上で基準点がない
・似た役でのキャスティングが増えてきた
・しっかりと勉強する場がない
の3点です。
・演技の上で基準点がない
フリーで活動していると、当然色々な演出家や団体とお仕事をさせていただくことになります。
当然、個々人、各団体において、「良い」とされていることは異なります。
その良いを使いながら、自分はどう作品に貢献していくか、ということを考えます。
それはそれで、色々な考えや、技術を獲得できて、とても良いことだと思います。
ただ、それをひたすらに繰り返していくと、自分が良いと思ってることに対する基準が不明瞭になっていく感覚がありました。
定点観測をする機会が減っていくので、他人に合わせるばかりで、「自分」というものが薄れていく感覚がありました。
劇団にいると、決まった劇作家や演出家がいることが多いので、そのあたりは調整しやすいと思うのですが、フリーの場合(あくまで自分の場合ですが)、基準を作る努力、場がないと積み上がっていかないな、と感じていました。
・似た役のキャスティングが増えてきた
これは、劇団、フリー問わずだとも思うのですが、
キャスティングの際、役のイメージが先にあって、そこに合う俳優をキャスティングすることが多いと思います。
その俳優をどうやって探してくるかというと、過去共演したり、観たりする中で、イメージに合う人を探すことが多いと思います。
つまり、例えば、嫌味な役をやった俳優がいて、嫌味な役に合いそうな俳優を探している演出家がいて、過去その俳優を見たことがあれば、再びそういう役でキャスティングされる機会は多いと思います。
このこと自体は、とても良いことだと思います。
少なくとも、良い仕事をした証明でもあるので。
しかし、これが続きすぎたり、そのイメージが強くなりすぎると、似た役でキャスティングされる機会が多くなり、結果人の目に触れるのも、いつも似通った役になり、結果似た役でキャスティングされる機会が更に増えるというサイクルに入ってしまうと思います。
僕自身は、ユニットを主宰しているおかげである程度、系統をバラしたりすることが出来ますが、どうしても得意、不得意が出てきますし、得意な方でキャスティングされる機会が増えていました。
・しっかりと勉強する場がない
色々なタイプの役でキャスティングされるには、不得意なな系統でもしっかりと力を発揮しないと次につながらない、と考えました。
ただ、それは時間もかかるし、しっかりと基礎から勉強する必要性も感じていました。
以上の理由から、僕はしっかりと学ぶ場所が欲しく、かつ自分の基準となる場所を欲していました。
色々とWSを探してはみましたが、これだ、と思えるものには結局出会えず、ただ探してダメなら諦めるのは性に合わないので、「自分で作ればいいか」と思って立ち上げたのが、play roomです。
しっかり学ぶことを目標としていたのと、自分の基準にするためには、出来るだけ長くこの場を継続させる必要があると考えました。
その中で、個人的にクリアしておきたかった問題が2つ。
・お金
・スケジュール
この2点です。
自分自身もそうですが、参加者側に立って、どうすれば続けやすいかを考えました。
その結果、この2点がとても重要だと考えました。
自分自身が主宰をすることで、上記2点はいったん解決しました(運営努力次第ですが)。
では、その他の参加者が目的を達成しやすくするためにどうすればいいのか。
そこで、
・1回あたりの金額を極力安くする
・俳優の成長の場への支援を募る
・参加については強制力を持たない
・レポートを作成し、休んでも復帰しやすいようにする
この4点をWSの根幹に取り入れました。
問題は色々とありましたが、たくさんのお力をお借りして、何とか形になり、結果第二期の開催にこぎつけることが出来ました。
このplay room自体は、現状、自身が小劇場について感じてることを解消する一手になれば、とも思っていますし、自身が俳優として成長するために必要だと思って作った場所になります。
このあたりは、過去のnoteに記載しておりますので、もしご興味がありましたら読んでいただけると嬉しいです。
【演劇WS】play roomとpolcaと小劇場について
https://note.com/ladicaldreamer/n/n25b74f5afa1c
今回第二期募集にあたり、一個人としての僕の考えを知っていただいた方が良いのかもなあ、と思い今回の記事を作りました。
僕自身はこういう事に悩み、必要だと考え、play roomを作りました。
フリーだから、劇団所属だから、事務所所属だから、などは関係なしに、自分の目的に合致していたり、自分に必要だと感じた方にはどんどん応募していただけると嬉しいです。
play room第一期の最初に言ったことですが、
「合わないと思ったら辞めても大丈夫です。嫌なことを半年続けるのは苦痛だと思うので、自分に正直にいて下さい。」
始めたから、簡単に辞めちゃダメだ、なんて思わないで良いと思うんです。
時間は有限なので、自分にとって良い時間にして欲しいですし、必要ないと感じたら、それはそれで自分のために選択してあげてください。
以上になります。
たくさんの方に、このplay roomという企画を知っていただいて、選択肢の一つとして認識していただけると、とても嬉しいです。
ご応募心よりお待ちしております。
【演劇WS】play room 第二期開催決定/募集要項
https://note.com/ladicaldreamer/n/nbd6602456ace
(締め切りは3/20 23:59)
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