【演劇WS】play roomとpolcaと小劇場について
ついにplay roomの選考が終わり、参加メンバーが確定しました。
素敵な方々が多く、またスケジュールなどの事情も多岐に渡るため、当初の予定より10名ほど多い27名の方に参加していただくことになりました。
今回、半年間のプログラムですが、参加者の方が「やってみたけど、思ってたのと違う」となった時に、辞めやすくするための配慮でもあります。
お互いにとって良い時間にしたいので、意味のない義務感だけで続けるのではなく、明確な目的意識を持って参加していただきたいと考えています。
近く、僕が主宰する「room42」という団体のtwitterアカウント
@room42_act
からメンバー紹介を行う予定です。
今回の文章、かなり小劇場を取り巻くお金の話をします。
僕は今やってることをきちんとお金の発生するお仕事にしたいな、と思っています。
現状を多くの人に知ってもらいつつ、皆が幸せに作品を作って、お客さんに満足してもらえたら最高だと思っているので、長文ですが読んでいただけると嬉しいです。ご意見も歓迎します。
もしpolcaの支援方法だけを知りたいって方がいらっしゃれば、
目次の「polcaで支援する」で飛んでください。よろしくお願いします。
play roomについて
俳優の仕事とは、演技をすること。
演”技”というからには、そこには技術が必要だと思います。
技を手に入れるためには鍛錬が必要で、それを感覚で全てできてしまう人は天才です。でも、大多数の人はそうでないと思います。
僕は天才ではありません。
俳優としての実力も、全然足りていません。
でも、だからといって、何もせずにそのことを嘆いたり、与えられた仕事をこなすだけというのは、性に合わないし、何より自分自身が楽しくないので、今の自分の現状を少しでも変えるため、俳優として前に進むために、今回の企画を作りました。
俳優として自分自身、鍛錬の時間が圧倒的に足りていないと思っています。
演技というのは、自分が考えているよりもはるかに難しく、奥が深いものだと思っています。
そして、俳優のよりよい演技が、作品をより豊かにし、観客に多くの影響を与えらえると考えています。
作品のジャンル、芝居のやり方などは色々とあると思いますが、「相手がいるから、自分がいる」それだけは絶対に変わらないですし、お芝居にとって最も重要だと考えています。
俳優として成長し、作品に貢献し、観客に楽しんでいただく。
この入り口にあたる、俳優自身の実力をつけるための時間にしたいです。
自分自身も、実力をつけるためにWS(※ワークショップ。演技の訓練をする場所)やレッスンに通います。
でもその費用は、安くないことが多い。
1回5000円以上なんてのもザラです。
技術を手に入れるために、必要な経費ですが、
俳優が負担するには現代日本の経済状況はこの30年間で厳しくなりすぎてしまったと思います。
僕は、意欲があっても経済的に恵まれないが故に訓練ができない俳優たちのチャンスが減ってしまうことは、避けたいと思っています。
なので、このplay roomでは、経済的な問題を抱えていても継続参加が可能な額として、一回あたりの参加費を1000円に設定します。
利益はありませんし、運営費用も十分まかなえません。
あえて有料にすることでモチベーションの高い俳優に集まって欲しいと考えて、無料にはせずにこの金額設定にさせていただきました。
俳優が成長することによって、観客に届く作品が、少しでも豊かになるよう取り組んでいきたいと思います。
支援について
上記のように、俳優の負担を減らすと、その分運営費用が不足します。
これは当然といえば当然です。
そして、運営費用というのは、場所代やら、講師へのギャランティーの支払い、諸経費が含まれます。
今回半年のプログラムの中で、結構ボリュームのある内容を行おうと考えているため、それ相応の準備が必要になります。
つまり、ほっとくと勝手に赤字になります。
こんな無茶な企画に賛同してくれた、講師の黒澤世莉さんには本当に感謝です。
さて、本題です。
なら、どうやってその部分を賄おうか、という話です。
ぶっちゃけると、
皆さんの力=お金をください。
お金儲けをしたい奴だと思われそうな発言ですが、そういうわけではないんです。
小劇場を取り巻く、俳優に対するギャラの話
そもそも僕個人は芸術は守られるべきだ!とは考えていなくて、自分がやりたいことをやっているだけなので、稼げないのは自分の実力不足だ!とも思ってます。
それ自体に何の不満もないのですが、小劇場の構造自体には「ちょっとなあ」と思っていることが結構あります。
その最たるものが、俳優へのギャラです。
小劇場をとりまく環境としては、
予算組みをする上で、俳優へのギャラは一番後回しにされるケースが多いです。
後回し=つまり優先順位が低く、その金額も小さいケースが多いです。
この支払いも、チケットバック制を採用する団体が多いです。
チケットバック制
個人の取り扱い窓口からの予約数に応じて、1枚あたり○円とバックをするシステム。
300円/枚、500円/枚のどちらかが多い印象です。
例えば、30人個人扱いの予約が入ったとして、
30×300円=9000円
30×500円=15000円
ギャラは以上です。
安いです。稽古場に行くまでの交通費が出るわけでも食費が出るわけでもなく、本当にこれだけなんです。これだけでは生活が出来ないし、舞台に出れば出るほど俳優が困窮していくのはこのためです。
酷いとところだと、30枚目まではバックすら無し。31枚目から500円/枚。もっと酷いところだとチケットノルマがあります。
チケットノルマ制
チケット単価5000円の舞台だとして、ノルマ数が30枚だと、
事前に5000円×30枚=150000円を役者が団体に収め、30枚売れれば、持ち出し分は返ってきて、それ以降はチケットバック(これも1000円以内が多い印象)というシステム。
チケットノルマはさすがに大分減ってきましたが、まだたまに見かけます。
その枚数に達成しなければ、その分は俳優が負担します。
つまり、お金を払って出演する。
という事態が発生します。
お金を払ってでも出演したい、と思うのであればそれも一つの手かもしれませんが、僕には健全には思えません。
そして、そもそもチケットバック制自体が僕はあまり好きではないです。
お客さんを呼ぶのは俳優の仕事、と言われればそうですが、沢山お客さんを呼べる人だけが偉いのか、と言われると絶対そんなことはないです。
それに、集客については俳優だけの問題だけでなく、制作面と複合してくるのでその負担が俳優だけにのしかかってくるのは納得できません。
俳優はあくまで「演技をする人」であると思っています。
その部分については、チケットバックとは別にきちんと正当な評価をされるべきだと思っています。
お客さんを呼ぶことを絶対に手を抜いてはいけないですし、集客力は、その俳優の持ってる武器の一つです。
でも、絶対にそれだけじゃないはずです。
なので、僕は自分が出演する際は、必ずギャラの交渉をしています。
基本的にチケットバック制であろうが、売り上げに対する%だろうが(例:売り上げの30%をギャラにする。→3800円のチケットを30枚売ると、34200円)、一旦固定でギャラがもらえないかの交渉をしています。
だいたいよくやるのは、1STあたり○円でお願いできないか?という交渉です。
例えば、1STあたり5000円なら、10STで50000円です。これとは別に30枚以上売ったらチケットバックにしてもらえないか?という内容です。
この時に、ただこちらの都合だけを押し付けたら良くない感じになるので、
・なぜチケットバックを嫌っているか。
・相手が提示してきた条件を、自分の場合に当てはめてみて、その上で自分の集客力等を踏まえて、できるだけ具体的な数字を交えて説明する。
この2点を重要視しています。
その上でお互いが納得できるポイントを探していきます。
自分の仕事に正当な対価を求めると、同時に正当な責務が発生します。
僕はそれでいいと思っています。
その方が俳優として参加する演劇作品について、作品も集客も全部自分の事だと思えるからです。
僕は、自分の仕事に対するギャラの概念をしっかりさせる事で、お客様からお金をいただいている、という重要性を頭に叩き込んでいます。
絶対にお金以上に満足してもらって帰って欲しいと思っています。
なぜならお金の出どころは、お客様だからです。
もちろんキャリアのある俳優や、商業演劇、または小劇場でもしっかりした団体では、ここで書いた状況とは違って正当な対価を得ている場合も多いと思います。
フリーで活動してたり、比較的若い俳優だと上記のような出演料で活動している人が多いと思う、という僕個人の意見です。
良い俳優を観るために
とはいえ、僕一人が頑張って息巻いていても、環境全体を変える力はないです。
だから、僕は僕にできる事を頑張ります。
僕はもっと良い俳優になって、良い作品を作る。そして、そして良い作品を観客に提供する。
それが一番大事だと思っています。
ただ、上記の理由から、俳優はギャラを獲得する手段に乏しく、アルバイトや他の仕事をしながら舞台などに出演するケースが多いです。
俳優の仕事で稼げない分、他の仕事で代用しています。
当然、稽古日数が多かったりすると、その分バイトの時間が減り、収入を得る機会が更に減ります。
このような状況だと、俳優自身がトレーニングする時間というのはどんどん削られてしまいます。
稽古以外にトレーニングをする=バイトの日数を減らす。
トレーニングに参加する費用が発生し、バイトを減らしたせいで収入も減る。
どう考えても長期的なワークショップに参加するのは難しいです。
「現場で覚えろ!盗め!」というのは、口で言うのは簡単ですが、なかなかに難しいです。自分に必要なものがそこにあるかも分かりません。
だから、継続的にトレーニングを受ける場所が、安価で提供できればもっとたくさんの人が良い俳優になる一歩を歩めるのではないか、と思っています。
そのためのplay roomです。
なので、支援というより、良い俳優をたくさん育成するためのスポンサーを募集しているという言い方のがしっくりくるかな、と思っています。
一緒に俳優の成長を楽しんでいただけると思いますし、その結果良い俳優が増えれば、良い作品がもっと良い作品になると思います。
そして、それ自体が支援に対する最大のリターンだと思っています。
とはいえ、せっかくご支援いただきますので「支援してよかったなあ」と、具体的に実感していただくために、いくかリターンを設定させていただきました。
毎月支援を募集します。
1口500円からの支援ですが、
ひと月2000円以上→WSレポートをプレゼント
これは、play room各回でどんなことを行い、それに対する俳優の反応、それを踏まえてどう俳優が変化、成長していったかを写真を踏まえて記載したものになります。支援者限定の内容にする予定です。
読んだ人が応援したくなる内容にしたいと思っています。
それは、俳優であっても、一観客であったとしてもです。
読んで、
俳優なら、自分も参加してみたい!
観客なら、応援してもっと良い俳優になっていくこの人達を見届けたい!
と思っていただけたら最高だな、と思っています。
ひと月3000円以上→play room見学権プレゼント
こちらは、毎月最後の実施日に、play roomの見学をしていただける権利をプレンゼントします。これも支援者限定です。
個々人に課題の戯曲を渡して、その発表を毎月行います。
各々が課題に取り組む中で絶対に成長していくと思っています。
その様子を、実際に目の前で楽しんでいただけます。
短編になるとは思いますが、色々な作品を見ていただけますし、もうほとんど観劇だと思います。
俳優も観客がいた方が集中力が増しますし、どういった方々に助けていただいてるか確認することが出来ます。
支援者も、自分がどういった人たちを応援しているかをきちんと確認できるので、絶対楽しんでいただけると思います。
ちなみに10月は10/29(火) 19:00ごろからを予定しています。(進捗により変更の可能性あり)
サポートしていただくことで、一緒にplay roomを楽しんでいただけると嬉しいです。
今回(2019年10月-2020年3月)の支援が毎月上手く成果を出せれば、次回またこの企画を走らせることができます。
そうすると、もっとたくさんの俳優と出会うことができます。
そして、もっとたくさんの方にこの方法が広まれば、少しずつ小劇場におけるお金に対する考え方や、俳優の実力と地位の向上につながるのではないかな、と思っています。
どうかたくさんの方にこの企画を広めて欲しいです。
考え方には共感するけどお金はちょっと・・・
という人も広めてくださることも貴重な支援です。
僕は、都内で活動していますが、この企画は他の地域で活動している方々の希望にもなり得ると思っています。
同じような悩みを抱えてる方。
距離を越えて、何が最善か一緒に探していきましょう。
僕はずっと大阪で活動していて、2016年に上京しました。
大阪で観たたくさんの作品に僕は感動しましたし、小劇場で出会ったたくさんの作品に救われました。
そして、それは今も続いていますし、これからも続いていくと思います。
だからこそ、そこに携わる人がもっと幸せになって欲しいです。
良い俳優が増えて、良い作品が増えればもっと観劇人口も増えると思っています。
どうか、ご支援のほどお願いします。
polcaで支援する
では、具体的な支援方法の説明になります。(画像は10月の支援ページです)
①スマホで、下記URLを開く。(play roomの企画ページです)
https://polca.jp/projects/n9G749d1N4Q
②右上に現れる、アプリダウンロードボタンを押す
③polcaアプリをダウンロードする(無料です)
④アプリでログインする(必要項目:電話番号/SMSで送られたコード)
入力後、確認ボタンを押すと、SMSにコードが届きます。
そちらを入力後、ログインボタンを押す。
⑤アカウントの設定(アカウント名の設定/支払い方法の設定)
ホーム画面の右端、三本線を選択。お支払い方法を選択で、支払い方法を設定できます。
⑥再度企画URLを開く
https://polca.jp/projects/n9G749d1N4Q
⑦アプリで開くを押す
⑧アプリ上で、支援するボタンを押す
あとは、金額を入力して完了です。
登録は必要ですが、とても簡単です。
もし支援はしたいけど、polcaではない形がいいなどのご要望や、
ご不明点などあれば、
room42.act@gmail.com
までご連絡ください。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
何卒応援のほど、よろしくお願いします。
play room主催
野村亮太
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