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武尊山(2022.9.25)

割と気軽に行ける距離感なので、逆に後回しになっていた武尊山。本当は前日の土曜日に行けたらよかったのだが雨予報だったため日曜日になった。
夫は同行するかギリギリまで迷っていたけど一緒に来てくれることに。
3:30に起き、私は翌日東京出社のため帰りは別になるので各々の車で出発。武尊神社の登山口を目指す。

登山口手前の広い駐車場に車を停めて、そこから先は車を1台にまとめて出発し直すも、倒木があり車では登山口のすぐ近くまでは行けず。結局林道の窪みに駐車して、ほんの10分程度を短縮した形になった。

コースは易しくもなく辛くもなくちょうどいい塩梅。この日は森の様子とかよりも、野辺山から来た溌剌としたおじさまと結構な時間話したことが一番覚えている。
ちょうど私の母と同い年くらいで、65歳で仕事を辞めてから登山を始め、すごい勢いで百名山を踏破しているところらしい。
…確か北海道でもそんな方に出会ったような。登山歴は1年程度だというが、もともと何かスポーツをされていたのだろう、足取りはこなれたものだった。

おしゃべりしていたので森の中の写真はなかった…

登山をそこそこやってきている人と一緒になると、今日はどこから来たのかという話に始まり、大抵は最近行った山やこれから行く予定の山の話になる。
しかしこの日一番話に花が咲いたのはおじさまの地元の話で、自身のお住まいを始め東信(長野県の東側)に縁故をもつおじさまのテリトリーが私の母のそれと丸かぶりであった。とりわけ驚いたのは、私の祖母(母の母)のきょうだいがやっている食堂のことをご存知で、「あそこ、なかなか人気店だよね」とおっしゃったことだ。

年末などに贈り物をくれるその家族のことをわたしは直接知るわけではないのだがなんだか嬉しかった。帰ってすぐ母に話した。佐久の臼田にある鳥忠食堂というお店である。よくよく調べてみれば老舗の有名店という扱いをされていた。今度祖父の7回忌の帰りに寄りたいね、と夫と話している。

武尊山はそんなにハードな山ではないイメージだが、唯一鎖場だけは噂以上に怖かった。ほぼ岩壁であり、普段はオフィスでデスクワークをしている人間がよくこんな壁を上るよなともはや呆れてしまうくらい堂々たるものだった。
さらに下りでは昨日降った雨が乾いておらず岩がツルツルと滑り、ポールがなければ何度転んだだろうというような道のりだった。夫が「信頼できる岩がひとつもない…」とこぼしたくらい、とにかくよく滑った。

そんなふうに岩場に苦戦させられたものの、ある程度登り切った後の稜線がとても素晴らしかった!その時の浮立った気持ちから、なぜかとっさに

「人生のここがいちばんいいところ うきうきとして牛舌(ギウタン)に塩」

(小池純代)

という短歌が浮かんだ。
牛タンは関係ないが、人生の、ここがいちばんいいところ。という気分だったのだ…
この歌、リズムがすごく好きで、いろんな良い気分の時に使えそうだなと思う。
「人生のここがいちばんいいところ うきうきとして稜線でお茶」とか。

谷川岳と同じような景色が見えるのかと思っていたら結構雰囲気が違って、ふたりで「へえ〜」と言い合っていた。そうなのだ。山から見える景色で同じものは二つとない。

山はもう秋が始まっているかと思いきやそんなことはなくて、3割くらい色づいている檜の葉にわずかに秋が読み取れるくらいで、意外と秋の足音は静かだった。しかしもう夏、とも言えなくて、そんなふんわりと中途半端な季節を肌で感じたものである。 


下山後は珍しく入浴せずに、コンビニでオールフリーを買って乾杯してからめいめい帰路に着いた。あわよくば夕方から東京でセッションに参加しようと思っていたのだが、関越の渋滞がひどく帰宅したのがセッション開始くらいの時間だった。お風呂を我慢して帰ったのに、無念…

おわり。

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