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腸内環境に、影響する薬って何⁉️

今月は、決算期に、KPIに〜
仕事が忙しすぎる〜
修士研究は、いよいよ、明後日に、お願いしている研究協力者の方に、キットを配布し、調査研究のデータの取りまとめに入ります。

私の修士論文のテーマは、「職業性ストレスと腸内環境」なのですが、いろいろ文献を追っている中で、薬剤師としては、気になる文献が〜

抗生物質は、菌を殺すため、腸内細菌に影響を及ぼすのは、わかるのですが、
それ以外の薬品でも、腸内細菌に影響を及ぼすお薬が見つかっています。

なかでも、顕著なのが、PPIと呼ばれる胃酸を強力にブロックするお薬。胃潰瘍や逆流性食道炎の治療に用いられているのですが、こちら、抗生剤以上に腸内細菌の多様性を減少させ、健康状態には良くない腸内フローラへと変化させることがわかりました。
PPIの服用をストップすると、元の状態に戻ります。

逆に、良い影響を与えていると思われるのが、メトホルミンという糖尿病のお薬。
メトホルミンは、短鎖脂肪酸という健康に有用な物質を産生する菌を増やすことがわかっています。メトホルミンの詳細な作用は、全て解明されていないのですが、このあたりも血糖降下作用に関係しているのかもしれません。

そして、1番よろしくないのが、ポリファーマシー。

ポリファーマシーとは、多剤併用のこと。
服用するお薬が増えると、健康な方では問題とならないような病原体に感染することにより発症する日和見感染を引き起こす菌が腸内に増え、また、短鎖脂肪酸を産生する菌が減り、腸内細菌の多様性が減少することが報告されています。

食生活、運動習慣など、腸内環境に影響する因子は他にもありますが、お薬の方が影響度大とのことです。

なお、PPIは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療には欠かせないお薬であり、リバウンドの可能性もありますので、服用している方は、医師の指示までは、しっかり服用しましょう。

参考

Naoyoshi Nagata*, Suguru Nishijima*, Miyoshi-Akiyama Tohru, Yasushi Kojima, Moto Kimura, Ryo Aoki, Mitsuru Ohsugi, Kohjiro Ueki, Kuniko Miki, Eri Iwata, Kayo Hayakawa, Norio Ohmagari, Shinichi Oka, Masashi Mizokami, Takao Itoi, Takashi Kawai, Naomi Uemura, Masahira Hattori:Population-level metagenomics uncovers distinct effects of multiple medications on the human gut microbiome;Gastroenterology,vol4.1038-1052,2022
矢嶋信浩:薬と腸内細菌叢との相互作用,生物工学会誌,vol.99;580-583,2021

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