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#3:もう上毛かるたしないなんて言わないよ絶対。

東京の中心で上毛かるたの日本一を決める

首都圏在住の群馬出身者が中心となって結成したKING OF JMK実行委員会。

2013年2月23日(土)。
この日は僕たち実行委員会にとって記念すべき一日でした。

なぜなら、当時銀座の歌舞伎座の前にあった群馬のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」で記念すべき『第1回KING OF JMK~おとな達の上毛かるた日本一決定戦~』を開催したからです。

KING OF JMK チラシ□3

こちらは私、渡邉が当時自分で制作した大会のフライヤーになります。
何を隠そう私、こういったデザインに関してはど素人でございます。
このフライヤー・・・見事にダサいですねぇ(笑)。やっぱり素人がやるもんじゃないですねぇ。

ちなみに今のKING OF JMKは伊藤征史さんというプロのデザイナーさんにポスター/フライヤーのデザインをお願いしてますのでご心配なく(笑)

さて、そもそもなぜぐんまちゃん家で開催したのか?
それは当時ぐんまちゃん家の宮崎所長より快く場所を提供して頂いたからなのですが、何よりも、

『東京のど真ん中:銀座で上毛かるたの日本一を決める』

という"バカバカしさ"を企画の中に組み入れたかったからです。

もちろん前回申し上げた通り、東京で上毛かるたの試合を見せることによって、『県外の方々に上毛かるたを通じて群馬を知ってもらいたい』という思いもありました。

しかし、銀座は言うまでもなく『日本一高級感のあるおしゃれな街』。
その銀座で"ド"ローカルな上毛かるたの全国大会をやれば、当日来てくれる選手や観客の皆様もきっとそのバカバカしさに笑ってくれるだろうと。

僕の気持ちの中の3割は群馬の活性化の為。
残り7割は『ウケ狙い』だったのです。

B級グルメの祭典"B-1グランプリ"が僕の頭の中のお手本でした。
真剣勝負はもちろんですが、その中にちょっとしたユーモア=バカバカしさがないと単なる真面目一辺倒のイベントになってしまいつまらないですから。

実際、多くの県内メディアの方が「面白い!」と言ってくれまして、当時の記事や番組で紹介してくれました。
以下は2013年1月9日の上毛新聞。

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まさかの社会面1面。
上毛新聞さん、いつもありがとうございます。

まさかのキャンセル待ち

群馬県民であればご存知の通り、上毛かるたの対戦方法は個人戦と団体戦(3人1チーム)の2種類があります。
しかしKING OF JMKで行っているのは今のところ団体戦のみです。

当時、第1回大会では最大16チームを出場枠として募集いたしました。
これに対し、エントリーしてくれたのは27チーム
なんと11チームが『キャンセル待ち』状態で当日を迎えた訳です。

募集チーム数を増やせればそれに越したことはないのですが、ぐんまちゃん家のイベントスペースを考えると、どうしても16チームがキャパシティ上の限界。
エントリーしたのに出場できなかったチームには大変申し訳なく思います。ただその反面、正直言えばそれだけのチームがエントリーしてくれたことを嬉しくも思いました。

群馬県民の圧(アツ)がすごい。

大会当日、午前11:30。
12時からの開会式に向けて選手受付を開始。

既に数チームの選手が早く会場に入りたいといらっしゃっていました。
聞けば選手として出場する方の半分以上は、この日の為にわざわざ群馬から東京に来てくれた方々。
遠路はるばる来ていただきましてありがとうございます。

ですが・・・

あれ?

何だか僕が予想していたのとは違う雰囲気が。

先ほど書いたように僕の頭の中では、
日本一おしゃれな街:銀座で群馬ドローカルな『上毛かるた』の日本一を決めるというバカバカしさに選手の皆さんは笑ってくれるだろうし、それを楽しんでくれるはず・・・
と思って今日を迎えた訳です。

ただ、現れたチームの皆さんの佇まいはそれとは程遠い感じでした。

あるチームは「今日の為にお揃いのTシャツ作ってきました!」と3人揃って真っ黒なTシャツに身を包んで気合満々で会場に現れ、
またあるチームは『必勝!!!』と書いたハチマキを頭に巻き、
更にあるチームは『先週チームで合宿を行って今日に臨んでます!』と大きな声で僕に声をかけてくれ・・・

いや、そこまでやってくれてもちろん嬉しいんです、嬉しいんですけどね。
何というか、千鳥のノブさんっぽく言うと・・・

圧(アツ)がスゴい。

受付開始直後から、僕の想定とは180度違う空気が漂っていました。

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上毛かるた大会なんて二度とやるかっ!!

試合が始まると、その圧(アツ)は更に強くなって僕らに襲い掛かります。

まずは予選ブロックの試合開始。
第1回JMKの予選は16チームを4ブロック(1ブロック4チーム)に分け、各ブロックで総当たり戦を行いました。そして各ブロックの上位2チームが決勝トーナメントに進む形式です。

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その予選開始から5分。
僕は札の読み手を担当していたのですが、ある札を読んだ瞬間にいきなり叫び声が。

『はいった!!はいった!!!はいった!!!』

ぐんまちゃん家に響き渡る大声。

いったい何の騒ぎ!?だと。
見ると、あるチームの女性が『自分の方が速かった (自分の手の方が下に入ってる)!!』と審判に怖い目をして猛アピールをしています。
そんな叫び声が試合中、あちらこちらで聞こえるのです。

それを見てうろたえ、泣きそうになっている審判もちらほら。

実は僕を含め、当時のKING OF JMKの審判、スタッフはほとんどが東京近郊に住む群馬県出身者。
上毛かるたで群馬を盛り上げたいという気持はあるのですが、まさかそんなアツで試合が行われるなんて正直全く思っていなかったのです。

まあ、もしかしたら自分も小さい頃はそんな感じで真剣にかるたをやっていたのかもしれない。
でも大人になって、東京に出てきて、既に都会の色に良くも悪くもどっぷり染まってしまい、そんなことすっかり忘れている訳です。

これは後々になって思った事なのですが、
野球でもサッカーでもどんな競技であっても、運営スタッフや審判って褒められることはありません。
滞りなく試合が進行して当たり前。
何か進行ミスがあれば白い目で見られ、判定に不服だと責められるという何とも損な役柄です。

この日、何度怖い目つきで睨まれた事でしょう。
また不安を抱えながらも審判を買って出てくれたスタッフはさぞ疲れたでしょう。本当に申し訳ない。

試合の最中、札を読みながら僕は心の中で誓いました。

『もう上毛かるた大会なんて二度とやるかっっ!!』と。

でもやっぱやらなきゃいかん。

もう色々な事が巻き起こってへとへとになりましたが、いよいよ決勝戦。
これが終われば全て終わり。
もう二度と上毛かるた大会なんて慣れない事はやめよう、あともう1試合だけ我慢しようと心に誓い、最後の決勝戦の読み手を担当しました。

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決勝戦は館林から参戦したチーム『舘林の八重桜』と、前橋の紅雲町から参戦のチーム『かかあ天下』の対戦。
選手6人中5人が女性でしたが、やっぱり何というか・・・雰囲気が怖い。
そりゃもう決勝戦ですから、笑いなんてひとっつもありません。

試合は一進一退の攻防で両者譲らず。
傍から見ていてもどちらが勝つか予想がつかないまま進行していたと記憶しています。

そして最後の2枚。
上毛かるたを知っている方ならご存知の通り、最後の2枚はチームリーダーどうしの1対1の勝負です。
他4名は手を出すことができません。


本大会最後となる読み札。

何を読んだのかは、読み手であった僕も覚えていません。

でもただ1つ、僕の記憶の中に深く焼き付いた一瞬がその時ありました。


それは最後の札を見事に取った『舘林の八重桜』のリーダーの女の子が勝利を確信したのか、一瞬涙ぐんだことです。

これは今でも忘れません。


何度も言いますが、僕は『銀座で上毛かるたの日本一を決める』というバカバカしさにまず笑ってほしかった。
しかし大会は終始アツがスゴい状態で進み、運営も正直グダグダでした。

そんな大会だったのに、優勝して涙を流してくれる人とは。

表彰式。
優勝した『舘林の八重桜』には優勝メダルに加え、副賞として群馬県上野村『やまびこ荘』の宿泊券をプレゼント。
更には第2回KING OF JMK優先出場権の目録を贈呈しました。

試合中、『あの目録をどうしようかな・・・無かったことにして破ってどこかに捨てようかな・・・』と本気で考えていましたが、最後の涙で考えを改められました。

そして優勝者インタビューでは、『こんな素敵な大会を開いていただいてありがとうございました。』と言ってくれました。

それを聞いて、
『なるほど、こりゃ来年もやらないといけないんだな』と思った訳です

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これは現在でもなのですが、1度大会をやると疲れ果てて1ヶ月くらいは『もう二度とやりたくない!』という気持になります。
本当に上毛かるた大会を主催するのって疲れるのです。
やったところで褒めてくれる人いないし(笑)

そう考えると70年以上も継続して開催している小中学生の『上毛かるた競技県大会』は凄まじいです。今日まで続けている県子連さんの努力は並大抵のものではありません。

だから正直、KING OF JMKをやめたくなることは多々あります。
でもですね、あの時の『舘林の八重桜』の涙が嬉しくて印象に残ってますし、意地でも継続してやろうという気持ちもあります。

毎年優勝チームに『次回KING OF JMKの無料優先出場権』を贈呈していますが、あれは僕が僕に対する『来年もやるんだからな』という意思表示でもあるのです。


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