The View 関西ラクロス2021(データ編)その3

もう少し詳しく!! DK対決を振り返ってみる

これを書いてるもう明日には、関西王者・同志社が、学生日本一をかけて選手権決勝に登場します…強い.しかしここでは、あくまでも”関西限定”なので、まだまだ関西ファイナルを振り返ります.

既報その1その2において、リーグ戦の直接対決とファイナルでの同志社、関学両者の激突をデータで振り返りました.もしよければ見てください.

その1

その2

これらのデータ取りでは、視点をボールポゼッションに置いて、ドローからゴールまでの流れを追っている感じです.今回、新たな取り組みとして、

オフェンスパターンを、調べよう

という視点を持ちます.ただし、わたしのやっているデータの取り方でオフェンスを表現するのは限界があること、それに、ここまでくると、データ収集にわたしの主観が入ってしまう、という問題点もありますが、気にせずやりました.今回やってみて、今までの取り方と多少の+αであれば負荷なく拾えることが分かりました.

やったことは、

❶速攻(ファスト・ブレイク)について

❷ショット直前の状況について

です.では、以下に記しますが、結果としてこれらの数値の意味が分かるかどうかも分かりませんが….

❶速攻(ファスト・ブレイク)

ボールポゼッションから攻め上がり、相手ディフェンスが戻り切る前の数的優位で得点する…そのようなイメージです.そういう積極的なオフェンスが、どれくらいあったのか、というのを調べました.

ただし、ここでいう、速攻(ファスト・ブレイク)とは、以下の定義とします.もちろん、速攻かどうかを決めているのは、わたし一人ですが.

ドローゲットやクリア成功から攻め続け、相手ディフェンスに対してオフェンスが数的優位、もしくは数的にはイーブンであってもディフェンスが崩れているなど、オフェンス側にアドバンテージがある状況だと判断できるもの

とします.言葉では、”ブレイクポゼッション”とします.敵陣リストレ内でのオフェンス中に発生したグラボ直後などの状態や、ショット後の再ポゼッション時の数的優位などは、ここには含みません(データ取るのが大変ですので…ここでは、敵陣リストレに進入したときの状況にて判断しています).それでは、リーグ戦直接対決、ファイナルに分けてみてみましょう.下記の表に整理しました.

画像1

一番上の、"リストレ内1st.ポゼッション"とは、既報その1において、

ドロー(獲得)、クリア(成功)の数を足し合わせたのが、ポゼッション(1st.) ( D 33ー27 K)となります.これをポゼッション(1st.)とします.単純に足した数にならないのは、各Q終了時の状況によります.これに対して、シュート後にゴールしなかったボールを再びポゼッションすることをポゼッション(Re.)と表現しますが…

とありますように、ドローゲットやクリア成功により相手リストレ内に進入した回数です.その下にそのなかでどれくらいブレイクポゼッションしたか、という数値を示していますが、表にはありませんが率でみますと概ね20%台であるようで、同志社が関学より僅かに高くなっています.この数値がどの試合でもこれくらいなのか、レベル(1部と3部とか)で変わるのか、わかりません.私のイメージでは、試合を観ていて1部の試合の方が多いように感じますが.

その下に、”ブレイク企図”とありますが、これは、

ブレイクポゼッションの後、ショットまで行けた、もしくはショットまでは至っていないが、フリシューを誘発するファールとなった数

となります.N数が少ないので判断は難しいですが、概ね、ブレイクポゼッションからブレイク企図に至ったのは約半分くらいかと思われます(これも他の試合でどうなのかは、調べたことが無いので分かりませんが).逆に言うと、約半分は速攻を諦めて、ポゼッションしてセットオフェンスへ向かう、という感じでしょう.ちなみに、全てのポゼッションのうちショットまでいける割合は概ね少なくとも6割以上はあるとみていますので、それに比べたらやや低いですね(この2つを比較してよいのかも分かりませんが).

ショットの総数と、フリシュ要因を足したものが、ブレイク企図の総数となります.ファイナルについては、互いのゴーリーセーブ率が高くロースコアの展開だったように、リスクを冒して速攻を狙わなかったのか、もしくはディフェンスが強固で隙を与えなかった(結果としてロースコアの試合になった)のか….ということで両者に差は無かった(互いに速攻での得点はゼロ)のですが、リーグ戦直接対決はラクロスらしい点の取り合いで、そのなかでも同志社のほうが速攻を活かし3得点と結果を出しています

❷ショット直前の状況について

では次に切り口を変えて、ショット直前の状況について考えます.ショットを打つ場所は、ほとんどがファン内です(ファン外からのショットも少なからずありますが).ではそのファン内でショットが打たれる前のワンプレイはどのようなパターンがあるかといえば、

パターン(a) ファン内の選手にパス(フィード)が通り、得点する場合

パターン(b) ファン外からファン内へボールを持ち込んできた選手が得点する場合

と、大別できるかと思われます.もっとあからさまに、フィード&カットか、ワンワンからシュートか、のように分ければよいのかもしれませんが、データの取り方的に、試合中にボールの移動の仕方を分けてたりするので(投げて運ばれるか、持って運ばれるか)こうなってしまいました.また、(a)ではパスを出す人の位置はファン内外を問いません.下のそれらの分類表を出しますが、少ないですがファン外からのショットもありますが、それは割愛しています.

画像2

一番上のリストレ内ポゼッション数とは、前述の1st.とRe.の総和です.その試合でのそのチームのオフェンス機会です.いずれの試合も、6:4くらいで同志社のポゼッションが多いです(勝ってるんですからね).ファイナルでは同じ6:4でもポゼッション数の差は19もありました.

ファン内進入数(表では"侵入"となっていまして、そっちのほうが合ってるんだと思いますが、なんか変だなとも思い、文中では”進入”と変更します)とは、そのオフェンス機会のなかでどれくらいボールがファン内に入ったか、という数値です.ファン内進入数がポゼッション数より多かったり少なかったりしますが、必ずしもイコールにはなりません(1度のポゼッションで複数回ボールがファン内に入る場合もある).

当然と言えば当然ですが、ファン内進入数はポゼッション数に相関がある
と、言えます.

ショット企図数とは、ショットを打った回数と、ショット未遂の回数の和です.ショット未遂とは、先ほどのブレイクポゼッション時と同様、オフェンスがフリシュー誘発の要因となり結果としてそのままショットまでには至っていない場合と、オフェンス決定機で、もしミスがなければ得点していたかも…という場合の和です.

当然と言えば当然ですが、ファン内進入数とショット企図数にも相関がある
と、言えます.

また、ここでのショット決定率は、"フリシュー以外の"決定率を表しており、しかも(a)(b)両パターンに分けられています.ショットの決定率も通常のフィールドからのショットとフリシューを別でみたほうがいいですよね.(リーグ戦同志社の得点のカッコ内は得点中のマンアップ中のものです)

これだけのデータでは確実なことは言えませんが、と、前置きをしますが、(a)、(b)の比率はファイナルの同志社で(b)が明らかに多く、他は半々程度かと.この比率の数値で両者に差があるかどうかは判断は難しいので半々と表現しますが、それでも同志社は(b)のショット企図、ショット数、決定率が高く、1on1オフェンスが主体でかつ決定率も高い突破力のあるチームであると思われます.半々であるとは、バランスの取れたオフェンスが出来ているということになると思ますが、ファイナルの同志社では特に(b)に偏った、ということでしょう.

一番下のショット企図率とは、ファン内侵入数のうちの、ショット企図の割合です.オフェンスをしかけて(未達も含めて)どれくらいショットまでいけているか、を表します.総じて、7割程度であることが分かりましたが、ファイナルの同志社の(b)は少し低くなっています(攻め続けてもショットまで至らなければこの数値は下がります).

リーグ戦での両者は、ポゼッション比率の差があるため各項目の互いの数値には差がありますが、比率はよく似た数値になっていますね(互いに似たようなオフェンス展開だった?).また、ファイナルでは、同志社の(b)が多いことが目立ちますが、1on1からのショットが決まらずとも、諦めずに攻め続けている結果である、と言えます.反面、ファイナルでの関学はポゼッションが同志社よりもかなり少なかったため(オフェンス機会が少なく)、ショット企図率が高くなっており、ファン内進入時には(様子見せずに)効率よくショットまで行かざるを得なかった結果だと推測されます.

いろいろ書きましたが、今回初めてこのようなデータ収集をしてみました(各大学レベルではこういうことをどこまでやってるのでしょうか…)が、如何せん試合のN数が2試合分しかなく、ラクロスの試合ってどうなってんの?と言うには少なすぎますね.今後、たくさんサンプリングして、どのような傾向があるか、みていけたら、と思います(今回の分析がしょぼくてすいません…今回取ったデータが持つ意味を本当に知ろうと思うとたくさん試合を観ないといけないですね).





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