見出し画像

映画【ゲット・アウト】に見る黒人差別

米澤穂信デビュー作の【氷菓】を読んでいたら、こんな一文がありました。

嵐の夜、町外れの館(もちろんゴシック調の洋館)の地下室で俺の開頭手術をする千反田が想像されて、怖かった。

それで、映画【ゲット・アウト】を思い出しました。

怖い映画だった。そしてとてもおもしろかった。

ホラー映画は苦手だけど、ひたすら怖かったけど、観て満足。

ヒロインのローズは裕福な白人家庭の娘で、恋人のクリスは黒人。ローズの親が黒人との交際を認めるのか心配するクリス。

そんな彼にローズが「うちの親は、オバマがもし3回目の大統領選に立候補できるなら、またオバマに投票するって言ってるくらいよ」と、両親のリベラル性を例える。

こわごわローズの実家(豪邸!)を訪れたクリス、両親から不自然なまでの歓迎を受けます。お父さんの口からは「もしオバマが3回目の大統領選に出られるなら、喜んで彼に投票するよ」と、聞いたことのあるセリフが。

「私は肌の色で差別なんかしない人間ですよ」というアピールがこんな風になされるんですね。

なのにこの家、ふたりの使用人が黒人。ここはまだ南部プランテーション時代か?とみまがうような、絵にかいたような黒人のメイドと庭師。しかも全身に不穏な空気をまとっている。ワケアリなのは一目瞭然なのに、それが何であるのかが全く分からず、落ち着かない。

この映画、どーなるの?どーなるの?というハラハラドキドキがノンストップ。心の休まる暇がなかった。

脚本、うまいなあ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?