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同志少女よ、敵を撃て

なんて読み応えのある本。作者の逢坂冬馬氏はこれがデビュー作とかで、こういうのを「彗星の如くあらわれた大型新人」と呼ぶのでしょうか?

476ページの1行目を目にした時の驚き。そう来たかーー、ここに繋がるのかーー。

少女狙撃兵セラフィマが主人公の物語。この本を読んでいた3月は、テレビをつけるとロシアによるウクライナ侵攻のニュース。

昔、映画の好きな友人が「泣きたい時は【ひまわり】を観る」と言っていた。ウクライナのニュースを見ていて、そのことを思い出した。切なくて悲しい映画だった。誰が悪いわけでもないのに、いえ、戦争を始めた偉い人は悪いに決まっているが、【ひまわり】の登場人物に悪い人は出てこなかったと記憶している。観たのが昔過ぎて、覚えてないだけかもしれない。

あの映画で不思議だったのは、イタリア人のジョバンナとロシア人のマーシャが初めて会った時のこと。言語が通じないのに、お互い、相手を見ただけでなぜ事情がわかったのか? 同じ男性を愛した者どうしで、通じるものがあったのか?

あの時は若かったからわからなかっただけで、今の私なら、わかるんだろうか?

【同志少女よ、敵を撃て】を映画化するとしたら、実写だろうか、アニメだろうか。どちらでも喜んで映画館に行くつもりだが、418ページの残虐なシーンだけは見られそうもない。残虐と言えば、狙撃された兵士の頭がバラバラに吹っ飛ぶ描写もたびたび出てくるのに、それよりもこの418ページのほうが見られないなんて。株で100万の損失を出すより、フードコートで食べる前の丸亀製麺肉ぶっかけうどんを落として床にぶちまけてしまったほうがショック、みたいな。

この本を読んで、また【戦争は女の顔をしていない】を読み返さなくてはと思った。こんな書き方をされたら、読まざるを得ないよな。

ウクライナに早く平和が戻りますように。切に願います。


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