4月27日

4月もまもなく終わってしまう。
雨天続きで何となく、着るものにも湿気をふくんでわずかに重さを纏う。

午後勤務の、夜は職場近隣で花火大会。帰りは大丈夫だろうか。
少しくらい見えたらいいのに高層マンションが多く見えないだろうとのこと。
「香椎花火大会」は、もともと夏の終わりに・・・それも9月始めだから夏休み気分が数日延びたような嬉しいお祭りだった。
私は早良区民なので子供の頃は知らない花火大会だったが、大人になってから誘われて行くようになった。だから実際に夏休みと関わる訳ではなかった。
実際に関わる訳ではなくても、夏休みの終わりから9月の気分というのは独特なもので、今でもずっと尾を引いている。大学4年の時なら、もういよいよ卒論に向かいあわなくてはいけない。のような、焦燥。
準備ではなく、向き合うことの。
熱が奪われていく体に、すきま風が入る。空洞。
あの独特な時間に入るまえの、季節の繋ぎ目(「特別な時間のおわり」(わたしたちに許された特別な時間の終わり©️岡田利規)と言いたくなる)、どちらにも属さないような、祭り。
そう印象付けられた花火大会はいったん消え、4月の終わりに開催されるようになった。復活したことは何よりなのだけど、花火はやはり夏であってほしいと思う。

職場にいると、見えない花火の、音だけが「どーん、、どーん」と地響きして鳴り響いた。前の通りでは出店が出ていて、夕方くらいからひっきりなしに人が大勢流れていく。
帰りの通勤電車で、あきらめていた花火が車窓から見えた。終わり近くの、大玉だ。思わず動画を車窓越しに撮る。建物が流れていくさらにその背景に、花火が打ち上がり続ける。
建物が作り物の紙でできた背景のようにスクロールされていく、そのうしろで花ひらく花火は同じ位置から打ち上がっては消え、車窓から消えていく。

陸では遠い自宅から、東区は海越しに近い。
その音だけは、自宅でもずっと聞こえていたらしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?