2月22日

傘を持ってきたけど必要なかったなと言い置きながら職場を出ると、いつのまにかザァザァと降りしきっていた。降っていても止んでいても曇天なので、降り始めた雨に気づいていなかったのだ。
傘をさして駅に向かいながら目の前の雨粒を見ていると、昨日父のマンションの地下駐車場から階段を上がる時に、私の目線と同じ高さで柵越しに見えた共用の小さな庭の風景が思い出された。父の北側の部屋で机の解体作業をしているとサァッ…と雨音が聞こえてきた、その雨が目の前で青緑色の柵と土を輝かせている。打ちつけたり、跳ねたりしながら。そこから右前方には、花壇のある庭が広がった。今までその庭のことをあまり気にしたことがなかったのを、不思議に思った。レンガで楕円を描いた花壇には、この時期は開花前の植物がほとんどで、ひとつだけフラミンゴのようなやさしいオレンジピンク色の花をつけた背の高い植物が見えた。
駅に着くと、記憶された風景の映写もふっと消え西鉄のホームで電車を待った。
夕飯には、お土産に買ってもらったエビシュウマイを蒸し器で蒸して、中華スープにするつもりで白菜とエリンギと春雨を煮込むと、ウェイパーを切らしていたのでブイヨンを入れて豆腐も投入した。具材の組み合わせのせいか不思議と中華風に仕上がった。エリンギや白菜が味にそんな奥行きを作ってくれたのか、春雨からも緑豆の味が染み出しているのか。竹の蓋をあげると蒸しあがった湯気に包まれたエビシュウマイに、薄いオレンジ色が写っていた。

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