4月20日

早朝から、父の引越し荷受け作業。
ロゴ入りの青いビニールが玄関から扉、その両脇の壁を搬入口として貼り付けられた。床には青いマットのブロックが数枚、その上に毛布、白い薄布が敷かれた。作業する人もロゴ入りの青い作業服と帽子を装着している。引越しグッズのにわかファンになってしまいそうだ。
転勤族だった子供の頃、その同じ業者のダンボールはいつも、いくつかは開封されないまま押入れに押し込まれていた。家は時々引っ越すものなのだと、当たり前に思っていたところがある。もうすぐ自分の家も引越しをする。作業フローと用具を、なるほどなるほどとよく見ておいた。
他県からの引越しなので、荷出と荷入の作業員がちがうから引継ぎの面などでうまくいっていないところもあるようだった。作業以外にも、新しく契約する諸々の手続き連絡も入る。
午前中で搬入作業は終わり。荷物をたくさん減らしておいた父だが、ダンボールがたくさん積み上がっている。今からふたりで片付ける。埃の立つダンボールを潰し、まずは生活に似せていかなければいけない。
祖父から譲り受けた鼈甲色の海亀も、早めに荷解きをしてあげる。縛っていた紐はとてもしっかりして解きやすい紐で、自分の作業用に譲ってもらうことにした。黒い目を見ていると、まだ生きていて、ずっと海の流れのなかを見ているような目に見えてくる。
予報通り、雨が降りはじめる音がしていた。

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