5月3日

天気がいい。
今日は映画を2本見る。
朝一で、タイトルをまちがえて予約した『無名』と、午後に本来見たかった『悪は存在しない』を。
どちらも今日公開。
着くと、大きなタイトルが2つも公開初日とあって、朝からすごく混み合っていた。ふだんしない席予約をしてたので、自動券売機ですんなり発券。会員特典?初回特典?のトニーレオンのポストカードももらった。
間違えたけどおもしろそう、と来てみて正解だった。『無名』、すごくよかった。その時代の残虐さもよくあらわされていたが、冷静なやりとりの奥に温かい視点もあった。最後まで緊張感が続き、見ている方もスパイに騙された。騙されながら、無意識下に色々働きかけられた。無名の表情の下の、微分的に、活発に運動している精神?
食事のシーンもとても印象的に、いくつかあった。ダブル主演のワン・イーボーがたしかに新進気鋭だった。
おもしろかったのは、映画が終わって拍手喝采が一部で起こっていて、そういうのは(映画祭でもないのに)はじめてでちょっと笑った。

午後まで時間があるので、少し天神を歩いた。
連休だし、どんたくで人がいっぱいだ。
それでも早めの時間だったからカフェでサンドイッチをゆったり食べれた。

午後、もう一度KBCシネマへ。
また混み始める前に、パンフを買った。
レコード付きというのがあったので、レコード付きパンフにする。楽しみすぎで緊張してくる。
106分の濱口監督作品。
石橋英子といえば、たびたび音楽を聴いたし、前に万田坑というところでジムオルークとのライブに行ったことがある。その時は石橋さんは炭鉱跡でフルートを吹いた。
冒頭から、木々を見上げる音楽的に長さのあるシーンがあってそれはレコードのラベルにもなっていた。内容は控えたいけど、ゴダールのような切断的かっこよさ、アンビエント音楽、タルコフスキー映像詩的なもの、そして濱口竜介的なもの、カメラの視点、とイメージしたことをメモ的に書いておく。ラストには、とても神話的なものをみた。神話的、と思う手前で「踏み込まないもの」という言葉も浮かんだ。ゾーンではないけれど、人が簡単に踏みこめないような地帯あるいは瞬間(時間帯)のような何か。捧げもの、自然、安易にふれてはならない尊重された何か。
なんかそんなことを色々思った。
終わってすぐ、立ち上がれなさがあった。となりの人々もそうだったかもしれない。
映画館を出て、白昼の中を少し放心しながら歩く。地下に降りる階段に、影がコントラストになってその自分の目にひととき映ったショットが焼きついた。地下街に降りると冷んやりして、さっきまで浴びてた日光が体に篭り始めた。

「映画を観たあと行きたくなる店」として記憶してた店に今日もいった。どんたくの音や人の喋り声が大きかったけど、気にならずにパンフレットを読み耽った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?