2月15日

休日。
KBCシネマのサービスチケットを1枚持っていて、アキ・カウリスマキ『枯れ葉』の終映回を滑り込みで観てきた。映画館に入るのは滑り込みになることが多く、今日も今日とて走って文字通り滑り込んできた。
アキ・カウリスマキがとても好きだ。初めて見たのがたぶんシネテリエで上映された『過去のない男』(2002)、その後過去を追って『真夜中の虹』(1988)『浮き雲』(1996)をDVDでそしてマキといえば(マキとはあまり言わないが)何と言っても『カラマリ・ユニオン』(1985)!だ。そしてその後は、上映されれば見るようにしていた。(というかアキか)
冒頭から、「あぁ、これぞ…」とじわじわ味が沁みこんでくる。労働者のドラマ、ヒロインの、生活の一方ではラジオのニュースで現実の現在の戦況が度々流れる。時々、監督本人の直接のメッセージが直に、ウィンクするように表されていると感じる。そして音楽が、登場人物に影響して密接にストーリーと関わっている。洋服、花、作業着、犬の手綱、テーブル上の折り紙の置物、カフェの壁の色。至る所で、赤、水色、黄色が効いている。ジム・ジャームッシュのゾンビ映画が出てきたり、映画をみたひとの話し声、上映中の映画ポスター、犬の名前…色々な場面で、監督の映画への愛が溢れる。
ほぼ好きなカットばかりと思ってしまう。のだけど、特に見た瞬間から強く印象的に美しかったのは、「北北東12メートルの風・・」とラジオの声がする部屋で雨の影にてらされるアンサが電話を取っている場面や、ホラッパが病院から出てくるのをベンチで待っていたアンサが犬と一緒に立ち上がった後に落ちる枯れ葉、3人でまっすぐに枯葉を踏みしめて歩いていく後ろ姿・・あたりだと思う。

900円でパンフレットを買って、小雨が降る中を歩いて出て、警固公園を中庭のように臨むベーカリー・バーに入った。赤い壁に黒革のソファ、角の出窓に観葉植物がある。角のソファ席が空いている。小雨が降っているのを眺められる。
ラムバーガーとポテトとコーヒーを頼んで、体に沁み込ませるようにしばらく佇んだ。

素敵すぎる気のきいたパンフレット         
カフェメニューのように、全曲リストが嬉しい                
ラム肉の香り、カリカリのポテト、熱いコーヒー、雨                    


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