2月19日

朝、外は暗く部屋の中まで湿気がきている。疲れがまったく抜けてなく、定期的にアラームを消す。やっぱり、無理してもお湯をちゃんと張って入浴してから眠るべきだったのだ。
午後勤務で、階段を降りて表へ出ようとすると、映写されたようにくり抜かれた明るみが、音とともに茫然と浮かびあがる。アスファルト、川、雨雲の匂い。通りへと出る降り口の隅は、雨で激しく打ちつけられていた。高校生の頃、雨の匂いするね、と知ったかぶりで言ってみたら、いつからか雨の匂いがどの匂いかわかるようになっていた。
水溜りを避けるように小走りしていたけど、途中で諦めてバシャバシャ進む。雨がすぐに滲んできて、足首から地面までアスファルトの匂いに包まれてるかもしれないと思う。
蒸し暑いような、でも不調期のために冷えてもいる。それほど忙しい一日でもなく、残留する疲れを感じ続けるはめになった。

若竹色の入浴剤を入れてからだの芯がほぐれるように願った。寝る前に、旅支度をする。キーチェーン付きの交通ICケースから、鍵とカードをいくつか除いて軽くする。のど飴と一口サイズの和菓子。小さなボトルに化粧水を注いで、終わりかけの小型の乳液と一緒にポーチに入れる。帰り道にネットプリントした今月の受講生詩作品集をボードタイプのファイルにはさんで、旅のともに、詩集を2冊と赤瀬川原平の文庫を1冊、いずれも薄いものを選んで、ボリスがパラソルにぶら下がったキーチャームも手にとって、鞄につめた。


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