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初めてのお買い物の記憶

初給料、初任給、初ボーナスなどお金の使い道は何にする?という質問は雑談時における鉄板かもしれない。その中でも本当に自分の意思で買いたい!と思ったものはいくら古くても記憶に新しいものである。私の最初の買いたい!と思ったものは忘れもしない幼稚園年長さんのお正月セール中のデパートで見つけたものだ。


お金という概念


お金の価値がわかっていなかった幼児の頃は、例えばおばあちゃんからお小遣いをもらっていても、母親の「じゃあこれは大人になるまで預かっておくからね」という言葉に何も考えずに「うん、わかったー」と返事をしていた。(後々小銭を入れていた缶缶には本当に小銭ばっかりで思ったよりは入っていなかったりした)

年長さんになったとあるお正月、家族で新年の挨拶を迎え、恒例のお年玉タイム。自分の名前の入った数百円のポチ袋をまるで宝物のように持っていた。せっかくもらったお金は何か特別なものに使いたいなと考えていたものの、その何かは特に思いついていなかった。おそらく福袋が目的であろうどこかのデパートへ家族で回っていた時に私は見つけたのだ、とっておきを。

それは食品売り場のウサギのチョコだ。
よくある小粒のチョコなどではなく立体的で大きいものだった。それも割とリアルっぽいやつ。ホワイトとミルクの白と黒2種類のウサギとまるで目があったような気がして初めて「これが欲しい」と熱烈に思ったことを鮮明に憶えている。白と黒両方買うにはお小遣いを使い切ってしまう。けちんぼな私は手元にお金がなくなることは嫌だったので、一生懸命考えてたしか白の方を買ったのだと思う。
お店のお姉さんが、割って食べてもいいし、ホットミルクに入れても美味しいよ〜と言いながらポチ袋からのお金を丁寧に受け取ってくれていた。

いざ、自分のお金で買ったチョコのうさぎを見つめながら、食べるのがもったいなくて、でも見つめているだけでもダメで、結局数日寝かせておいて(何も変わりません)いざ食べ始めようと思った時に、大きすぎるのでどこから食べよう…と困惑したのも憶えている。だって見た目リアルっぽいうさぎなんだもの。頭からいくのも…ねぇ?と悩んだ末、確か2本あるから耳から食べ始めて行くうちに気づいてしまったのだ。お腹は空洞であったことに。

そらそうだよね

大人になった今ならわかる。中までぎっしり詰まったチョコレートならポチ袋で買える値段ではなかったことに。ただ、当時はその大きなウサギがガランドウであったことに衝撃を受けたのだ。

空っぽなうさぎにちょっと理不尽さも感じながら、食べ始めてしまえばあんなに葛藤していたのは何だったのか、と思うほど終わりはすぐだった。もう一種類も買っておけばよかったなぁと思ったものである。まんまと戦略に乗せられている子供である。

今ではどこのお店かも憶えていないし、近い商品も見つけることが出来ないけれど、それでもあの悩んだ白いウサギのチョコレートは私にお金という価値を教えてくれたものだった。そして食いしん坊な私はやっぱり食べ物に興味が1番あるんだなぁとしみじみと思うのであった。

皆の初めてのお買い物事情を聞くのも個性が出そうで面白そうだなぁ。お使いではなくお買い物という自分の意思が発揮されたのはいつ頃なのかも気になる。お年玉の発想は宝くじ当たったらどうする?にも近い気がする。私は全額使いきらずに半分貯金タイプです。笑   

ではまた!

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