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『搾取される若者たち・・バイク便ライダーは見た!』

みなさんこんにちは!
今日の「はたらく」の本棚は、

『搾取される若者たち・・バイク便ライダーは見た!』
阿部真大(あべまさひろ)・著 集英社新書(2006年)


です。

著者の阿部真大さんは現在、社会学の先生ですが、大学在学中の休学期間にバイク便ライダーに従事した際の体験をもとに、この本は書かれています。

阿部さんがバイク便ライダーの職場で遭遇したのは、歩合制で先行き不安定な契約で就労しつつも、「働きすぎ」で「やる気ありすぎ」の若者たち、「自己実現型ワーカホリック」の姿でした。(業種は異なりますが、私もその残党です。)

「魔法」のような動機づけにより熟練バイク便ライダーの仕事は、中毒性を帯び、事故死は美化され、事故に対する恐怖心はかき消されてしまいます。その魔法にかかっている限り、軽い躁状態の中で彼らの身体は消耗され続け、魔法が解けた時は職場から駆逐されます。

その「魔法」を阿部さんは本書でわかりやすく分析しています。
魔法は、経営者が企図したものでもなく、バイク便ライダーに責任が帰するものでもなく、「職場のトリック」とでもいうべき悲喜劇がもたらすものなのです。

阿部さんは、その「職場のトリック」の負のスパイラルから逃れる手段として、
1 強い個人をつくる教育(リスク管理を可能にする教育)
2 セーフティネットの充実(労働者の連帯)
を提言しています。

発表から15年余り経っていますが、このとき指摘された「やりがい搾取」のカラクリは今でもとても参考になります。
はたらく人が残念な離職に陥らない労働環境を整えるチカラに、私もなりたいと思います。

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