写真_2018-08-20_16_37_32

よもぎ図書だより2

<はじめに>
本来なら小説なども紹介していきたいところですが、たまたま次の紹介を何にしようかなと考えているときに、保護カバー作業をしていた書籍がこちらのコミックだったので、今回もコミック本の紹介です。

<注目本>
「群青学舎」 著者:入江亜季 ※全4巻
同タイトルでの刊行は4巻ですが、いずれも短編集となっています。
ところどころ、話が繋がっていたり、ちょっとした続編のものもあったりしますが、基本は独立したお話がたくさん入っています。
※画像は私が所有しているものを撮影したものになります。

<出会い>
元々、児童文学系の挿絵が出会いでした。当時は絵風が可愛いけどどこか可愛いだけとは違うような…と思っていました。後に、本屋さんでぶらぶらしているときに、見覚えのある絵柄…?と思い手に取ったのがこちらの作品です。1巻とあったのでてっきり物語の続き物と思っていたのですが短編集!、短編集がもともとそこまで好きではなかったので、なぁ~んだくらいに開いたら一気に引き込まれました。どれがと選べないほど、全4巻分のありったけの短編すべてがとっても面白いです。そしてその絵柄と物語の調和が織りなす雰囲気がたまらなく魅力的です…まだ多くの作品を輩出しているわけではないですが、新作今何描いているかな…?と定期的にチェックするほど私にとっては惹きつけられる作者です。
個人的には長編物より短編ものが魅力的な作者さんだと思っています。

<紹介>
既に触れたように、短編集が4巻分詰め込まれています。著者である入江亜季先生の世界観、魅力が最大限に引き出されている作品だと思います。
時に少年に、時に少女に、そして老人に、現実世界観であったりファンタジー世界であったり、日本であったり異国であったり、ありとあらゆるジャンルも視点も異なる短編集。出来たらこの作品の続きが読みたい!なんてものもあったり、このページ数でこの圧倒的伝導力!と唸ったり。とにかく、短編があまり好きでない人でも、短編ものって面白いんだ!と思える作品です。読後感はどこか、漫画を読んだというよりも児童文学を読んだに近いです。出来る事なら夏休み気分で夏に、暑い日照りを窓辺で感じつつ冷房の効いた部屋でゆったりと読み耽りたい作品です。

<小話>
最近本屋で大き目なポスターで宣伝されている「北北西に曇と往け」なら目にしたことがある方もいるかも…もともとこの著者がメインで連載していた漫画雑誌がわりとマイナー(と私は思っています)でFellows!、ハルタ等、知る人ぞ知るといったところでしょうか、とても画力、作風、コマ運びが軽やかで読みやすく引き込まれ易い世界観の作品が多いと思います。先に挙げた作品は1巻ほど読みましたが、私としては伏線で蠢くゾワゾワする感じがすこし今までの作品とは一線を画しているなと感じました。



前号←よもぎ図書だより→次号

賽銭箱