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【印刷屋が解説】米司法省によるAdobe提訴:その背景と影響

Adobeが提訴されている

ラベルマンの渡辺です。
我々には業務上必須のアプリがあります。
adobeのフォロショップとイラストレーターです。
印刷業をやっているとほぼ必須といって良いほどの重要なアプリです。
(印刷の現場レベルではいらない場合も多い)

この記事を読んでいる方にはadobeをご存知の方も多いと思います。
1980年代に創業して、現在は画像・映像・WEBアプリ群を有する世界規模のソフトウェアメーカーです。

弊社でもこのような製品を製造する際にアドビを使用しています。

工業用警告ラベルの製造メーカーです

そんなアドビが本国アメリカ合衆国カリフォルニア州で
2024年6月17日、米司法省に提訴されました。
この訴訟の主な焦点は、PhotoshopやIllustrator、PremiereなどのAdobeソフトウェアのサブスクリプション契約において、早期解約手数料を隠蔽し、消費者に不利な契約条件を強いているという点です。
米連邦取引委員会(FTC)も、この訴訟に関連してAdobeが消費者に重要な契約条件を十分に明示せず、解約を困難にすることで損害を与えていると指摘しています。

FTCとは?

FTCは、日本の公正取引委員会や消費者庁に相当するアメリカの機関で、消費者保護や競争の維持を目的とした監督機関です。今回の訴訟は、FTCの調査を基に進められており、Adobeがサブスクリプションサービスの契約条件を透明にせず、消費者に不利な契約を強いていたとしています。

Adobeの反論と法的対応

Adobe側は、この訴訟に対し、契約条件は透明であり、解約手続きも簡単であると主張し、法廷で反論する意向を示しています。
同社は、自社のサブスクリプションサービスが顧客にとっても利用しやすく、条件も明示されているとしています。

これは当然の反応だと思います。

問題の核心:解約手数料と消費者への影響

今回の問題の核心は、Adobeがサブスクリプション契約において早期解約手数料を隠し、解約手続きを複雑化させることで消費者に不利益を与えているという点です。これにより、消費者が解約を試みた際に予期しない手数料が発生し、実際に解約を行うことが困難になっているとされています。これに対し、米司法省はAdobeが意図的にこのような状況を作り出し、消費者を欺いていると主張しています。

日本国内の類似ケースとの比較

この問題は、かつて日本の携帯電話会社が実施していた「2年縛り」と非常に似たケースです。日本では、携帯電話契約時に2年間の契約を強制し、途中解約の場合には高額な解約手数料を課す仕組みが存在しました。
このような「縛り」契約は消費者にとって不利であるとして、後に改善が求められました。Adobeが現在直面している問題も、これと類似した構造を持つと言えます。

Adobeのサービス内容とそのメリット

Adobeのサブスクリプションサービスは、クリエイティブな仕事を行う多くのプロフェッショナルにとって必須のツールです。
例えば、全てのソフトウェアを利用できる「Adobe Creative Cloudコンプリートプラン」は、月々7780円(2024年8月現在)でPhotoshopやIllustratorなど多くのソフトが利用可能です。
特にデザイナーや映像クリエイターにとっては、最新のソフトウェアが常に使用でき、アップデートも自動で行われるため、非常に便利なサービスとなっています。

解約プロセスの現状と消費者への注意点

Adobeの契約における解約手続きについても触れておきます。Adobeのサービスを初めて利用する場合、7日間の無料トライアルが提供され、その期間中に解約すれば料金は発生しません。しかし、8日目からは自動的に契約が継続され、月々の利用料が課金されます。22日目以降に解約を試みると、早期解約手数料が発生する仕組みになっています。この点について、FTCは消費者に対して明確に説明するよう求めています。

米司法省とFTCの要求

今回の訴訟において、FTCはAdobeに対して以下の措置を求めています:

  1. 恒久的な差止命令:消費者を欺く行為を恒久的に停止すること。

  2. 金銭的損害賠償:被害を受けた消費者に対する金銭的補償。

  3. 民事罰の支払い:FTCに対する罰金の支払い。

これらの要求は、消費者保護を目的としており、今後の裁判の結果次第では、Adobeのサブスクリプション契約全体に影響を及ぼす可能性があります。

Adobeに対する訴訟は、同社の契約慣行に対する厳しい批判を反映しています。裁判の結果によっては、消費者保護の観点から、Adobeが提供するサービスの改善が求められるかもしれません。特に、解約手続きの簡素化や手数料に関する透明性の向上が期待されます。

結論と今後を考える


私たちのようにAdobeのソフトウェアを業務で使用する企業にとっては、この訴訟がどのような影響をもたらすか、注視しています。
特に月額資料料金などは業務で使っている以上無視できるものではありません。
裁判の結果によっては、今後のサービス内容や契約条件に大きな変化が生じる可能性があるため、Adobeユーザーは今後の動向に注意を払うべきでしょう。

我々のような業者では解約をする事もありませんし、そもそも解約時に違約金が発生することも今回はじめてしりました。
アメリカのyoutuberの動画も何本かみましたが、往々にして皆さん怒っていました。
ただ、我々業者目線ですと解約する事もありませんし、そもそもアドビCCを利用する段階ですでに勉強期間は終わっていることが多く、基礎的なことはある程度できていて、あとは実務レベルで導入することが多いと思っています。
料金設定も比較的良心的だと感じています。
もちろん個人のサブスクと考えると高いと感じると思います。
我々のような印刷業はもちろん映像関連・WEB制作などにも使用できる
業務用の面を持っているアプリです。
アドビCCを利用する際は今後の事も見据え、数年単位で契約するつもりで利用を検討した方がいいと思います。

YouTubeでも同じ内容をより詳しく喋っています。

ちなみに、このサムネイルはフォトショップ自動生成で
「裁判」とか「訴訟」とかの簡単プロンプトで生成した物です。
こんな画像もあっという間にできるので楽しいですよ。
WEB上でアドビFireFlyも同じように自動生成の画像が作れます。
凄い時代になったもんです。

サムネイルの裁判官の手の指が多いのは、、、気にしないでください。