モノ、空間交換はじめます④ 総括
はじめにモノ、空間交換をしてよかったと思う事をあげてみる。
1.メディアに取り上げてもらう機会が多かった。
「レンタルスペースがオープンしました」のみであれば、地方情報誌の
ニューオープンコーナーで取り上げてもらえるぐらいだったであろう。
モノ、空間交換の取り組みに対して趣旨を理解し、興味をもってくれて
いくつかのメディアで紹介してもらえる機会があった。
朝日新聞
中日新聞
富山経済新聞
プロがわかりやすく情報をまとめてくれた上に、不特定多数に
情報を発信してくれたことにより、余白社の認知度をスピードを
持って広めてもらうことができた。
2.振り幅を広げることができた
使用方法を限定しない、利用料を無料とするノーコントロール状態にすることで、スペースを作った時に想定しなかった利用者や利用方法が生まれた。
まさかJKがクリスマスパーティに使うなんて想像してもいなかった。
(帰り際に「ばえるぅー!」と言ってくれたのが印象的だった)
また雑貨屋だけ営んでいた時には出会わなかっただろう人々と
余白社という場所を通して、出会えるきっかけとなった。
3.多少なりとも人に感謝された
アフリカのとある国のハウスキーパーさんの
「いつか日本に来てみたい」という夢をかなえるために
その方が作った布小物を日本で販売して旅費を稼ぐという
高校生と中学生が主立ってやっているプロジェクトに
場所をタダで提供した。
今まで社会貢献やボランティアというものとは関わりを持ってこなかった
人生であり、急に行動を起こすのも気恥ずかしい気がしていた。
若い子たちが行動を起こし、善意のかたまりで成り立っているような
こころみに私はただ「場所を貸す」ということしかしていないが、
少しでも貢献することができた。
それ以外のイベントも開催されるたびに打ち合わせをしたり、
立ち会わせてもらったりと少しでも関わらせてもらっているのが
とても楽しかった。毎回小さい学園祭みたいな気分を大人になって
経験できるのは素晴らしい。シンプルに貸しスペース運営は楽しい。
ということを今回の試みを通して、教えてもらった。
良かったことに反して、反省点もあった。
モノ、空間交換の発案の理由は予算の都合上スペース内の
圧倒的に足りない備品を補うためにはじめたものだった。
部屋のインテリアを少しづつ増やしていく
育成ゲームのようなイメージで、家で余っている調理道具などを持ち寄ってもらい、余白社の余白をみなさんで埋めてくださいというコンセプトだった。
欲しいものを事前にリストアップするという事も考えたが、面白みに欠ける気がして、何をくれるかは利用者に全て任せるというルールにした結果、
ほとんど食べ物になった。
どれもおいしいモノばかりだったので、私含め家族は喜んだが、
(中には利用料を上回りそうな豪華なものまでいただいた)
当初のコンセプトとは異なる結果となった。
使い古しの調理道具なんて申し訳ないという気持ちが働いたのかもしれない。
そんな中で、サンドイッチ屋さんがこども哲学という取り組みで利用
してもらった時に、こども達が地べたに座れるようにとフロアマットを
提供してくれた。
「地べたに座れる」という一つの機能をこの空間に加えてくれた。
これは私がイメージしていたものの理想形だった。
余白社の余白を埋めてくれたのだ。
振り返ってみて
結果として「モノ、空間交換」はやってよかったと思っている。
売上はもちろんゼロだし、思い描いていた通りにはならなかったが、
レンタルスペースの運営に伴い、この空間をどのように育てていけばよいか
考えるきっかけを与えてくれた利用者のみなさんにお礼をいいたい。
(利用者の事を余白を埋める人=埋め人と名付けていたが、あまり浸透しなかったので、ボツとなった)
今回の取り組みで最も意味があったのは「振り幅を広げられた」
事だと思う。
小学生ぐらいの子供やJK、大人、いろんなお店の人々。モノを売る人
何かを広める人、それを楽しみに来る人。
様々な人に余白社の余白を埋めてもらった。
余白社を始めてから「オシャレさん達が集う洗練された場所」でもなく、
かといって「地元の人が集うコミュニティスペース」にしたいとも思わなかった。もちろん「ただ利益を上げるためのレンタルスペース」を運営している感覚もない。(運営するためには利益をあげなければいけないが)
ただまちなかの片隅で、自分が営んでいる店の上で
おもしろいことが生まれる瞬間を見逃したくない。
あわよくば首を突っ込みたい。というのが運営する上で
一番強い気持ちである。
おもしろい事が発生する機会を増やすためには「できる限りフラットな状態」が望ましい。そういった意味で「余白社」というネーミングは自分が求めていたものに近いことに気づいた。
1日だけこの空間でおもしろいことを仕掛ける人と
それに応えてくれる人々。その瞬間をできる限りよい形に
近づけるためのお手伝いが私の仕事である。
ということで、肩書きは「代表」から「管理人」に
改めることにした。
できるだけ色を持たず、様々な人のおもしろい取り組みを実現できる
まちなかの一機能として、これから動き出していこうと思う。
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