今月のCGWORLDが「Blender漫画回」だったので
CGRORLD259号を購入して第一特集をざっと読んでみた個人的な感想文(+脱線した話題)です。
CGWORLD vol.259、「Blender の B の字くらいは気になる」感じの方は購入して読んでおいた方が良いと思います。近い将来、Blenderが「基礎教養」になりますので(えっ?)
第一特集:「漫画制作に活かす3DCG」の記事
見たことのあるアイコンの方がずらり。あら、Blender回です?っていう印象を受けました。
Case 1: ガールズ&パンツァー 劇場版 Variante
確か雑賀屋鳶( @tomB_saikaya )さんが制作協力している、っていうのがきっかけでBlenderを使っているっていうのは知ってた気がします。なるほどFujiwara Tools使われているんですか、っていう感じですね。
Blenderは少なくとも2.79まではアセット管理が絶望的に出来ない部分があって、Add-onとか含めてワークフローを組まないとって言う部分が実はあります。2.8xでアセットマネージャーの実装が計画されている部分もあってここも将来的に変わってしまうところもあると思うんですが、漫画特有のBlenderからのデータの取り回しとかその辺の情報はなかなか無くって、そう言う意味では貴重かな、って思います。
Case 2: 京獣物語
ボクテンゴウ(@gon_take)さんの「京獣物語」の製作のお話し。ちなみにCGWORLD今号の表紙もボクテンゴウさんの手によるもの。
3DCGツールとしてメインはLightwave使われてて、一部Blender使われているようですね。なるほどそういうところで効果的に使われているんですね。
漫画に3DCGを活用する場合の基本的なワークフロー
kimakuri.com (Chromeで開いてね)のCTOの方、というので良いのかな(個人的には「右クリック漫画の人」の印象の方が強いけど)、「Blender自動化の鬼」っていう紹介で。BlendxJPでもそっち関係のテーマで登壇もされてましたし。
おそらくこの辺見て「Blenderに漫画を使おう」、って始められた方もいらっしゃるはず。本誌中に出てくるFujiwara Toolbox を作った人。
あとCGWORLDで講師もされてますね。Blenderのコースの。
漫画制作で使える3DCGの便利TIPS
Frestyleを使って漫画制作をされてるnoteにTipsも書かれていることでご存知の方もいると思います。Freestyleについて、「紙で出したときに馴染ませる」という、そのあたりは流石です。
特集の雑感
誌面の都合もありますが「事例集」としてまとまっているという感じで、もう少し踏み込んだ、Blenderの技術的な所をガッツリ、っていう所までは「もっとページ数がー」的な感じですね。まあコレは仕方ない。
また、2.79を使った記事だったり、2.8xの話題だったりするところは、まあ「個々のプロジェクトとしての時期」とかの事情とかあるので、これから2.8xに全面的になって行くでしょうからね、という感じ。この辺りは Blender Animation Studioのオープンプロジェクト、いわゆる「Animation 2020」が終わってからまた動きがあるかもですね、と推測しています。そのときにはまた特集組んで…ということに期待しておくことにしましょう。
ただ一つだけ誌面について言わせてほしいことがあって、「水色のドットに黒色の字は見にくい」ってところ。記事の内容自体には関係はない部分とはいうものの、ちょっとね、ってところはありました。
ここから脱線:
特にここ2〜3年、Blenderのアニメーションの躍進ぶりは凄くて…いくつか見てもらった方が早いかですね、貼り付けときますのでどうぞ。
日本でも
どんどんと「アニメーションプロジェクトとして使えるBlender」という存在感を増しています。
こういうニュースもありましたし。
さらに第3の刺客というか、Grease Pencil が「どえりゃー進化」を遂げてます。ここら辺ももうちょっとドキュメントなどが揃ってくる必要は有りますが、いろいろな可能性を見せてくれています。
ちょっとオカシイソフトですね、やっぱり。
さて、「Blender for Comics / Manga」 はというと
2015年あたりからBlender 2.7xで背景等作成されている方がいらっしゃる、っていうのはちらほら聞いてました。Freestyleを使って線画を出力して使う、または他の線画出力を使う、いずれについても手法として確立されているような感じでした。
熱心に追いかけている方はPaul O Caggegi さんが作られた Manga Shader がアップデートした、とかグリースペンシルとメッシュのコントロールが出来るようになるかもよ、という情報を仕入れていることでしょう。
上記の話題の期間少し時間が空いていて、その間に3つほど大きな話題がありました。「漫画」というか「NPR関連」ですけども。
Blender 2.80リリースの大幅な遅れ
まあこれは結果的に良かったかどうかは分からないですけど、当初のリリース予定を1年程度伸ばして2.80はリリースされているわけです。色々と積み残しがある状態、さてどうなるか。
BEERレンダラの実質的頓挫
Eeveeではなく、NPR用に全く新しいBEERレンダラの開発をする動きがありました。出資を募ってはいますが何かしらの仕切り直しなりが無いとちょっと厳しい部分があります。
Spider Verseによる「Stylized」の波
「Stlylized」っていう言葉がBlenderにおける「NPR」の勢力図を大幅に書き換えたという感じです。Eeveeによるドット模様のシェーダーと共に。それまでは Anime Style だったのが一時期軒並み「Stylized」に取って代わられたくらいの勢いありましたし、FBのBlenderNPRグループも名前変えるくらいですからw
その後「MANGA/ANIME Style」というのが話題として出ては来ますが、ゲームのシェーダー表現に近い部分で言っているだけになってしまって、「モノクロ線画出力」とかその辺はトーンダウンしたように見えます。
「作ってる人は相変わらず作ってるし、作ってない人も相変わらず」って状況。
2.8xのワークフロー
実のところ、2.79で組んだワークフローをそのまま2.80以降の環境にそのまま持っていくことが出来ないのが現状です。2.79またはそれ以前に開発されたAdd-onは基本的に「全面書き直し」になります(処理自体は流用できるかもだけど)。
他にレンダラの縛り、「Blender Internal前提」というのも移行出来ない理由の一つ、になったりしますね。Eeveeレンダラの実装で明らかに足りない出力パスや「eeveeではベイク出来ない」という問題を未だに持っています。これがBlender Internalから移行の障壁になっているという話。
また、2.83、2.84あたりでアセット管理やアニメーション関連の大きな変更が予定されていることもあって、「なかなか手を出しづらいタイミング」。特にに2.79からの移行組はオペレーションの習得+ワークフローの完全な見直し、大きいですね。
さて
ちょっと尻切れとんぼのような感じですが今回はここまで。機会があったらこの続き的なところを書いてみたいな、とZzz...
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