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「BlenderユーザーのためのPython入門」を読んでみた感想

結論から先に書くと「"Not for me"程度でなくBlenderユーザー向けとは思えなさそうな残念な出来」でした。Blenderを題材にしたPythonの本が出たっていうので購入してみたんですけれども。

どちらかというと「写経系」の本なのですが、色々ツッコミどころがありすぎて…。ひとまず列挙してみます。

スクリプティングする

これってTech系Youtuberさんの「プログラミングする」と同じ匂いがしますね。

このような文脈では「スクリプティング」は「スクリプトを書く/組む行為」として使われます。なので「スクリプティングする」は「スクリプトを書く/組む行為をする」ということになってしまいますね。「御御御付け」みたい。

本文中では「スクリプティングする」と「スクリプトを書く」の表記が混在していました。何基準なんだろう?編集さん基準?

「コード/スクリプトを書く/組む」のではなく何故そういう用法に?って不思議に思っちゃいますし、自分はこの表記は好きではありません。

また、「スクリプティング」と聞いて「台本を書く」と連想される方のほうが多いかもしれません。どうせ使うなら「プログラミング」のほうが良いかもしれません。同じインタプリタ言語で昔からあるBASICでもこの単語は使われてきたようですし。

参照することについて

書泉ブックタワーさんのところのようにBlenderで棚一段分占有(!)しているようなところは別として、多分この本は「3DCG」「グラフィック」というよりも「コンピューター書」「プログラム」の棚に並ぶケースが多いと思います。

プログラムを組む様な方達は書籍だけではなく、Webからも情報を積極的に摂取していると思います。その辺の方達に例えばこの書籍を読んだ後に参照するところ(URL)とか出てこないっていうのはその辺の方達を取り込めない気がして残念な感じですね。

また、URLも(重箱の隅をつつく様で申し訳ないですが)不正確。

blender.org のページは https://www.blender.org が正解。単に「https://blender.org」でもリダイレクトされるので問題はありませんけれども。

APIドキュメント参照するための URL https://docs.blender.org/api/current/index.html も不正確。これだと時間経過すると新しいリリースのAPIドキュメントを参照する様になってしまいます。2.92用だったら https://docs.blender.org/api/2.92/


ワークスペースの切替えとレイアウトについての説明が不十分

いくら「Blenderの操作が分かっている人を前提」と言ったって、ユーザーに普段開かない画面(=Scripting ワークスペース)を開いて操作させるのですし、あの分量の説明ではちょっと不親切かな、と感じました。

Blenderのウリである「画面レイアウトの自由さ」について説明がほとんど無いので「自分で便利なように画面のレイアウトを変更する」ことも出来ないですね。

モノクロページ+ Blender Dark Theme

スクリーンショットはカラーではなくモノクロで、ページ内できちんと画面を視認できない感じでした。これはちょっと辛いです。

テキストエディタ内のスクリプトで日本語を使用

表示自体は問題無いんですが、Blenderのテキストエディタって日本語入力確か出来ないはずです。外部のテキストエディタで編集しているのかな?

「どうやったら日本語入力できますか?」って質問来そうですね?

ソースコード+(ソースの下に)逐行コメント

誌面の都合もあるでしょうし、ある程度仕方のないものと理解しますが、こういう書き方は受け入れられないと思います。適切にコードにコメント入れる、その入れ方くらい説明があるものと思っていました。

いや無かったですね。これでは「Blender Python が出来るTA」目指せないですね。

API と ライセンス

Blenderのプログラム本体とそこにあるデータをPythonから操作するとき、APIという仕組みを使います。Blenderの場合は"Blender Python API"って言いますね。

そして、Blenderでは無いですが、API絡みのケースでこういうのも。

そしてPythonスクリプトからBlender Python API経由で色々とデータにアクセスするときにはどうなのか?このnote記事で少し触れていますので興味がありましたら。

この辺の記述も無いですね。アドオン作って公開してみたい、っていう方にとって場合によっては落とし穴になる部分でもあるので「知っておいたほうが良い事柄」なのに…。

Amazonでの評価は?

まだ付いてないです?

さてと、代替は…

流石にここまで来ると代替になりそうなものを探した方が良い気がしました。

プログラム未経験なかたでPythonの基本的なところを知りたい、っていう部分では「ゲームセンターあらし」のすがやみつるさん著の「こんにちはPython」とか良いかも?って思います。Blenderの部分まったく無いですけれども。

サポートページも合わせて載せときますね。

写経されたという記事も貼っておきますね。

まあPythonの入門書ってたくさんあるのでどれ選んでも良い(?)ですし、Web上にあるものでも良いんじゃないかと思います。

本家のとか。

Dive into pythonとか。

ライブコーディングみたいな感じで進んでいくヤツ。

CSVからグラフを作る


あとは(英語だけど)コミュニティの力を借りる...。コードレビュースレッド的なのもたまに存在しています。

まとめ(?)

この本は「Pythonを使ってBlenderを色々ゴニョゴニョする為の本」でなさそうなのはなんとなく理解しました。





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