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映画「裸足になって」

予告編を見て良い話っぽかったので、前売買って鑑賞。
フランス語喋ってるからフランスが舞台なのかと思ったら、アルジェリアだった。

主人公は若い駆け出しのバレエダンサー、フーリア。
お金を貯めるためアルバイトの他、夜は賭博もやっている。
ある夜、賭博のトラブルから暴漢に襲われ、フーリアは足を骨折。
心的外傷から声も出なくなってしまう。
ダンスもできず、話すこともできず、
自分はもう死んだも同然と、絶望と悲しみに暮れるフーリアだったが、
リハビリ施設で、ろう者や自閉症の女性たちと出会い、彼女たちと交流を深めていくうち、
フーリアの心は次第に立ち直り、前を向いて歩き始める。

予告編がこちら▼

良い話かと思いきや、かなり辛い話でした。
不勉強ゆえ知らなかったのですが、アルジェリアという国の現状はかなり酷いのですね。
フランスの植民地時代を経て1962年に独立。
しかし、その後も内戦やテロが断続的に続き、今も情勢は不安定。治安も悪い。
この作品でも、テロの被害者や元テロリストが登場する。
過去に捕まったテロリストが恩赦で普通に街で暮らしてたりして、
それは映画の中だけの話じゃなく、現実の話。
終息しないテロを沈静化するため、大統領がかつて本当に行った措置。
夜、真っ暗な浜辺で小さなボートに乗り込み、亡命をはかろうとするシーンもあり、
それも普通にこの国の現実の1ページなのだろう。
ラストシーンでは、フーリアと仲間たちが力強くダンスを踊る。
暴力、犯罪、女性差別、
どんなに傷ついても、私たちは強く生きていくわ!という意志が、彼女たちの目に宿る。
しかし問題が解決されることなく、辛く悲しい状況のまま幕を閉じるところが、
フランス映画とはいえ、心のやり場に困り、虚しくエンドロールを眺めるしかなかった。

#映画感想文 #裸足になって #アルジェリア

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