【読書覚書】谷崎マンガ 変態アンソロジー

夜、うまく寝られないときに備え、朗読を聞きながら布団に入ることが多い。
先日、夜中にふと起きたときに流れていたのが、女性の朗読で谷崎潤一郎の『台所太平記』であった。
うつらうつらしつつ聞いていたのだが、谷崎潤一郎にしては人畜無害な話とだな、と気になったのですぐに図書館で借りた。(現在、少しづつ読んでいる)

『台所太平記』には味わい深いイラストが入っている。
調べたら、谷崎マンガ(今回覚書書いたもの)から引用された、山口晃さんのもの。
この山口さんのマンガを読みたくて、再び図書館へ。
山口さんのイラストで埋め尽くされたカバーと左下、変態アンソロジー。
彼の人生をたどっても、首をかしげるようなことも多いように思うけれど『大谷崎』と称えられるような作家。
自分の人生を生ききったようにも思う。

私自身、だいぶ以前に図書館で全集を借りて読んだが、ほとんど記憶に残ってない。細雪の最後がとても強烈だったくらい。

今回読んだ、谷崎マンガは個人的には『台所太平記』しか興味がなく、ほかはまず画風が好みでなかったり、規定の紙面に収めるため、おそらく各作家さんが印象にのこった場面を描いているように思えた。

なにより、今は日常生活ではまったく使わないような単語を辞書を引きながら読み、ぼんやり想像しながらゆっくり読みたい部類の作家だと思う。

なお奥付によると、本書は
2016年『谷崎万華鏡 谷崎潤一郎マンガアンソロジー』より改題
されたよう。改題前のほうが雰囲気があって良かったと思うけど
強烈なタイトルにしたほうが若い世代にも訴求できると思ったのかな?
なんだかもったいないと思ったけど、書籍が売れない今は商売優先
なのだろう。残念。

性の好みや時代性もあるので万人に受け入れがたい作家だと思うけど
日本語の美しさは一読に値すると思う。
『台所太平記』は谷崎潤一郎の後半生に、雑誌連載されたもので
今でも読みやすいし、お手伝いさんと雇い主の間の家族同様のあたたかさ
が感じられるところが私には読んでいて心地よい。
あまりむずかしく考えないで読むことができるので気分転換におすすめ。


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