古に思いを馳せる

先日、東京・原宿にある太田記念美術館に行ってきました
今回は月岡芳年「月と妖艶」ということで、
いわゆる残酷絵と呼ばれるものにフィーチャーした回でした。

浮世絵だけでなく、美術館はほんとに久しぶり。
原宿も半年以上前に来て以来でした。

人の往来はそこそこ戻ってきていたけど、美術館自体はこじんまりとしたところですし、そこまで人は多くなく、ゆったりとできました。

月岡芳年の作品は、特に明治以降はとてもスタイリッシュで素敵。どちらかと言えば人物絵が多いのですが、広重や国芳のようないわゆる浮世絵と言われれば想像するような絵よりも顔が小さくスタイルが良く、なにより躍動的。だからこそ、残酷絵もその凄惨さが如実に伝わり、展示冒頭には「心臓の弱い方はご注意ください」のような注意書きがあったほどでした。


しかし、当時はこれが新聞に載っていたんですから、驚きです。
近世末期は「エログロナンセンス」な世俗的なものが流行りましたから(敵討ち物とか割と首が刎ねられて転がっている挿絵があったりします)、その流れのひとつでしょう。当時の方が、今よりグロ耐性は高かったと思います。


しかし明治以降、一気に西洋文化受入に傾く中で、江戸末期の書物はその価値を認められなくなっていきました。それらが扱っていたテーマの行先が新聞になったのだとすると、今の新聞や週刊誌とも通ずるものがあるのかもしれません。江戸末期の書物が明治以降どのように扱われ、その価値を決められていったのか、これは私の研究テーマでもありましたから、これからも気にしていたいところです。

さて、肝心の展覧会は赴いた時間が遅かったため、閉館になりそそくさと退散しました。もう少し時間を取って見たかったなぁと思いつつ、またの機会を楽しみにします。


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