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TRPGシナリオ「花冷えに亡く季節」をプレイしたら辛すぎてあまりのしんどさに実生活に支障をきたした話

言いたいことはタイトルの通りです。
先日、TRPG仲間と「花冷えに亡く季節」をプレイしまして、それがとんでもなく深くブッ刺さってしまい、翌日の仕事に支障をきたすほど心をエグられてしまったので、記憶の新しいうちにどんな感情、どんな経緯でどんな結末に至ったか、文章として書き残しておきます。

※当然ネタバレ前提での内容となりますので、基本的にはプレイ済みの方以外は見ないことを強く強くお勧めします。











導入

まずは公開情報から。
下記リンクでシナリオは販売しています。

--概要---------

人数:2人 指定:探索者は14~17歳の少年少女  同い年/新規限定
時間:ボイセ8h〜12h(※RP多めだと20時間超有)
   半テキセ18〜25h
   完テキ30h
傾向:小説のような物語/RP重視/HO制(秘匿有)
推奨技能:探索技能
ロスト率:高
※人を選ぶ内容が含まれます
桜の蕾が色づく春。 君は病の療養の為、サナトリウム《アヴリル》に預けられることになる。そこに集うのは、奇病を秘めた少年少女たちであった。 HO1 『 記 』症状:想い出と呼称される記憶を蝕まれている
HO2 『 花 』症状:心臓に根をはり血管から花を咲かせている
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はい、もう辛いですね。
奇病を秘めた少年少女が集うサナトリウム、そういうことですね。分かります。
おまけにロスト率高ですって。怖いですね。

と、いうことで、私はHO1(ハンドアウト:それぞれのプレイヤーに事前に渡される事前情報のようなやつ)のルゥくん(15)をプレイさせて頂きました。
相方はHO2のヴィオラちゃん(15)です
渡されたHO1の設定としては、「記憶喪失だが、記憶がないからこそ前向きで明るい子供。治療を受けられる18歳まではサナトリウムで過ごすことになる。」みたいな感じです。

基本的にRP重視ということで、今回はかなりキャラのHOに沿って感情移入をしてロールプレイをさせて頂きました。

ちなみに記憶喪失って感情移入するにはうってつけの設定なんですよね。
プレイヤーとキャラクターのスタート地点が全く同じなので。

1日目(月曜日)

目を覚ますと診療室、医者らしき人から記憶喪失でここに運ばれてきたと言われる。
なんか3つ質問をされたので、ゼロベースかつ正直ベースで答えてみた。

Q1: この飾られた花はいずれ枯れてしまう。 こんなところで一人きりだけど可哀想だと思う?
A1: 一人きりはかわいそうですね。

Q2: 君はこの花を大事にしたいと思っている。どんな風に大事にする? 枯れるまで世話をする? ずっと枯れないようにする?
A2: 枯れないようにするのは変なので、枯れるまで世話をします。

Q3: 最後に、君は記憶喪失だけれどこれから過ごす毎日が楽しみ?それとも無くしてしまった記憶を取り戻したい?
A3: 今の自分は空っぽだし、18歳になるまで何もできないから今を楽しみたい。だからこれからが楽しみ。

あとで同じ質問をされるそうです。怖いですね。

それから相方プレイヤーさんのHO2: ヴィオラちゃんが到着。
相部屋で過ごすそうで、「マジで?」ってお互い言ってましたね。
KPさんも「不思議ですねぇ」と。それはそう。

その日はお互い別行動で施設を探索し、他の子どもたちを探して挨拶する流れに。
この施設には子供たちが他に5人暮らしているらしいです。
・マリちゃんとリィくん
・ニコくんとケイトちゃん
・ペネロペちゃん(二人で一人みたいな感じだそうです)
マリ・リィとニコ・ケイトはそれぞれルームメイト。
君らも男女相部屋なんかい。

確か二日目にマリから日記を貰うんですが、月曜日分も書いてたのでこの日の日記がこちら。

元気で無邪気でいいですねぇ(達観した目)

※この時、この日記が後ほどいろいろとエグられるとは知る由もなかった・・・。

2日目(火曜日)

朝起きたらポケットに花(秘匿情報)、特段隠すRPはしないなということで、ヴィオラにも報告してポケットに仕舞い直して朝食。
ちなみに大体毎朝KPから秘匿情報を貰うのですが、多くがヴィオラに対して好意を抱いているという内容。
なので、素直にそれに沿ってロールプレイ。

マリが明日18歳の誕生日で、治療を受けることになるとのこと。
みんなお祝いムードだったので、仲間が去るのは寂しいというより祝福する文化なんだろうなーと楽観的に思いながらみんなでケーキ作り。
平和ですねぇ。
この日の日記がこちら。

元気で無邪気でいいですねぇ(達観した目(2日連続2回目))

その日の晩、何やら外で4つの光が見えているのを目撃・・・意味深ですねぇ。

3日目(水曜日)

ここからいよいよ本格的に始まってきます。
朝、マリが溺死体のような姿で発見されました。
でもなぜかマリのルームメイトのリィ以外の子どもたちは落ち着いた様子。
え?人が死んでんねんで?

それで出された夕食のメニューが「溺れた魚のなんちゃらかんちゃら」みたいな名前だったので、ルゥくんガチギレRPするかちょっと迷いました。
心の底では「ふざけるなよ・・・」という思いだったのですが、周りの子どもたちは少し寂しそうにご飯を食べてたのでガチギレはやめておきました。
せめてもの抵抗としてメインディッシュは取らずに他の物を食べました。

キーパー:じゃあここで休憩にしますね。ざすてぃーさんは今日の日記書いておいてください。←血も涙もないんか???

この日の日記です。

このへんで誰を信じていいか分からなくなってきます。

4日目(木曜日)

ヴィオラは体調が悪いそうで、ルゥくんも自室で大人しく過ごすことに。
気になっていた本棚の日記帳を読んで過ごし、いろいろと情報を得る。

・日記が何冊か本棚にある
・記憶喪失の子どもの日記
・どれも約7日間分しかない
・女の子からもらった日記帳

あっ・・・これってもしかしてさぁ、ループしてる・・・ってコト・・・!?

さらに読み進めるとついに見つけてしまう、やべー日記。

・マリとはずっと前から知り合いであり、記憶を保持する呪文のようなものを見つけた。
・次の日、記憶が保持されており、周りのみんなは喜んでくれた。
・一方、ルームメイトの様子がおかしくなりだす。物忘れが激しくなったり、道具がうまく使えない、歩こうとして固まってしまう。(二週間後の日記)
・ついにはルームメイトは話すこともできなくなり、生きているのか死んでいるのか分からないような様相になってしまう。
・人からあらゆる記憶を奪うような呪文が恐ろしくなり、マリに預ける。

ここで初日の医者らしき人物からの質問を思い出して背筋が凍りました。

>君はこの花を大事にしたいと思っている。どんな風に大事にする?
>枯れるまで世話をする? ずっと枯れないようにする?

ルゥと私の脳裏には「植物状態」「ドライフラワー」という単語が想起されることでしょう。
ア!!!!!!!!!!!!!!!しんど!!!!!!!!!!!!!!!

プレイヤーの心境としてはここほんとにしんどかったです。
好意を持った人を自らの意思で手にかけて植物状態にさせる未来が見えて・・・。

それから昼頃に落雷による突然の停電とペネロペの悲鳴、ルゥは他の子どもたちの助言のとおり、ヴィオラの手を引いてペネロペの安否を確認に行きます。
なんやかんやみんなバタバタしている途中で場面が急遽切り替わり、過去のトラウマ?のような迫害されて棺桶に閉じ込められ釘で封をされる場面へ。
脱出後、どうやらペネロペの病気によるものらしく、それでペネロペも大人たちから迫害されていたということ。
恐ろしいことがいろいろと起こったので、子供たちはみんなでお泊り会。

キーパー:じゃあここで休憩にしますね。ざすてぃーさんは今日の日記書いておいてください。←血も涙もないんか???(2日連続2回目)

しんどい・・・この辺でこのサナトリウムの子どもたちは人を傷付けるような奇病のため、ここに隔離されていることを確信し、自分の病気が人を傷付けるのが怖いしいやだという心境となります。

5日目(金曜日)

秘密の部屋を開け、いよいよ真相に迫ってしまいます。

・子供たちの記録
・恐ろしい大人たち
・永遠になる為に
・ルゥへマリからの手紙

このクソデカ情報を受けて、記憶喪失5日目のルゥくんは「自分の幸せ」について考えを改めます。

キーパー:じゃあ日記休憩です。←日記休憩とは???????血も涙もないんか???????(3日連続3回目)

日記書く前に本音がこぼれてて草

このとき思っていたことは下記の通りです。

・自分本位で幸せになるためには他人の記憶を奪わなけらばならない
・他人の記憶を消す恐ろしい病気で、子供たちの辛い記憶を忘却することができたら利害が一致してみんなハッピー。
・ここがこのシナリオの落としどころなんじゃね?

6日目(土曜日)

いよいよタイムリミットが近付いてきました。
屋敷を探索すると、睡蓮の池にボートを見つけ、ヴィオラちゃんと二人で乗ってたら見知らぬ家へ辿り着きます。
手入れはされていないようで、おそらくほとんど誰も知らない家。
微かな記憶を呼び戻すオルゴールの音色。
ルゥとヴィオラはお互いに「自分の病気の真相」と「自分にとっての幸せの形」を語り合います。

ルゥは打ち明ける、自分が記憶を保持する方法があること、そしてそのためにはヴィオラの記憶を奪うことになること。
ヴィオラは打ち明ける、自分の病気は他人の生命を奪わないと自身の命を保持できないこと。そして過去の忌々しい記憶が忘れられたらと願うことを。

つまりは、お互いが「自分が生き延びるためには相手を犠牲にしなければならない」ということ。

あーーーーーーーーーーーーーーーーーしんどい!!!!!!!!!!
自分の幸せのためには好意を持ってしまった相手を殺す必要がある・・・いやーきついでしょ・・・

ルゥは何とかしてお互いが幸せになれる、トレードオンとなることを望み、自らの意思と伝えられる範囲での秘匿情報をヴィオラに伝えます。

・君との思い出は絶対に忘れたくない。せめて今まで叶わなかった「8日目」を記憶を維持して迎えたい。
・記憶を奪う行為は途中で止めることもできる。せめて1週間分だけでも君の記憶を貰うことはできないか。
・記憶を奪うことによって、ヴィオラの忌々しい記憶を忘れさせてあげることが自分にはできるということ。

そしておそらくこの物語の結末に至る致命的な「すれ違い」がここで起きてしまいます。
ヴィオラからも自分の病気のこと、ここまでの想いでのことを教えてもらいます。

・私の病気は、他人の生命を奪わないと自分の生命を維持できないこと。
・私がここまで生きてきたのは、どうしても忘れたくない思い出があるから。
・もう自分の命のタイムリミットが迫っており、いよいよ人間の生命を奪わないと生きていけない状況であること。

ウワーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!やっちまった!!!!!!!!!!!!!!

「他人の記憶を奪い、自分の記憶を維持する」という行動でお互い幸せになれると思って打ち明けた自分の病気の真実が、実はヴィオラの「生きてきた原動力」を奪うということになること、つまりはルゥがヴィオラにとっての危険因子であることを白状してしまいました。
そしてヴィオラは他人の生命を奪うことができるということ、奪わないと自分が生きていけないという真実・・・。

キーパー:じゃあ日記休憩です。←あっはい書きます書かせて頂きます皆さん休憩しててくださいその間に日記書きますはい(達観した目)

もはやこれ以上言うまい

7日目(日曜日)

ついに最終日です。
最期の朝食をヴィオラと二人きりでとったあとで、診察室へ呼ばれます。
そして、自分が7日間で記憶がリセットされてしまう病気であることを聞かされます。
ルゥは大人を信用していないので、「子供たちが作った秘密の部屋」ですでに知っていましたが、あたかも初めて聞いたような反応をします。
これも、子どもたちを大人たとから守るために。
自分なりの、大人たちに対してのささやかな抵抗のために。

初日に言われた通り、あの時と同じ質問をされます。

Q1: この飾られた花は枯れてしまった。 可哀想だと思う?
A1: 可哀そうですね。

Q2: 君はこの花を大事にしたいと思っている。どんな風に大事にする? 枯れるまで世話をする? どうにかして枯れないようにしたいか?
A2: 枯れないようにしたいです。

Q3: 最後に、君は明日からの新しい記憶が楽しみか。それとも今日までの7日間を失いたくないか。
A3: この7日間は自分にとってのすべてだから、絶対に失いたくない。

この7日間を経て、ルゥくんは「自分にとっての幸せの形」を考え、「自分が幸せなら相手を犠牲にしてもいい」と「相手が幸せなら自分を犠牲にしてもいい」のアンビバレンスに振り回された結果、「自分の幸せ」を優先したいという思いを打ち明けました。

そして診察中に作ったであろう、ペネロペとヴィオラからの花冠を受け取り、ルゥとヴィオラは二人で温室で己の覚悟を語り合います。

最期の選択肢です。あなたは何をしますか?やり残したことはありませんか?自分にとって公開のない選択をしてください。

ルゥは決意します。
ヴィオラの記憶を奪い、自分の記憶を維持することを。

ヴィオラは徐々に記憶を失い、やがて人としての死を迎えるでしょう。
そうしたらあの睡蓮の池の家にヴィオラを連れて行き、自身の病気についての記憶を忘れたヴィオラを騙し、その病気の力でルゥの生命を奪ってもらいます。
二人、誰も知らない睡蓮の池の家で、オルゴールの音色を聴きながら「永遠となる」ことを選びます。

ルゥ「これから君の記憶を少しだけもらうね」
ヴィオラ「分かった。せめて手を握ってもいいかな?」
ルゥ「いいよ。握ってごらん」

ルゥは確信します。
ヴィオラは大事な記憶を奪うルゥを殺さなけらばならないことを。
ルゥは決意します。
ヴィオラに手を差し出し、最後の決断をヴィオラに委ねることを。
ルゥは覚悟します。
ヴィオラの幸せの為なら自分が犠牲になってもいい事を。

そして、意識が遠のいていくまま、ヴィオラの泣き顔を最期に見て、ルゥは永遠となりました。

この後、席を予約していた一人焼肉に行きました。
何も考えることができませんでした。
お肉は美味しかったです。
翌朝、仕事に行きたくな過ぎて遅刻ギリギリで会社につき、仕事も手につかないので定時に帰りました。

おわり

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