日記

「しんどくなるようだったら大学を辞めても良い」、と母が言った。精神科入院以降、母は私の診察に付き添っていて、社交不安障害であるとの認識はしているようだ。その背景もあって、もしゼミに戻るのが苦痛なら無理をしなくても良い、と申し出てくれたのだった。

私は最近、というかもう12月からずっと卒論に着手できていない。論理的な文章が書けないばかりか読むこともできない。読書が趣味だったが、言葉が目を滑って流れていくので小説の表紙は埃を被っている。音楽も歌も好きだったもの何もかもが色褪せて見えて、心が動くこともなく、無感動に毎日を生きている。何かをするということが難しく、日中のほとんどを眠って過ごしている。

現在は休学中で、どう過ごしても問題は無いのだが、復学には手続きが必要であるため、夏までには復学/休学/退学のうちどの選択肢をとるか決めなければいけない。正直秋までに現在の状態が改善するとは思えず、いつになれば、という見通しも立っていない。そもそも医師から休むべき病気と告げられたわけではなく入院中も卒論を書くことを提案されたぐらいで、いまの休学も自分で勝手に決めたことではあったから、「治る」「治らない」という治療の枠組みに私は居ないのである。

中途半端に復学すると学費が発生するため家計を圧迫してしまう。休学を続けるとなると回復できる保証も目処も無いまま時間だけが経過していく。退学しても就職先は未定で、働ける自信も気力もない。どの道にも希望がない。夏までに進路を決定しなければならない、という期限が、はやく死ななければいけないという焦りを生じた。生きていても私に未来は無いからだ。恋人と一緒に生きるにもお金が必要で、そのお金を稼ぐために働くこともできない。家族に強いた入院・手術費用の返済もできない。卒論すらまともに書けないのにこの先やっていけるわけがない。いまのうちに暗い未来がこないうちに死ななければいけないと思った。

ロープを結ぶ気力もなくて自殺企図すらできなかった。何もかも無駄なことのように思えた、はやく死にたいと思った。死を仄めかす度ひとを苦しめていることも傷つけていることも耐えられなかった。今以上に醜くなる前に助けて欲しかった。

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