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【↓ろウTea】七草にちか 感想【シャニマス】


はじめに


 こんにちは。こちらは先日実装されたpSSR【↓ろウTea】七草にちかの感想記事となります。本記事はコミュの内容を振り返りつつ書いていくので多大なネタバレを含みます。予めご了承ください。
 また本コミュは昨年末に実装された七草にちかG.R.A.D編との繋がりもありますので、そちらも簡単に振り返っていきます。そしてGRADに繋がる話としてWINGがあり、少し前置きが長くなりますがWING編まで一旦話を遡ります。

七草にちかW.I.N.G.編


 詳しくは振り返りませんが、WING編では敬愛する八雲なみの靴を履いて(=なみのパフォーマンスをコピーして)ステージに立つにちかが描かれました。彼女は自分のことを通常であれば誰も見向きしない人ごみの一角だと言い、そんな自分がWINGを勝ち上がるためにはなみの靴が必要だと考えていました。シャニPはそれが正しいことなのか葛藤がありつつもそれを見守ることを決めます。にちかは実際にWINGで優勝するのですが、それはとても苦しい戦いでした。
 実は八雲なみ自身もまた合わない靴に苦しんだアイドルでした。事務所で見つけたレコードや自身のWINGの体験からその苦しみを理解したにちかは、幸せではなかったアイドルなみを想って涙を流します。

W.I.N.G.編プロデュースコミュ「そうだよ」より


 そんなにちかを見て、シャニPはにちかを幸せにすることを誓います。にちかは自分の靴で歩み始めないといけない、その仕事を自分にさせて欲しいと決心する訳です。

七草にちかG.R.A.D.編


 WINGからいくらかの時を経て、にちかはシーズとしてのパフォーマンスやバラエティ番組出演など実績を積み重ねてきました。しかしそんな彼女に試練が訪れます。斑鳩ルカとの対立です。これまで仕事としては上がり調子だったと思われるにちかですが、忘れ去られる恐怖、居場所を奪われる恐怖に襲われたにちかは自分を見失ってしまいます。彼女は再びなみの靴に頼り、練習に打ち込み自分を傷つけることで恐怖から逃れようとしますが、今度はシャニPがそれを止めます。

G.R.A.D.編プロデュースコミュ「いたい、いきてる」より


 にちかにはにちかが築いてきたものがあり、それが消えてなくなるようなことはありません。裸足でGRAD決勝の舞台に立ったにちかは自分を取り戻すことができたのではないでしょうか。更にシャニPはにちかが足を傷めないようにと彼女ための靴を渡します。

G.R.A.D.編プロデュースコミュ「そうな の」より


 なみの靴は八雲なみ自身もにちかも幸せにすることはできませんでしたが、シャニPが選んだにちかの靴はきっとにちかを幸せに導いてくれるはずです。GRADで自分の靴に履き替えたにちか、その後の新しいお話として今回の本題である【↓ろウTea】を見ていきましょう。

第1話「誰目線ですか」


 街中で信号待ちをしているにちかは、女性のヒールが折れてしまう場面に遭遇します。いきなり「慣れない靴でヒールを折ってしまう」女性が登場して、本コミュがGRADの続きの話であるということを感じさせます。にちか自身そんな女性の姿に思うところもあったのか、女性と二人三脚をして靴屋まで同行してあげます。


 そこにシャニPが偶然出くわします。シャニPはにちかの行いを立派だと褒めます。誰目線ですかと悪態をつきつつも照れているにちかが可愛らしいですね。この話からは、にちかの優しさはもちろん、(合わない靴で失敗した女性を助けられる)彼女が自分の靴で歩み始めていることを感じられます。

第2話「終わらないやつ」


 出先で取引相手との商談が終わり、そのまま内容をまとめる仕事に取り掛かるシャニP。にちかはそれに付き合わされます。待たされているにちかがフロートを頼んだり、わざとらしくあくびをしてみたり、可愛い反応がここでも見られます。この話は平穏な一幕といった趣ですが、待たされるにちかと平謝りするシャニPという構図は後のコミュでも出てきます。

第3話「好きですね」


 タイトルの「↓ろウTea」の仕事をする話です。余談になりますが、ロウティーはアフタヌーンティーの別名でもあり、背の低いローテーブルにティーカップやケーキスタンドを並べてお茶やお菓子を嗜む上流階級のティータイムのことです。対になる言葉にハイティーがあり、こちらは仕事終わりに背の高いダイニングテーブルを囲む労働階級のティータイムです。私はこのコミュを読むまで知りませんでしたが、上流階級がロウティーで労働階級がハイティーというのは中々混乱しますね。
 にちかはその境遇や家の話が多いことから、むしろ労働階級の家族団らんであるハイティーのイメージがあります。彼女自身もロウティーのコンセプトにみんな好きだなーとちょっと冷めた反応をしていますが、可愛いメイドの衣装を着て可愛い小物に囲まれる彼女を見るに満更でもないようです。


 にちかはシャニPに、シャニPはにちかに声をかけたいようですがバタバタする現場の中で声をかけられずにいます。そんな中でもにちかは覚悟決めて撮影に臨みます。シャニPはにちかに内心エールを送り見守る構図です。そして撮影が終わり、シャニPはにちかを可愛いと真っ直ぐに褒めます。ここでも照れるにちかが可愛いですね。


 同時ににちかの姿を見て、シャニPの中で第1話や第2話の光景がフラッシュバックします。人助けをする優しいにちか、わざとらしいあくびをして悪戯っぽく笑うにちか、その姿がアイドルのにちかに重なります。これはにちかが自分らしく、「自分の靴で仕事をしている」ということを象徴しているのだと思われます。
 かつてWINGでは、目の前の少女はパフォーマンスを始めた途端に誰かのくすんだコピーになってしまいました。

W.I.N.G.編プロデュースコミュ「grab your chance!」より

 今は目の前のにちかとアイドルにちかのギャップが埋まってきているのだと思われます。WING以降、シャニPはにちかとより向き合うようになって彼女の魅力をたくさん知りました。にちかはにちかの持っているものでみんなを魅了できます。にちかが自分らしく輝いて欲しい、苦しむのではなく楽しんで欲しいというのがシャニPの願いなのでしょう。

第4話「やば」


 事務所の倉庫の掃除をにちかが手伝ってくれています。シャニPもにちかの家のゴミ出しなどを手伝っているので、にちかなりに借りを返している面もあるのかも知れません。脚立を使って高い場所を拭くにちか。シャニPはその姿が心配で色々と声をかけますがにちかに煙たがられます。しかしシャニPの心配通り、不安定な体勢で作業していた彼女はバランスを崩し脚立から落ちてしまいます。幸いケガなどはなかったようですが、にちかは素直に謝ります。


 しかしシャニPはにちかに対して、干渉したり大声を出したりした自分が悪いと謝ってしまいます。シャニPのにちかを想う気持ちは本物ですが、にちかを守る存在として保護的、支持的すぎる面があるのも事実かと思います。この話も含め本コミュでは度々にちかに謝るシャニPが描かれ、その姿勢が印象付けられます。

TrueEnd「痛くしてるので」



 仕事が立て込んでいたのか不測の事態があったのか、スケジュールに追われてにちかを待たせてしまうシャニP。鞄のファスナーから荷物は飛び出し、スラックスは靴下を巻き込み、ネクタイは曲がり、その姿はボロボロです。(にちかが靴下に言及するのが【泣けよ洗濯機】を少し思い出させますね。)珍しく心身ともに疲弊しているシャニPの姿が描かれます。


 シャニPは急いで身なりを整えますが、彼は「にちかも笑おうとしているのに」という自責の念に襲われます。笑顔で仕事をする、自分らしく仕事をする、と言葉にするのは簡単ですが実際には並大抵のことではありません。特ににちかは自分のことを雑踏だと言ったり自分に自信がなかったからこそなみの靴に合わせていた面もあります。そんな自分を曝け出して仕事するのはきっと怖いことでもあります。WINGでもありましたが笑顔になることはまさしく「戦い」なのでしょう。


 シャニPはにちかを保護的に見守る反面、あまり彼女の力になれていない、彼女の頑張りに応えられていないという無力感があるのかもしれません。第2話でも本話でも「にちかを待たせているシャニP」が描かれ、彼の心理を象徴しているように思われます。そうして一人落ち込むシャニPに、にちかが近づきます。


 映像はないので憶測ですがにちかはシャニPの背中を強く叩いたのでしょう。シャキッとするように伝えて先に事務所から出ます。シャニPの一方通行な想いや空回り感に対して、最後ににちかが歩み寄るというのはにちかのコミュのお約束的な流れでもありますが、今回のにちかの行動はより示唆的に感じられました。
 当然ですが、落ち込むシャニPを不器用なにちかなりに励ましたかったというのはまずあると思います。にちかが自分らしくあるために戦っているのなら、シャニPも自分らしく戦わなければなりません。弱気になるシャニPに喝を入れるための「シャキッと」なのでしょう。
 また、シャニPとにちかの関係性に対するメッセージも含まれているように思います。本コミュでは撮影に臨むにちかを遠くから見守るなど、シャニPは一歩引いた保護的な立ち位置が強調されていました。にちかを大切に思うあまり、彼女が失敗した時も自分を責めて謝ってしまうというのも保護的なスタンスを象徴しているように思われます。
 しかしこれもコミュで描かれたように、本当は撮影の前に二人はお互いに言葉を交わしたかったはずです。にちかは遠くから守られるだけでない、もっと近い立場を望んでいるのかも知れません。見守るのではなく一緒に歩く。相手が悪い時はちゃんと叱る。そんな関係性の例示として、ミスを重ねたシャニPの背中を強く叩き「痛くした」のではないでしょうか。


 シャニPもまた、にちかの歩み寄りを喜びつつ背中を叩かれたことに対し「この痛みに応えなきゃな」と気合を入れ直します。外で待たせているにちかを彼が追いかける形でコミュは終わります。

おわりに


 過去数回のプロデュースコミュが「家の話」であったのに対して、今回はWINGやGRADを踏まえて「にちかの仕事(にちかの靴)の話」が描かれました。にちかを幸せにするというならどちらの話も不可欠だと思うので、今回アイドル活動に対するにちかとシャニPの姿勢が描かれたのはとても良かったと思います。
 にちかはにちかの靴に履き替えて、幸せになるために頑張っています。シャニPも彼女を幸せにするための仕事をしなければなりません。そのためにはきっと後ろから見守るだけではなく、一緒に歩み、時には導くことも必要なのでしょう。にちかを月まで連れていってくれるのは、彼女自身の足であり、また共に歩むシャニPの足なのかもしれませんね。


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