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バレエオタクが深掘りする!「ラ・バヤデール」

こんにちは。
このnoteではバレエオタクがバレエ作品について深掘りしていきます。

日本にはいくつものバレエ団がありますが、その各バレエ団が同じ年に同じ作品の公演が重なることって度々ありますよね。
あれって不思議ですよね。
合わせているわけではないでしょうし、偶然なんでしょうね。
世の中の流行や情勢に合わせたりすると、同じような作品を選びやすかったりするのでしょうか?
そして「今年はこれを上演したから、次はこれをしよう」というルーティーンが似てくるという循環でしょうか?

真相はわかりませんが、今年2024年は「ラ・バヤデール」の公演が多い年ですね。
新国立劇場、Kバレエトーキョー、世界バレエフェスティバルと春〜夏の間に3団体で「ラ・バヤデール」が上演されています。

ということで、今回は「ラ・バヤデール」について調べてみました。

途中から有料記事になりますが、「ラ・バヤデール」の舞台になった時代キャラクターの深掘り様々なバージョンの解説もしていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
そして皆さんがバレエを踊る時、観る時、さらに観た後にも、この記事で楽しんでいただけると嬉しいです☺︎

「ラ・バヤデール」?「バヤデルカ」?

バヤデールというのは舞姫とか巫女という意味です。
舞姫と聞くとダンサーのことなのかなと思いましたが、巫女のことを舞姫と言うこともあるようです。
踊りで祈りを捧げるというような感じでしょうか?
映画「君の名は」でも三葉が巫女の格好をして踊っていましたよね。

題名の頭に付いているフランス語で単数を表しています。
「ラ・シルフィード」が1人のシルフィード、「レ・シルフィード」が複数のシルフィードというのと同じですね。
なので「ラ・バヤデール」というのは1人の巫女のことです。

この「ラ・バヤデール」をロシア語圏では「バヤデルカ」と言われていますが、バヤデルカというのもバヤデールと同じ意味です。

「ラ・バヤデール」のあらすじ

ニキヤ       バヤデール(寺院の巫女、舞姫)
ソロル       戦士
ガムザッティ    ドゥグマンタの娘
ドゥグマンタ    ラジャ(王)
ハイ・ブラーミン  最高位の僧
マグダヴェヤ    ファキール
トロラグワ     ソロルの友人である戦士
アイヤ       ガムザッティの侍女

第1幕

古代インドの寺院の前に戦士ソロルとその友人トロラグワ、そして狩りの一行がやって来ます。
ソロルは皆を狩りに行かせると、寺院の前に1人残り、マグダヴェヤに恋人であるニキヤへ逢瀬の約束を伝えるよう言います。
寺院からはバヤデールや僧侶たちが出てきて、聖なる火の周りで祈りを捧げます。
そのバヤデールの中にはソロルの恋人である美しいニキヤの姿もありました。
ニキヤに想いを寄せているハイ・ブラーミンはニキヤへ言い寄りますが拒絶されてしまいます。
マグダヴェヤからソロルが来ていると聞いたニキヤは、ソロルと2人でこっそりと会い、聖なる火の前で愛を誓い合います。
しかしその様子を大僧正が目撃しており、ソロルへ復讐しようと考えます。

ドゥグマンタの宮殿に招かれたソロルは、ドゥグマンタの娘ガムザッティを紹介されます。
ドゥグマンタは、ソロルをガムザッティの婿に迎えたいと言うのです。
聖なる火の前でニキヤへの愛を誓ったソロルですが、ガムザッティとの結婚を承諾してしまうのでした。
宮殿にやってきたハイ・ブラーミンはドゥグマンタに人払いをするよう言い、ソロルを貶めようと、ソロルとニキヤの関係をドゥグマンタに告げます。
しかしドゥグマンタはハイ・ブラーミンの思惑とは裏腹にニキヤを始末すると決めます。
2人の会話を聞いていたガムザッティは、ニキヤを呼び出しソロルを諦めるよう言います。
しかしニキヤは聞き入れません。
2人の言い合いは激しくなり、ニキヤは思わずガムザッティに向けてナイフを振り上げます。
ガムザッティの侍女アイヤに止められたニキヤは自分の行動に恐れおののきその場を後にします。
そしてガムザッティはニキヤの始末を命じるのでした。

第2幕

ソロルとガムザッティの婚約の宴では華やかな踊りが披露されています。
そこへニキヤもバヤデールとして呼ばれました。
ニキヤはソロルとガムザッティの姿を見てショックを受けながらも踊りを披露します。
ソロルからの贈りものだと言われて花籠を渡されたニキヤは喜びますが、花篭にガムザッティが仕掛けた毒蛇に噛まれてしまいます。
ハイ・ブラーミンが解毒薬を差し出しますが、ソロルの裏切りに絶望したニキヤは死を選びます。

第3幕

ニキヤを失ったソロルは部屋で悲しみに暮れています。
その悲しみや罪悪感からアヘンを吸ったソロルは、幻覚の中でニキヤの姿を見ます。
幻覚の中ソロルはニキヤへ許しを乞い、今でもニキヤを愛していると気づくのでした。

第4幕

ソロルが目覚めると結婚式の準備が進められています。
ソロルはガムザッティとの結婚を拒むことができず、ついにソロルとガムザッティの結婚式が行われます。
しかし神の怒りにより寺院が崩壊して、人々はがれきの下敷きになってしまいます。

ソロルは天に昇り、そこでニキヤと永遠に結ばれるのでした。

あらすじについてあれこれ

…正直、古典バレエ作品の中でもかなりのドロドロ具合ですよねw愛と憎悪と、みたいなw
それでも「ラ・バヤデール」はスケールの大きさやバレエ自体のおもしろさ、ニキヤとバヤデールの影たちが静かに舞う影の王国の美しさで人気のある作品ですね。

ソロルがガムザッティとの結婚を承諾したのは、ドゥグマンタに抗えなかったという解釈と、栄誉やガムザッティの美しさに負けてしまったという解釈がありますが、抗えなかったという方がよく見ますかね。
ソロルがガムザッティに見惚れていたり、ドゥグマンタが文字通り無言の圧力でソロルとガムザッティの手を重ねたり、この場面の人間模様もおもしろさの1つだと思います。

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