見出し画像

富士山に登山初心者がひとりで登ってみた

先日の山の日に富士山に登ってきました。お鉢巡りもできて、なかなか楽しかったです。

登山に関しては全くの初心者なのですが、なんで富士山に登ろうと思ったかといいますと、せっかく日本に住んでいるのに一番高くてかっこいい山に登らないまま死んじゃったりしたらもったいないなあと思っていたからです。

いつ登れなくなってもおかしくないじゃないですか、富士山。噴火の兆候がちょっと見えただけで当分登れなくなっちゃうでしょうし、凶悪な疫病が流行って難しくなるかもしれないですし、自分が病気や怪我で登れない身体になっちゃってもおかしくありません。ならばあんまり迷っている暇はないだろうと。

いつまでも
あると思うな
金と富士

そんなおりに、日帰りで富士山登ってみたというブログを見たのもきっかけのひとつでした。その時は、「おっ、そんなにお手軽に行けるもんならさっさと行ってしまおう」と思ったんですね。
ところがいろいろ調べていくと、都内からの日帰りは結構無理のあるスケジュールだということがわかってきました。登山慣れしている人からすれば当たり前だろってかんじだとは思いますが。

ちょっと調べると、富士山をナメてかかって迷惑をかける人が多発しているという話がぞろぞろ出てきます。結構な本格登山なのに、フジ先輩ナメてんのかコラ!という論調が多いです。

フジ先輩はすごくデカくてかっこいいけど、優しそうなイメージがあるのでナメられちゃってるんですかね。
でもフジ先輩って登山道や山小屋も整備されていて優しそうに見えますが、ちょっと機嫌が悪くなると、とっても怖い人のようです。とにかくでかいので高山病のリスクはすごく高いっぽいですし、天候も変わりやすくて一度暴れ出したら手がつけられないヤバい人。昔は噴火しまくりでつい300年ぐらい前にも大噴火した伝説の先輩です。まだ現役の活火山。フジ先輩ナメんなって言いたくなるの、よくわかります。

それに、今年の山開き直後に富士登山中の五十代男性が亡くなられたというニュースもあって、自分はウルトラマラソンとか走っててある程度体力はあるとはいえ、無知なのにいきなりスケジュールに無理のある登山はやめようって思いました。
慣れていない人が5合目から登り始める場合は、いきなり登り始めずに5合目である程度高地に身体を慣らしてから登らないと高山病のリスクが高いようです。

じゃあツアーだということで調べると、新宿から前夜に高速バスで出発して車中泊、早朝から吉田ルート5合目を登り始めて夕方に高速バスで帰ってくるというプランがいくつかありました。

7月中旬申込でも山の日あたりはまだ空きがあったので、ガイドなしで温泉と弁当付き9800円というツアーをポチッと。
富士急の定時運行の高速バスでも新宿〜富士山5合目の往復は6000円近くかかっちゃいますから、結構安く感じます。

バスは新宿を22時発なので、仕事終わってから出かけて充分間に合う。実質1日で実行可能です。

それで登山前日深夜、ツアーバスに乗って新宿から5合目に向かったわけですが、これがまあ眠れない。電車だとあんなに簡単に眠れてしまうのに、バスは眠れない。そういえば睡眠不足は高山病のリスクが高まるって話があったなあ、なんて思い出して嫌な気分になり、ますます眠れなくなってしまいました。

まーウルトラマラソンだと深夜に起き出してずっと走り続けるとかは普通なので、なんとかなるだろって思うことにしました。
5合目に到着してからはゆっくり朝食を取って、高地への順応時間はきっちり取ったつもりです。

早朝5時ごろ、山梨県側の吉田ルート5合目から登山を開始しました。日の出の時間でいきなり美しい光景が広がります。

センパイ素敵っす!
センパイかっこいいっす!
センパイ最高っす!

登りはなかなかハードでした。途中まではある程度体力があって休みながら行けばなんとかなるだろって感じでしたが、手を使ってほとんどよじ登るような場所もありますし、何より空気が薄くなってくるとずっと続けて動くのが難しくなってきます。

ゆっくり動かないと、あからさまに心拍数が上がってきてすぐに動けなくなってしまいます。早く登っちゃったら高山病リスクは高まるのでゆっくり登るんでいいわけですが。
走っている最中に心拍数を気にしたことってあんまりなかったんですが、ガーミンのGPSウォッチの心拍数を見ると、150を超えると途端に動けなくなって、140あたりをキープすると動き続けられるのがはっきり分かって面白かったです。高度が上がるにつれて徐々に変化していくのも。

見えるけどなかなか近づかない山頂

かなり体力がありそうに見える人でも高山病にやられちゃったぽくてうずくまってるのは結構見ました。吐いちゃってる人もいましたね。それを考えると、富士登山競走って本当にクレイジーですねえ。麓から山頂まで4時間半以内でたどり着かないといけないんですよ。あれ完走する人ホントにすごいわ。

山頂に近くなってくると、風が強くなって一気に気温も低下。上半身はTシャツとアームウォーマーというランニングスタイルでずっと登ってきたのですが、次々とジャケットを着たり、ウィンドブレーカーを着たり、手袋をしたりしていきます。事前に準備したものがちゃんと役立っていくってなんだか気分がいいですね。

ランニングの感覚だと登山の汗冷え対策の話が今ひとつピンとこなかったのですが、やっと合点がいきました。ランニングだとエネルギー切れにならない限りペースが落ちても動き続けることはできるので、冬場でもそんなに冷えたりはしないのですが、登山だとずっと止まらず動き続けるって難しいんですね。風もめちゃくちゃ強くなるし。

しかし今の時期に登っておいてよかったです。海外からの水際対策をしていなかった頃の山頂付近の混み合い方はすごかったんじゃないですかねえ。今回山頂付近でも詰まるようなことはほとんどありませんでした。それでも外国語は結構聞こえてきましたけどね。

4時間半ほどかけて、山頂にたどり着きました。ずいぶん長く登ってきたのにまだ9時台前半だというのが不思議な感じでした。まだ朝じゃん。

なかなかの達成感
ヒャッホウ!

山頂に重機であがれるんですね。意外でした。どうやって上がってくるんだろう…。

へー

ツアーでは12時には下山を開始せよという案内が事前にありましたが、まだたっぷり時間があるので「お鉢めぐり」もやってみることにしました。

登山をする人には常識なのかもしれませんが、フジ先輩の山頂の火口ををぐるりと一周する「お鉢めぐり」という楽しみ方があるのです。富士登山について調べるまで知りませんでした。それに、お鉢巡りの途中にある「剣ヶ峰」が最高地点になるので、そこに立たなければ、日本で一番高いところに行ったことになりません。これも知らなかった。
これは行っとかなきゃいけません。

お鉢めぐりは登山道よりもだいぶ傾斜が緩やかで、登りも下りもあるのでかなり楽しかったです。それでも山頂の空気はとても薄いので、調子に乗って動くとすぐ心拍数が上がっちゃいましたが。

ところが、日本最高地点の剣ヶ峰先輩はとても恐ろしい人でした。最高地点に向かう斜面の角度がえげつない上に砂だらけで全く踏ん張りが効きません。ずるずる数メートル滑り落ちてくる人もいます。これはびっくり。

アレを登るんか・・・

途中まで登ったところで、斜面の脇に設置してある手すりを使わないと登れませんでした。

角度おかしいわ

剣ヶ峰先輩、怖かったっす・・・

日本の最高地点

火口は大迫力でした。デカすぎて怖い。

フジ先輩のポテンシャルを感じます

1時間ちょっとお鉢めぐりを堪能して、持ってきたおにぎりを食べて、下山です。坂下りマニアとしては嬉しくって仕方ありません。

ちなみに、登山道と下山道が別なのは登ってみるまで知りませんでした。登りながら「これ、どうやって降りるんだろう?」と不思議だったのですが、遠くに別ルートで下っていく人が見えて、やっとああそういうことか、と分かった次第。それぐらい調べておけ。

重機の謎もわかりました。キャタピラー付きの重機なら下山道を登って来られるんですね。だからあんなに下山道は広いのか。無限軌道すごい。

下山道は力を抜いて、リラックスして楽しく降りられました。ほとんど止まらないで降りて来られましたが、さすがに単調で長いので後半は飽きてきてしまいましたね。途中から雲が下から上がってきて景色も見えなくなってしまいましたし。

砂と石だらけなので、慣れないうちはローカットのトレランシューズに小石が侵入してしまいましたが、足捌きを工夫すると上手く下れるようになりました。
でもゲイターはあった方がずっと楽しめそうです。次があればゲイターは必携ですね。

下りは山頂から5合目まで2時間弱ぐらいでした。5時頃に出発して12時45分頃に戻ってきたので、トータル8時間弱ってところです。だいたいこんな感じ。

  • 登り 4時間半

  • お鉢めぐり 1時間

  • 休憩 15分

  • 下り 2時間

富士急の定時運行の新宿発の高速バスは、始発が9:20に5合目着で最終が17:00に5合目発なので、7時間半で戻って来られればツアーでなくても間に合う計算です。お鉢めぐりをやらなければできそうではありますが、高地順応時間とかアクシデントとか考えると考えるとちょっとリスク高い感じですね。

それに一度は富士山登っとかないと、というのは達成してしまったのであんまりそんなチャレンジをする理由もなくなってしまいました。

とはいえ、今回ツアーなのでちょっと困ったことも。13時前に戻ってきてしまったのですが、17時までツアーバスは出発しないので、膨大な時間が余ってしまったのです。

流石に疲れていてあっちこっち動き回りたくないので、ビールを飲んだり、土産物屋を流したり、ビールを飲んだり、ツイッターを見たり、ビールを飲んだり、Facebookの富士山の投稿を見て驚いたりして過ごしました。次に同じようなツアーを使うならここは何か考える必要がありそうです。

でも、次に富士山にくるなら山頂に行かなくてもいいから、坂下りマニアとしては御殿場ルートの大砂走りってやつを体験してみたいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?