ハイパーハードボイルドグルメリポート
食うことすなわち生きること。
食の現場に全てが凝縮されている。
これは、ヤバい人たちのヤバい飯を通して、
ヤバい世界のリアルを見る番組。
テレビ東京のディレクター上出さんが1人で単独取材したグルメ番組。グルメと言っても世界中のヤバイ人たちのヤバイ飯を取材した番組である。
この番組が好きでNetflixやYouTubeの動画など全て見た。その上で全520ページに渡って旅の記録が書かれている本も読ませていただいた。
リバリア人食い少年兵の廃墟飯、台湾マフィアの贅沢中華、ロシアシベリアン・イエスのカルト飯、ケニアゴミ山スカベンジャー飯etc...
題名だけでもかなりインパクトがあるが、動画よりも本の方が重く心に響く内容だった。ここ最近読んだ本で1番の面白い本だった。
この本で感じたことは、飯を食べて生きること。飯を食べることは万国共通の幸せだということ。当たり前のことだが、普通に生活していると忘れがちなこと。どんなに側からみたら辛い環境や、怪しい組織に属していたとしても、みんなその幸せは共通している。取材をしているとその日働いた分の給料で一食分しかもらえていないのに、ディレクターに食べさせてくれる人もいる。
上出さんのグルメリポートが、秀逸で料理の内容がわかりやすく伝わってくる。社会情勢や豆知識の情報もかなり濃い内容になっている。
生き延びるために、社会的に間違っていることを行なって生き延びようとしている人間。その人が悪いようには思えなくなってくる。その人自身の性格は悪くないが、環境のせいで仕方なく生きるために行なってしまう。
結果的に、自分自身の生まれた環境や育った環境がほんとうに運が良かったなと改めて感じた。
上出さんの番組作りへの想いがすごくて、渡航や取材の大変さを全て乗り越え撮りたいと言う思いが伝わってくる。メディアで切り取られた報道ではなく本物の人間の生き様が伝わった。単純に旅の本としてもおもしろい。